2026年6月26日

宗教考現学(8)拝観料が必要なキリスト教会やイスラム教のモスク

Milan Cathedral
ミラノ大聖堂

キリスト教会は基本的に「祈りの場」であるため、礼拝のための訪問であれば拝観料(入場料)は無料であることが一般的である。ただし「観光・文化財としての公開」や「維持管理費の負担」という側面から、特定の教会では拝観料が設定されている場合がある。教会が拝観料を取る主な理由は以下の通りである。 歴史的な価値が高い建造物や芸術品(絵画、彫刻、ステンドグラスなど)の修復・管理には莫大な費用がかかるため、観光客から維持協力費として徴収するケースがある。またミサや祈りの時間を守りつつ、観光客を受け入れるために専用の入場ルートや時間帯を設け、その際に「観光用入場料」として設定することがある。イタリアの、大聖堂、例えばミラノ大聖堂(メトロポリタン大聖堂)やフィレンツェのドゥオモなどでは、観光客が内部を見学する場合や、屋上へ登る場合にチケットの購入が必要である。サンタ・マリア・ノヴェッラ教会は貴重なフレスコ画や芸術品が多く保存されており、それらを鑑賞するための入場料が設定されている。

サグラダ・ファミリア大聖堂
サグラダ・ファミリア大聖堂

2026年2月、塔の中で最も高い172.5メートルのイエスの塔の頂部が完成したバルセロナのサグラダ・ファミリアは建設費用と維持管理費を賄うため、観光客には明確な入場料(約26ユーロ〜)が設定されている。 東京復活大聖堂(ニコライ堂)は 日本のキリスト教会の中でも歴史的な建築物として知られており、拝観料(300円)が必要である。ドイツケルン大聖堂はこれまで無料公開されてきがたが、膨大な維持・修復費用(年間約1600万ユーロ)を確保するため、2026年7月から観光客の内部見学が有料化されることが発表された。多くの教会では拝観料という名称ではなく献金(ドネーション)つまり日本の仏教寺院の「お布施」として任意の金額を募る箱を置いているところも非常に多い。年間に数百万人が訪れるような教会では、セキュリティ対策や混雑緩和、観光客用設備の維持のためにコストがかかる。礼拝に来る信者と、見学に来る観光客を明確に分け、観光客には維持管理への協力を求める(対価として見学を許可する)という考え方が広がっている。

hagia-sophia
アヤ・ソフィア・モスク

イスラム教のモスクは、本来は祈りの場であるため、信者が礼拝のために訪れる場合は無料であるのが一般的である。しかし歴史的建造物として有名なモスクや、観光客が多く訪れる場所では、入場料を設けているケースがある。特にオーバーツーリズム対策や維持管理を目的として、入場料を導入する動きも見られる。入場料が設定されている主なモスクの例アヤソフィア・モスク(トルコのイスタンブル)は2024年1月より、外国人観光客を対象とした入場料(25ユーロ)が導入された。礼拝に訪れる現地の人々とは入り口が分けられており、観光客は専用の入口から入場する。当初は東ローマ帝国の大聖堂として建設されたが、1453年のオスマン帝国によるコンスタンティノープル征服後にモスクへ改修された。1935年から博物館として無料で公開されていたが、2020年に再びモスクへと転換された。モスクとして機能しているため、礼拝のための空間となっている。

Kariye Mosque
カーリエ・モスク

同じくイスタンブのカーリエ・モスクは無料で見学できたが、現在は外国人観光客に対して20ユーロの入場料が設定されている。入場料が必要な施設であっても、あくまで「モスク(礼拝所)」であることに変わりはない。礼拝の時間帯には観光客の入場が制限されたり、閉鎖されたりすることがある。 モスクには厳格なドレスコードがあることがほとんどである。肌の露出を控える、女性は髪を覆うスカーフを着用するなどのマナーが求められます。入り口で貸し出しや販売を行っている場合もあるが、事前に準備しておくのが望ましい。入場無料のモスクであっても、入り口で任意の寄付を受け付けている場所や、礼拝時間外に観光客向けに開放している場所も多くある。訪問を検討されているモスクがある場合は、直近の公式サイトや最新の旅行情報を確認することをおすすめしたい。状況は現地の政策や運営方針によって変更される可能性がある。世界遺産のスルタン・アフメト・ジャミィ(ブルーモスク)は入場無料である。下記リンク先はカトリック教会の情報を報道する非営利のゼニト通信社の「2026年後半から、ケルン大聖堂への入場には入場料がかかるようになります」です。

cathedral  In the second half of 2026, there will be an admission fee to enter the Cologne Cathedral

