2026年3月11日

ソーシャルメディアの弊害(28)イランへの軍事攻撃を巡る偽情報

Fake News
イランに対する軍事行動は国際法違反?

米国とイスラエルによるイランへの攻撃を巡りソーシャルメディア上で偽情報や真偽不明の情報が拡散している。画像はアメリカの友人が Facebook でシェアしていたもので「日本はイスラエルによるイランに対する軍事行動は国際法違反に当たると正式に宣言した」とある。さらに以下のような解説が添付されている。

日本はイスラエルによるイランに対する軍事行動は国際法違反に当たると正式に宣言した。この東京の非難は、デンマーク、フランス、イタリアなど、現在行われている攻撃の合法性に公然と疑問を呈したり、紛争において中立を表明したりしている国々のリストに新たに加わるものである。日本の発表は、米国財務省がロシアへの石油制裁を緩和し、インドの製油所による数百万バレルの原油購入を許可することでエネルギー市場の安定化を図ろうと必死になっている中で行われた。この経済的な転換は、米国の石油タンカー沈没事件と、ホルムズ海峡通過における軍の護衛を拒否する商船の行動に続くものである。戦争は地理的にも外交的にも拡大し続けています。サウジアラビアは、イランに罪をなすりつける陰謀を企てたとして、インド国籍を含むモサド工作員とされる2人を逮捕したと報じられている。トルコは、最近の地域不安定化を受けてパキスタンの主権を全面的に支持することを約束した。イラン政府は自国の軍隊が計算された管理のもとで活動しており、長期戦の準備ができていると主張しているが、中国は仲裁のため特使を派遣する準備を進めている。トランプ大統領はイランの防空体制は「消滅した」と主張しているものの、クウェートの米軍基地はミサイル攻撃を受けており「トゥルー・プロミス4」作戦の第20波が最近開始された。戦闘の規模の大きさは、わずか3日間で800発のパトリオットミサイルが消費されたことからも明らかであり資源の浪費として国際的な懸念を引き起こしている。
An oil refinery in Tehran in flame
テヘランの石油精製所が夜間の爆撃で炎上

それにしてもこれがホントならビッグニュース、日本はおろか、世界のメディアは何故報じないのかと疑問を抱いた。日本共産党のしんぶん赤旗がイラン攻撃は国連憲章違反は明白と報じていたのは当然に思えたし、時事通信も「米国とイスラエルによるイラン攻撃を巡り、国際法上の正当性を疑問視する声が相次いで上がっている」と書いた。東京新聞は、イラン攻撃は「国際法違反」フランスやイギリスも苦言、与党・共和党内からも議会手続きが問題視されている、と畳み混んでいる。そうか、ついに高市早苗政権も認めたかと一瞬、喝采を送りたくなったのは私だけではなかっただろう。しかし衆院予算委員会で戦争を止めるために日本はどうするのか―。日本共産党の田村智子委員長は高市早苗首相に、先制攻撃は明白な国連憲章違反だと指摘し、両国に攻撃の即時中止を求めるよう強く迫ったが、首相は答弁をしぶる。代わりに答弁に立った茂木敏充外相は「米国とイスラエルは国連憲章にのっとり軍事行動をしている」と、米国・イスラエルの代弁者のような答弁に終始したのである。読み返してみると、事実と異なる記述が目につく。蛇足ながら画像には岩屋毅の写真が使われている。彼は外務大臣、防衛大臣の履歴があるが、高市政権の閣僚ではない。これだけでも誤情報であることは明らかであるのだが、騙されて拡散をする人も多いのではと懸念する。下記リンク先はカタールの衛星テレビ局アルジャジーラの「米国とイスラエルによるイランへの攻撃は国際法上合法か?」です。

aljazeera  US-Israel war on Iran | Are US-Israeli attacks against Iran legal under international law?

2026年3月10日

米国の攻撃がイランの小学校への致命的な空爆の原因であった

イラン南部のシャジャレ・タイイバ小学校への空爆で犠牲となった人々のために墓穴を掘る遺族たち

ニュース専門チャンネル CNN と専門家による証拠分析によるとイラン南部の女子小学校への攻撃で多数の児童が死亡した事件は、米国史上最悪の民間人犠牲者事件であり、またイスラエルとイランのほぼ1週間に及ぶ戦争でも最悪の事件であり、米軍の関与が疑われる。衛星画像、位置情報付きビデオ、米国当局者の公式声明、兵器専門家の評価から、イラン南部ミナブのシャジャレ・タイバ女子小学校は2月28日、米国軍が近隣のイスラム革命防衛隊(IRGC)海軍基地に対して行った攻撃とほぼ同時刻に攻撃を受けたことが示唆されている。イラン国営メディアによると、少なくとも168人の子供と14人の教師が死亡した攻撃について、ホワイトハウスは、米軍が実行した可能性を否定していないという。イスラエル国防軍(IDF)の報道官は金曜日の記者会見で「この地域での IDF の活動は承知していない」と述べた。両国は民間人を標的にしていないことを強調した。いかなる紛争においても、特定の攻撃の責任がどの軍隊にあるかを評価する際 CNN は通常、攻撃に使用された兵器の残骸の画像を入手し、その出所を評価できるように軍需専門家に提供する。イランではインターネットが遮断されているため、地上からの画像や映像は限られている。CNNは今回の事件に関してそのような証拠を検証することができていないため、いかなる評価も決定的なものとは言えない。しかし、他の証拠は、イランの平日と学校の初日である土曜日の朝に発生したこの攻撃が米国の責任であることを示唆している。CNNが位置情報を確認した動画は、学校への攻撃が海軍基地とほぼ同時刻に行われたことを示し、そのうちの1つには革命防衛隊(IRGC)の施設と学校の建物の両方から煙が噴き出している様子が映っている。2013年の衛星画像では、学校とIRGC基地がかつて同じ敷地内にあったことが示されていた。しかし、2016年の画像では、学校と基地の他の部分を隔てるフェンスが設置され、学校への別の入口も建設されていたことが明らかになった。2025年12月の画像には、学校の中庭で数十人が球技用のコートと思われる場所で遊んでいる様子が写っていた。

