2012年12月2日

石原慎太郎と橋下徹の「異心の怪」のお粗末


元通産(経産)官僚で大阪府、大阪市特別顧問を務める古賀茂明氏が12月1日、ツイッターで、日本維新の会の橋下徹代表代行(大阪市長)に対し「間違えたということはよくお分かりだと思う。理念も政策も違う石原慎太郎代表や旧たちあがれ日本の老人たちと決別してください」と求めた。これについて維新の松井一郎幹事長(大阪府知事)は同日夜、大阪府泉佐野市で記者団に「ぶれないようにというエールをいただいたと思う」と述べたという。


ことの発端はこうである。先月24日、マスメディアがいうところの「第三極」の柱になるとみられていた日本維新の会とみんなの党が確執が表面化し決裂、維新は石原慎太郎率いる太陽の党と合流した。古賀氏はみんなの党と交わした政策協定を評価していたようだが、一夜にしてそれが消え去ってしまい、肝心の維新の会の政策指針がトーンダウンしてしまった。さらに29日の記者会見で配布された政権公約に示した原発の「フェードアウト」を翌日、石原慎太郎代表が党首討論で「それは違う。公約は直させた」と発言したのである。呆れた混乱ぶりだが、そもそも石原慎太郎と橋下徹は様々な点で主張が異なっている。例えば憲法。

石原は現憲法廃棄して新しく作ろうと考えているが、橋下はそこまで踏み込んでおらず、九条などの改悪を唱えている。そのほか貿易や原発など重要な政策面で大きな隔たりがあり、両者の間で相当の歩み寄りが必要といわれてきた。橋下は石原が長年支持してきた原発政策で譲歩し、石原は少なくとも当面は、それまで反対してきたTPP(環太平洋連携協定)交渉参加に関して譲歩したようにみえた。小異を捨て大意をとるとはっぱをかけ、俄かに結成された新党だが、見過ごせない小異によって亀裂が生じ始めたようだ。さて露呈した「異心の怪」の行方はどうなるだろう。石原発言に対し橋下は今日現在“沈黙”を保っているようだ。

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