2026年6月25日

イメージを通じて抽象的な科学的概念を幅広い層に伝えた写真家フリッツ・ゴロ

Red laser light
Red laser light focused through a lens blasts a pin-point hole through a razor blade, 1963
Fritz Goro

フリッツ・ゴロ(本名フリッツ・ゴロディスキー)は11901年4月20日、ドイツ・ブレーメン生まれた。マクロ写真の発明者であり、ライフ誌やサイエンティフィック・アメリカン誌に作品を発表した科学専門の写真家である。彼はドイツでフォトジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせたが、1933年にナチスから逃れ、1936年に米国に移住した。ゴロは、史上初のプルトニウム製造、初の原子爆弾実験、マイクロエレクトロニクスの出現、ルビーレーザーなど、多くの主要な科学的ブレークスルーを記録したほか、アリ・ジャバンが MIT 研究所で光の周波数を計測している写真も残している。ブラック・スター・ピクチャー・エージェンシー時代の同僚(クルト・サフランツキーなど)の推薦と、ドイツでフォトジャーナリストとして活動していた頃からのタイム社の編集者クルト・コルッフとの繋がりを通じて、1944年にライフ誌の専属写真家として入社した。1936年に渡米して以来、ニューヨークでフリーランスとして活動していたゴローは、その多才なフォトエッセイで高い評価を得ており、1944年8月7日号で正式に編集委員に任命され、同誌での27年にわたるキャリアの幕開けとなった。第二次世界大戦中、米国市民ではなかったゴロは、当初はデリケートな話題を避け、一般ニュースや、米国国内の戦時下の生活を捉えたヒューマンインタレスト記事を中心に取材していた。

Sheep
Sheep that survived an atom bomb test, 1949

彼の仕事は綿密な計画と現場での観察を重視し、ベルリン・イラストリエルテ・ツァイトゥング紙の編集者時代に培った、35mmライカによる率直な写真や複数の画像を用いた物語構成といったドイツの写真エッセイの手法を、ライフ誌のダイナミックなフォーマットに合わせて応用した。その結果、信頼性が高く視覚的に魅力的な報道を通して、編集部の信頼構築に貢献した。1944年から1945年にかけての代表的な初期の取材作品には、米国の農村生活を描いた人間味あふれる特集記事があった。例えば、1944年に撮影された、水飲み場で作業馬と戯れる男性の写真には、戦時下の制約の中で人々が日々奮闘する姿が写し出されている。1945年5月、ゴロはニューヨーク市の衣料品地区で行われたヨーロッパ戦勝記念日(VEデー)の祝賀行事を記録した。そこでは、労働者たちが喜び勇んで布の俵を路上に投げ捨てており、ヨーロッパでの戦争終結後の故郷の安堵感と連帯感を鮮やかに捉えている。これらの作品は、ゴローが共感と技術的な正確さを融合させ、非凡な時代に生きる普通の人々を描写する卓越した才能を際立たせている。1940年代後半、ゴロはライフ誌の科学写真専門へと転身し、科学編集者ジェラール・ピエルの指導の下、原子力、宇宙開発競争、生物学における重要な発展に焦点を当てた。

microelectronic parts
Handful of microelectronic parts, 1961

彼の任務は1946年のプルトニウム製造などの戦後の原子研究や、1949年の原子爆弾爆発後に中毒検査を受けた羊など、爆弾実験による放射線の影響に関する研究など、当時の科学の最先端を捉えていた。ゴロの仕事は、急成長する宇宙開発競争にも及び、1960年代には NASA の準備を記録した。これには、1961年の地球再突入をシミュレートする宇宙カプセルの模型や、1967年の宇宙飛行士に対するロケット打ち上げ騒音レベルのテストなどが含まれる。ゴロは、複雑な画期的な発見を視覚化するために、一流の科学者たちと頻繁に協力し、1945年の原子爆弾爆発直後には、トリニティ実験場でJ・ロバート・オッペンハイマーを撮影した。彼の生物学の課題は1948年の生きた心臓の血液循環や、1963年の DNA 分子セグメントの表現など、細胞と遺伝学の進歩を強調しており、10年前に解明された二重らせん構造を示しています。核実験の取材において、ゴロは1953年にビキニ環礁沖で任務に就き、冷戦の軍拡競争が激化する中で、水素爆弾開発に関連する作戦を記録した。

