2012年12月27日

未来への灯がひとつ消えた日本未来の党の分裂


日本未来の党の両院議員総会が今日、国会内で開かれ、同党の「分党確認書」が了承された。今月24日両院議員総会で嘉田由紀子代表が提案した阿部知子副代表の共同代表起用案に、旧国民の生活が第一の議員らが反対した。そして逆に小沢一郎氏を共同代表にするよう要求したが、これを嘉田代表が拒否、二つの勢力の争いが表面化した。翌々日26日の衆参両院での首相指名選挙に自主投票で臨む方向となったが、小沢氏に近い議員が森ゆうこ副代表に投票、分裂が決定的となってしまった。同日午後には滋賀県議会が、知事に日本未来の党代表との兼務を解消するよう求める決議案を賛成多数で可決した。また同夜、嘉田由紀子代表は滋賀県庁で会見を開き、小沢一郎氏と平和的に分党する方向で協議していることを明らかにした。分党の呼びかけは同日朝に小沢氏側からあったという。嘉田氏自身は分党後も代表にとどまる意向を示したが、なぜ離党しないか私は不思議だった。これに関しては同党から出馬し落選した生活系の中村哲治氏のブログ記事「衆院選落選 反省と未来(3)分党という結果」が参考になるので、その一部を引用したい。
[2012/12/26]嘉田代表は「小沢氏のグループとは年内をめどに平和的に分党できる方向を探っている」と仰ったということですが、嘉田党に所属する国会議員は何名になるのでしょうか。おそらく、所属する国会議員は阿部さんだけになりそうです。ただ、政党要件は、比例区の得票数でも満たすことになるので「分党」という手段が取られることになるのでしょう。112人も落選し、比例区だけでも3億円余りの供託金の没収がされていて、「未来の党」は現時点で億単位の負債を負っていると思われます。党会計を党幹部で支えていく必要があるのは当然のことですし、党幹部で負担をしきれない部分については、党を党員全体で支えていく必要があります。代表である嘉田さんや副代表である阿部さんが、党本部が負担すべき供託金相当の負債について自分は知らないとして未来の党を去ることも許されません。だからこそ「分党」でもあるのでしょう。
私は1週間前当ブログに「嘉田滋賀県知事は未来の党を去って琵琶湖を守って欲しい」という一文を寄せたが、中村哲治氏の解説通りなら、簡単に未来の党を放棄できないことが分かる。嘉田氏が結党を発表したのは11月27日、12月4日公示の僅か1週間前だった。小沢氏は「一兵卒」として当面は要職に就かない意向を示していたが、衆院選惨敗で生活系議員から小沢氏に期待する声が強まっていた。つまり当初は選挙対策のためクリーンイメージの嘉田知事を利用、選挙結果を見て切り捨てる方向に動いたわけだ。朝日新聞によると阿部知子氏は「(党の分裂劇は)結婚する時は予想しないでしょうね。だって、小沢一郎さんの方で嘉田由紀子代表をくどいたわけだから」と語り「成田離婚」と皮肉ったという。選択肢がなかったのである種の胡散臭さを感じていたが、脱原発という立場から、先の選挙の比例区には同党へ一票を投じた。原発問題を争点にしたことは評価するが、同じ気持ちで投票したであろう多くの有権者の気持ちが白票と化し、捨てられたことになってしまった。党内抗争を繰り返してきた小沢氏を「学者出身の嘉田氏が制御できるはずがない」との見方も結成当初からあったという。政治というものは泥臭いもので、民意だけでは勝てない、という風潮が広まるのが怖い。

追記:中村哲治氏の「代表である嘉田さんや副代表である阿部さんが、党本部が負担すべき供託金相当の負債について自分は知らないとして未来の党を去ることも許されません」という解説はどうやら違うようです。事実上党から嘉田、阿部両氏を追い出した小沢グループに政党交付金が舞い込むようです。支給額は8億6,000万円と言われています。(以下時事通信「未来」から「生活」に変更より抜粋)政党助成法は、国政選挙での得票率と所属議員数に応じて政党交付金を支給すると定めている。先の衆院選で、未来は選挙区299万票、比例代表342万票と、いずれも有効投票の2%超を獲得するなどし、受給資格を得た。得票率に基づく交付金は存続政党の生活に支給される。(2012/12/27-22:12)

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