School and adjacent Iranian military base
小学校と隣接するイラン軍基地が複数の攻撃を受けた

軍需品専門家で、イラン兵器研究サービス(ARES)のディレクターである N・R・ジェンゼン・ジョーンズは、衛星画像と動画は IRGC の施設と学校の両方を「同時またはほぼ同時に襲った複数の攻撃の様子をとらえている」と CNN に語った。当初、学校での爆発は、IRGC が空爆を撃退しようとした際にイランの防空システムの 誤射が原因だった可能性があるとの憶測がネット上で飛び交った。しかしジェンゼン・ジョーンズは、海軍基地の最近の画像では建物が大きな被害を受けており「不発になった防空ミサイル」ではなく、空中から投下される精密誘導兵器による攻撃を受けたことを示唆しているため、その説明はありそうにないと述べた。「これらの建物を無力化することを意図したと思われる標的攻撃が行われている。これが最も可能性の高い結果だ」と彼は付け加えた。ジェンゼン・ジョーンズはまた、ミナブのような軍事基地は紛争勃発当初に攻撃される「事前に計画された標的」の一つとなることが多いと述べた。米当局は、米国がイラン南部の軍事目標を攻撃したことを確認した。水曜日の記者会見で、統合参謀本部議長のダン・ケイン将軍は、開戦後100時間にわたる米国とイスラエルによるイランへの攻撃の軌跡を示した地図を提示した。ケイン将軍は、イスラエルは主にイラン北部を攻撃し、米国は南部を攻撃したと述べた。ケインは、米国はイランの「南軸」に沿って「海から、海岸の南東側に沿って圧力をかけ続け、必要とされる目標に対処するのに十分な規模とスケールで、海峡沿いからアラビア湾に至るまで海軍力を消耗させてきた」と述べた。ジェンゼン・ジョーンズは、学校攻撃の最も可能性の高い説明は、米国が海軍基地への攻撃中に、学校がもはや IRGC の施設の一部ではないことを認識していなかったか、攻撃目標の担当者に最新情報を伝えていなかったために、誤って施設を攻撃したということだと述べた。「おそらく標的設定の失敗でしょう」「標的サイクルのどこかで情報収集に失敗したために標的設定が更新されなかったか、サイクルの後半で誤った判断が下され、誤った標的が攻撃されたのでしょう」と彼は語った。下記リンク先は本稿の原文である CNN の記事です。

CNN News  Analysis suggests US was responsible for deadly strike on Iranian elementary school

2026年3月8日

ソーシャルメディアの弊害(27)ストライサンド効果とは

マリブの崖の上の邸宅
バーブラ・ストライサンドが隠そうとしたカリフォルニア州マリブの崖の上の邸宅
バーブラ・ストライサンド

高市早苗首相が自らのサイトで25年間書き溜めてきた「コラム」を2月に突然削除したという。都合が悪い内容が含まれていたのだろう、隠した故に注目が集まっている。ストライサンド効果とは情報を隠したり、削除したり、検閲したりしようとする試みが、その努力の意図しない結果をもたらし、かえってその情報に対する一般の認識を高めるという状況を指す。この用語は、歌手・女優のバーブラ・ストライサンドが、ケネス・アデルマンがカリフォルニアの海岸浸食を記録するために撮影したマリブの崖の上の邸宅の写真の出版を阻止しようとしたことを受けて、テックダートのマイク・マスニックによって2005年に造られた。2003年にアメリカの歌手兼女優バーブラ・ストライサンドは、写真家ケネス・アデルマンと Pictopia.com をプライバシー侵害で5,00万ドルの損害賠償を求めて提訴した。この訴訟は、カリフォルニア州の海岸線写真 12,000枚を収録した「カリフォルニア海岸記録プロジェクト」の公開リストから、ストライサンド邸が写っている航空写真「マリブのストライサンド邸」の画像 3,850を削除するよう求めていた。このプロジェクトの目的は、政府の政策立案者に影響を与えるために海岸浸食を記録することだったため、住宅所有者のプライバシーに関する懸念は軽微、あるいは全く重要ではないと判断された。訴訟は棄却され、ストライサンドはアデルマンの弁護士費用 17万7,000ドルの支払いを命じられた。Image 3850 はストライサンドの訴訟以前にはわずか6回しかダウンロードされておらず、そのうち2回はストライサンドの弁護士によるものであった。この事件の認知度が高まり、翌月には42万人以上がサイトを訪れた。2年後、マズニックは、リゾート名の使用を理由に、マルコビーチオーシャンリゾートが urinal.net(小便器の写真を専門とするサイト)に削除通知を出した件について書いた際に、この名前を作り出した。気に入らないものをオンラインで抑圧しようとするという単純な行為が、ほとんどの人が決して目にすることのないものを、より多くの人の目に留めてしまう可能性があることに、弁護士たちが気づくまでには、どれくらいの時間がかかるのだろうか?