90-day-old cow fetuse
90-day-old cow fetuses visible an amniotic sac, 1965

ゴロの科学的業績の頂点は、1952年から1954年にかけて13号にわたって掲載された、ライフ誌の高く評価された「私たちが生きる世界」シリーズへの彼の多大な貢献であった。作家リ ンカーン・バーネットと共同で制作したゴロの作品は微細な生命体から広大な天文学的スケールまで、進化の過程、宇宙現象、地球の自然史を描き出し、鮮やかで革新的なビジュアルを通して抽象的な科学的概念を幅広い層に伝えた。写真を通して科学を分かりやすく伝えるのは非常に難しい。ましてや、写真自体が美しいとなると、ほぼ不可能に近い。しかし彼ははそれを成し遂げ、20世紀を代表する偉大な自然写真家の一人としての名声を得た。経験豊富な写真家なら撮影不可能と考えるような被写体を撮影することで、自身の知識不足ゆえに「私は、ほとんど理解していないものを、それまで使ったことのない技術を使って撮影し始めたのです」とその専門性と名声を得たとよく語っていた。進化生物学者のスティーブン・ジェイ・グールドは、フリッツ・ゴロを「科学ジャーナリズム(そして科学全般)において、これまでで最も影響力のある写真家」と評した。

An anesthetized monkey
Anesthetized monkey has brain activity monitored, 1971

ドイツからの移民であるゴロは、もともとバウハウス美術学校で彫刻を学んだ後、長年の趣味であった写真に本格的に取り組むようになった。輝かしいキャリアの中で、動物の血液循環の静止画や、史上初のプルトニウム製造の写真など、数々の「初」となる出来事に関わった。ゴロは被写体に限りない忍耐力で向き合い、勤勉な写真家として、一般の人々にも分かりやすく科学的発見を「翻訳」しようと努め、その作品は数々の重要な科学的ブレークスルーを記録した。1963年当時、静止画撮影のためにレーザー光を制御することは、克服不可能な課題のように思われた。レーザー光の閃光は1000分の1秒単位で計測されるため、長時間露光を用いても、市販のカラーフィルムに記録できる可能性は低いと考えられていた。数百回に及ぶ実験の後、ゴローはカミソリの刃をトリガー装置として使用し、この写真の撮影に成功した。フリッツ・ゴロは1986年12月14日、ニューヨーク州チャパクアで没した。

LIFE  The Potographer Spotlight: Fritz Goro (German, 1901-1986) | The LIFE Picture Collection

写真術における偉大なる達人たち

Red laser light
Fritz Goro (1901-1986)Laser focused through a lens blasts a pin-point hole through a razor blade

2021年の秋以来、思いつくまま世界の写真界20~21世紀の達人たちの紹介記事を拙ブログに綴ってきましたが、2026年6月25日現在のリストです。右端の()内はそれぞれ写真家の生年・没年です。左端の年月日をクリックするとそれぞれの掲載ページが開きます。

21/10/06多くの人々に感動を与えたアフリカ系アメリカ人写真家ゴードン・パークスの足跡(1912–2006)
21/10/08グループ f/64 のメンバーだった写真家イモージン・カニンガムは化学を専攻した(1883–1976)
21/10/10圧倒的な才能を持ち現代アメリカの芸術写真を牽引したポール・ストランド(1890–1976)
21/10/11何気ない虚ろなアメリカを旅したスイス生まれの写真家ロバート・フランク(1924–2019)
21/10/13作為を排した新客観主義に触発されたストリート写真の達人ロベール・ドアノー(1912–1994)
21/10/16大恐慌時に農村や小さな町の生活窮状をドキュメントした写真家ラッセル・リー(1903–1986)
21/10/17日記に最後の晩餐という言葉を残して自死した写真家ダイアン・アーバスの黙示録(1923–1971)
21/10/19フォトジャーナリズムの手法を芸術の域に高めた写真家ユージン・スミスの視線(1918–1978)
21/10/24時代の風潮に左右されず独自の芸術観を持ち続けたプラハの詩人ヨゼフ・スデック(1896-1976)
21/10/27西欧美術を米国に紹介した写真家アルフレッド・スティーグリッツの功績(1864–1946)
21/11/01美しいパリを撮影していたウジェーヌ・アジェを「発見」したベレニス・アボット(1898–1991)
21/11/08近代ストレート写真を先導した 20 世紀の写真界の巨匠エドワード・ウェストン(1886–1958)
21/11/10芸術を通じて社会や政治に影響を与えることを目指した写真家アンセル・アダムス(1902–1984)
21/11/13大恐慌を記録したウォーカー・エヴァンスの被写体はその土地固有の様式だった(1903–1975)
21/11/16写真少年ジャック=アンリ・ラルティーグは個展を開いた 69 歳まで無名だった(1894–1986)
21/11/20ハンガリー出身の世界で最も偉大な戦争写真家ロバート・キャパの短い人生(1913–1954)
21/11/25児童労働の惨状を訴えるため現実を正確に捉えた写真家ルイス・ハインの偉業(1874–1940)
21/12/01マグナム・フォトを設立した写真家アンリ・カルティエ=ブレッソンの決定的瞬間(1908–2004)
21/12/06犬を人間のいくつかの性質を持っているとして愛撮したエリオット・アーウィット(1928-2023)
21/12/08リチャード・アヴェドンの洗練され権威ある感覚をもたらしたポートレート写真(1923–2004)
21/12/12デザインと産業の統合に集中したバウハウスの写真家ラースロー・モホリ=ナジ(1923–1928)
21/12/17ダダイズムとシュルレアリスムに跨る写真を制作したマン・レイは革新者だった(1890–1976)
21/12/29フォトジャーナリズムに傾倒したアラ・ギュレルの失われたイスタンブル写真素描(1928–2018)
22/01/10ペルーのスタジオをヒントに自然光に拘ったアーヴィング・ペンの鮮明な写真(1917-2009)
22/02/25非現実的なほど歪曲し抽象的な遠近感を生み出した写真家ビル・ブラントのカメラ(1904–1983)
22/03/09男性ヌードや花を白黒で撮影した異端の写真家ロバート・メイプルソープへの賛歌(1946–1989)
22/03/18ニューヨーク近代美術館で写真展「人間家族」を企画したエドワード・スタイケン(1879–1973)
22/03/24公民権運動の影響を記録したキュメンタリー写真家ブルース・デヴッドソンの慧眼(born 1933)
22/04/21社会的弱者に寄り添いエモーショナルに撮影した写真家メアリー・エレン・マーク(1940-2015)
22/05/20早逝した写真家リンダ・マッカートニーはザ・ビートルズのポールの伴侶だった(1941–1998)
22/06/01大都市に変貌する香港を活写して重要な作品群を作り上げたファン・ホーの視線(1931–2016)
22/06/12肖像写真で社会の断面を浮き彫りにしたドキュメント写真家アウグスト・ザンダー(1876–1964)
22/08/01スペイン内戦取材で26歳という若さに散った女性戦争写真家ゲルダ・タローの生涯 (1910–1937)
22/09/16カラー写真を芸術として追及したジョエル・マイヤーウィッツの手腕(born 1938)
22/09/25死と衰退を意味する作品を手がけた女性写真家サリー・マンの感性(born 1951)
22/10/17北海道の風景に恋したイギリス人写真家マイケル・ケンナのモノクロ写真(born 1951)
22/11/06アメリカ先住民を「失われる前に」記録したエドワード・カーティス(1868–1952)
22/11/16大恐慌の写真 9,000 点以上を制作したマリオン・ポスト・ウォルコット(1910–1990)