ストレイザンド効果 - 何かを隠そうとするとかえって拡散してしまう現象

これを「ストライサンド効果」と呼ぶ。2023年に出版された自伝「私の名前はバーバラ」の中で、ストライサンドは侵入者によるセキュリティ上の問題を挙げ「問題は写真自体ではなく、写真に付けられた私の名前が使われたことだけです。私は自分の信念を貫いているつもりでしたが、今にして思えばそれは間違いでした。弁護士も私の希望通りに行動し、写真から名前を削除してほしいと頼んだだけだと思い込んでいました」と書いている。情報の抑制の試みは、多くの場合、停止命令書を通じて行われますが、抑制される代わりに、情報は広範囲に宣伝され、インターネット上で拡散したり、ファイル共有ネットワークで配布されたりすることがある。何かの出版を禁止したり、すでに出版されているものを削除する差し止め命令を求めたり取得したりすると、出版された作品の宣伝効果を高めることで「逆効果」になる可能性がある。ストライサンド効果は心理的リアクタンスの例として説明されており、人々は自分から何らかの情報が隠されていることに気づくと、それを入手して広めようとする動機が大幅に高まるのである。この現象は欲蓋彌彰(真実を隠そうとすると真実はより目立つようになる)という中国の諺が喝破している。下記リンク先は BBC News 電子版に掲載された。フリーランス・ジャーナリストのマリオ・カチョットーロの「ストライサンド効果:検閲が裏目に出る時」です。

BBC News  The Streisand Effect: When censorship backfires by Mario Cacciottolo | The BBC News

2026年3月7日

ソーシャルメディアの弊害(26)地上波はなぜ WBC の中継をできないのか

WBC 2026
World Baseball Classic 2026

スポーツ好きのカミさんに「なぜテレビは WBC の中継をしないの?」と訊かれた。私しゃそんなことは知らないので、生成 AI に教えて貰った。2026年 WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)は3月6日(金)に開幕した。1次ラウンドは同月11日まで実施され、サンフアン、ヒューストン、東京、マイアミの4都市で熱戦が繰り広げられる。各プール上位チームが決勝ラウンドへ進出し、最終局面はアメリカで開催される。決勝トーナメントは3月13日(金)・14日(土)に準々決勝、15日(日)・16日(月)に準決勝、17日(火)に決勝を予定。世界一をかけた戦いは終盤に向けて一気に加速する。日本は東京開催のプールCに入り、韓国、オーストラリア、チェコ、チャイニーズ・タイペイと同居。1次ラウンドはすべて東京ドームで行われる。今回の大会では日本国内の全試合が Netflix で独占配信されるという大きな変化があった。これまでは読売新聞社などを通じて地上波放送が行われてきたが、今回は WBCI が直接 Netflix と契約したことで、視聴環境が大きく変わってしまった。要するに既存のテレビ局では払えないほど中継料が高騰したしたためだそうだ。報道によると、今回の放映権料は約150億円規模に達したと言われており、これは前回(2023年大会)の約5倍という異例の金額である。

WBC 2026

以下経緯。WBC の主催者は、主にアメリカのメジャーリーグ(MLB)とその選手会によって設立された「ワールド・ベースボール・クラシック・インク(WBCI)」である。大会の構造は、グローバルな主催者と各地域の運営担当に分かれている。今回の WBC はアメリカの動画配信大手 Netflixが日本国内における独占ライブ配信権を獲得した。この「独占」契約により、これまで中継を行っていた民放各局(テレビ朝日やTBSなど)や NHK、BS放送での生中継が一切行われない仕組みになってしまったのである。そしてビジネスモデルの限界。地上波テレビ局は主に広告収入で費用を回収しますが、ここまでの高額になると広告枠を売るだけでは採算が取れなくなる。一方で、月額課金モデルで世界的に会員を持つ Netflix はこの巨額な投資を「新規会員獲得」や「ブランド強化」の戦略として成立させることができたようだ。ところで Netflix は1カ月だけの利用が可能。月額制の前払い方式を採用しており、特定の契約期間の縛りは設けられていない。登録後すぐに解約手続きを行っても、支払った1カ月分(30日間)の期間が終了するまでは引き続きすべてのコンテンツを視聴できる。さてどうしよう?

Major League Baseball  Predicting the World Baseball Classic champion MVP and more | The WBC official website