22/11/18人間の精神の深さを写真に写しとったアルゼンチン出身のペドロ・ルイス・ラオタ (1934-1986)
22/12/10アメリカの生活と社会的問題を描写した写真家ゲイリー・ウィノグランド(1928–1984)
22/12/16没後に脚光を浴びたヴィヴィアン・マイヤーのストリート写真(1926–2009)
22/12/23写真家集団マグナムに参画した初めての女性報道写真家イヴ・アーノルド(1912-2012)
23/03/25写真家フランク・ラインハートのアメリカ先住民のドラマチックで美しい肖像写真(1861-1928)
23/04/13複雑なタブローを構築するシュールレアリスム写真家サンディ・スコグランド(born 1946)
23/04/21キャラクターから自らを切り離したシンディー・シャーマンの自画像(born 1954)
23/05/01震災前のサンフランシスコを記録した写真家アーノルド・ジェンス(1869–1942)
23/05/03メキシコにおけるフォトジャーナリズムの先駆者マヌエル・ラモス(1874-1945)
23/05/05文学と芸術に没頭し超現実主義絵画に着想を得た台湾を代表する写真家張照堂(1943-2024)
23/05/07家族の緊密なポートレイトで注目を集めた写真家エメット・ゴウィン(born 1941)
23/05/22欲望やジェンダーの境界を無視したクロード・カアンのセルフポートレイト(1894–1954)
23/05/2520世紀初頭のアメリカの都市改革に大きく貢献したジェイコブ・リース(1849-1914)
23/06/05都市の社会風景という視覚的言語を発展させた写真家リー・フリードランダー(born 1934)
23/06/13写真芸術の境界を広げた暗室の錬金術師ジェリー・ユルズマンの神技(1934–2022)
23/06/15強制的に収容所に入れられた日系アメリカ人を撮影したドロシア・ラング(1895–1965)
23/06/20劇的な国際的シンボルとなった「プラハの春」を撮影したヨゼフ・コウデルカ(born 1958)
23/06/24警察無線を傍受できる唯一のニューヨークの写真家だったウィージー(1899–1968)
23/07/03フォトジャーナリズムの父アルフレッド・アイゼンシュタットの視線(1898–1995)
23/07/06ハンガリーの芸術家たちとの交流が反映されたアンドレ・ケルテスの作品(1894-1985)
23/07/08家族が所有する島で野鳥の写真を撮り始めたエリオット・ポーター(1901–1990)
23/07/08戦争と苦しみを衝撃的な力でとらえた報道写真家ドン・マッカラン(born 1935)
23/07/17夜のパリに漂うムードに魅了されていたハンガリー出身の写真家ブラッサイ(1899–1984)
23/07/2020世紀の著名人を撮影した肖像写真家の巨星ユーサフ・カーシュ(1908–2002)
23/07/22メキシコの革命運動に身を捧げた写真家ティナ・モドッティのマルチな才能(1896–1942)
23/07/24ロングアイランド出身のマルクス主義者を自称する写真家ラリー・フィンク(born 1941)
23/08/01アフリカ系アメリカ人の芸術的な肖像写真を制作したコンスエロ・カナガ(1894–1978)
23/08/04ヒトラーの地下壕の写真を世界に初めて公開したウィリアム・ヴァンディバート(1912-1990)
23/08/06タイプライターとカメラを同じように扱った写真家カール・マイダンス(1907–2004)
23/08/08ファッションモデルから戦場フォトャーナリストに転じたリー・ミラーの生涯(1907-1977)
23/08/14ニコンのレンズを世界に知らしめたデイヴィッド・ダグラス・ダンカンの功績(1907-2007)
23/08/18超現実的なインスタレーションアートを創り上げたサンディ・スコグランド(born 1946)
23/08/20シカゴの街角やアメリカ史における重要な瞬間を再現した写真家アート・シェイ(1922–2018)
23/08/22大恐慌時代の FSA プロジェクト 最初の写真家アーサー・ロススタイン(1915-1986)
23/08/25カメラの焦点を自分たちの生活に向けるべきと主張したハリー・キャラハン(1912-1999)
23/09/08イギリスにおけるフォトジャーナリズムの先駆者クルト・ハットン(1893–1960)
23/10/06ロシアにおけるデザインと構成主義創設者だったアレクサンドル・ロトチェンコ(1891–1956)
23/10/18物事の本質に近づくための絶え間ない努力を続けた写真家ウィン・バロック(1902–1975)
23/10/27先見かつ斬新な作品により写真史に大きな影響を与えたウィリアム・クライン(1926–2022)
23/11/09アパートの窓から四季の移り変わりの美しさなどを撮影したルース・オーキン(1921-1985)
23/11/15死や死体の陰翳が纏わりついた写真家ジョエル=ピーター・ウィトキンの作品(born 1939)
23/12/01近代化により消滅する前のパリの建築物や街並みを記録したウジェーヌ・アジェ(1857-1927)
23/12/15同時代で最も有名で最も知られていないストリート写真家のヘレン・レヴィット(1913–2009)
23/12/20哲学者であることも写真家であることも認めなかったジャン・ボードリヤール(1929-2007)
24/01/08音楽や映画など多岐にわたる分野で能力を発揮した写真家ジャック・デラーノ(1914–1997)
24/02/25シチリア出身のイタリア人マグナム写真家フェルディナンド・スキアンナの視座(born 1943)
24/03/21パリで花開いたロシア人ファッション写真家ジョージ・ホイニンゲン=ヒューン(1900–1968)
24/04/04報道写真家として自活することに成功した最初の女性の一人エスター・バブリー(1921-1998)
24/04/20長時間露光により時間の多層性を浮かび上がらせたアレクセイ・ティタレンコ(born 1962)
24/04/2820世紀後半のイタリアで最も重要な写真家ジャンニ・ベレンゴ・ガルディン(born 1930)
24/04/30トルコの古い伝統の記憶を守り続ける女性写真家 F・ディレク・ウヤル(born 1976)
24/05/01ファッション写真に大きな影響を与えたデヴィッド・ザイドナーの短い生涯(1957-1999)
24/05/08社会の鼓動を捉えたいという思いで写真家になったリチャード・サンドラー(born 1946)
24/05/10直接的で妥協がないストリート写真の巨匠レオン・レヴィンシュタイン(1910–1988)
24/05/12自らの作品を視覚的な物語と定義している写真家スティーヴ・マッカリー(born 1950)
24/05/14多様な芸術の影響を受け写真家の視点を形作ったアンドレアス・ファイニンガー(1906-1999)
24/05/16芸術的表現により繊細な目を持つ女性写真家となったマルティーヌ・フランク(1938-2012)
24/05/18ドキュメンタリー写真をモノクロからカラーに舵を切ったマーティン・パー(born 1952)
24/05/21先駆的なグラフ誌『ピクチャー・ポスト』を主導した写真家バート・ハーディ(1913-1995)
24/05/24グラフ誌『ライフ』に30年間投稿し続けたロシア生まれの写真家リナ・リーン(1914-1995)
24/05/27旅する写真家として20世紀後半の歴史に残る象徴的な作品を制作したルネ・ブリ(1933-2014)
24/05/29高速ストロボスコープ写真を開発したハロルド・ユージン・エジャートン(1903-1990)
24/06/03一般市民とそのささやかな瞬間を撮影したオランダの写真家ヘンク・ヨンケル(1912-2002)
24/06/10ラージフォーマット写真のデジタル処理で成功したアンドレアス・グルスキー(born 1955)
24/06/26レンズを通して親密な講釈と被写体の声を伝えてきた韓国出身のユンギ・キム(born 1962)
24/07/05演出されたものではなく現実的なファッション写真を開発したトニ・フリッセル(1907-1988)
24/07/07スウィンギング60年代のイメージ形成に貢献した写真家デイヴィッド・ベイリー(born 1938)
24/07/13著名人からから小さな町の人々まで撮影してきた写真家マイケル・オブライエン(born 1950)
24/07/14人々のドラマが宿る都市のカラー写真を制作したコンスタンティン・マノス(born 1934)
24/08/04写真家集団「マグナム・フォト」所属するただ一人の日本人メンバー久保田博二(born 1939)
24/08/08ロバート・F・ケネディの死を悼む人々を葬儀列車から捉えたポール・フスコ(1930–2020)
24/08/13クリスティーナ・ガルシア・ロデロが話したいのは時間も終わりもない出来事だ(born 1949)
24/08/30ドキュメンタリーと芸術の境界を歩んだカラー写真の先駆者エルンスト・ハース(1921–1986)
24/09/01国際的写真家集団マグナム・フォトの女性写真家スーザン・メイゼラスの視線(born 1948)
24/09/09アパルトヘイトの悪と日常的な社会への影響を記録したアーネスト・コール(1940–1990)
24/09/14宗教的または民俗的な儀式に写真撮影の情熱を注ぎ込んだラモン・マサッツ(1931-2024)
24/09/23アメリカで最も有名な無名の写真家と呼ばれたエヴリン・ホーファー(1922–2009)
24/09/25自身を「大義を求める反逆者」と表現した写真家マージョリー・コリンズ(1912-1985)
24/09/27北海道の小さな町にあった営業写真館を継がず写真芸術の道を歩んだ深瀬昌久(1934-2012)
24/10/01現代アメリカの風変わりで平凡なイメージに焦点を当てた写真家アレック・ソス(born 1969)
24/10/04微妙なテクスチャーの言語を備えた異次元の写真を追及したアーサー・トレス(born 1940)
24/10/06オーストリア系イギリス人のエディス・チューダー=ハートはソ連のスパイだった(1908-1973)
24/10/08映画の撮影監督でもあったドキュメンタリー写真家ヴォルフガング・スシツキー(1912–2016)
24/10/15芸術のレズビアン・サブカルチャーに深く関わった写真家ルース・ベルンハルト(1905–2006)
24/10/19ランド・アートを通じて作品を地球と共同制作するアンディ・ゴールドワージー (born 1956)
24/10/29公民権運動の活動に感銘し刑務所制度の悲惨を描写した写真家ダニー・ライアン (born 1942)
24/11/01人間の状態と現在の出来事を記録するストリート写真家ピータ―・ターンリー (born 1955)
24/11/04写真を通じて現代の社会的状況を改善することに専念したアーロン・シスキンド(1903-1991)
24/11/07自然と植物の成長にインスピレーションを受けた写真家カール・ブロスフェルト(1865-1932)
24/11/09ストリート写真で知られているリゼット・モデルは教える才能を持っていた(1901-1983)
24/11/11カラー写真が芸術として認知されるようになった功労者ウィリアム・エグルストン(born 1939)
24/11/13革命後のメキシコ復興の重要人物だった写真家ローラ・アルバレス・ブラボー(1903-1993)
24/11/15チリの歴史上最も重要な写真家であると考えられているセルヒオ・ララインの視座(1931-2012)
24/11/19イギリスのアンリ・カルティエ=ブレッソンと評されたジェーン・ボウン(1925-2014)
24/11/25カラー写真の先駆者ソール・ライターは戦後写真界の傑出した人物のひとりだった(1923–2013)
24/11/25サム・フォークがニューヨーク・タイムズに寄せた写真は鮮烈な感覚をもたらした(1901-1991)
24/11/29ゲイ解放運動の活動家だったトランスジェンダーの写真家ピーター・ヒュージャー(1934–1987)
24/12/01複数の芸術的才能に恵まれていた華麗なるファッション写真家セシル・ビートン(1904–1980)
24/12/05ライフ誌と空軍で活躍した女性初の戦場写真家マーガレット・バーク=ホワイト(1904–1971)
24/12/07愛と美を鮮明に捉えたロマン派写真家エドゥアール・ブーバの平和への眼差し(1923–1999)
24/12/10保守的な政治体制と対立しながら自由のために写真を手段にしたエヴァ・ペスニョ(1910–2003)
24/12/15自然環境における人間の姿を研究することに関心を寄せた写真家マイケル・ぺト(1908-1970)
24/12/20ベトナム戦争中にナパーム弾攻撃から逃げる子供たちを撮影したニック・ウット(born 1951)
25/01/06記録映画の先駆者であり前衛映画製作者でもあった写真家ラルフ・スタイナー(1899–1986)
25/01/10アメリカ西部を占める文化の多様性を反映した写真家ローラ・ウィルソンの足跡(born 1939)
25/01/15フランスの人文主義写真運動で活躍したスイス系フランス人ザビーネ・ヴァイス(1924–2021)
25/02/03サルバドール・ダリとの共作でシュールな写真を創出したフィリップ・ハルスマン(1906–1979)
25/02/06ベトナム戦争に対する懸念を形にした写真家フィリップ・ジョーンズ・グリフィス(1936-2008)
25/02/18芸術に複数の糸を持っていたシュルレアリスムの写真家エミール・サヴィトリー(1903-1967)
25/03/19シュルレアリスムの先駆的な写真家でピカソのモデルで恋人だったドラ・マール(1907-1997)
25/03/25ホロコースト前の東欧のユダヤ人社会を記録した写真家ローマン・ヴィスニアック(1897-1990)
25/04/01ソーシャルワーカーからライフ誌の専属写真家に転じたウォレス・カークランド(1891–1979)
25/04/04写真家ビル・エプリッジは20世紀で最も優れたフォトジャーナリストの一人だった(1938-2013)
25/04/25ロバート・キャパの弟で総合施設国際写真センターを設立したコーネル・キャパ(1918-2008)
25/05/01激動1960年代の音楽家たちをキャプチャーした写真家エリオット・ランディの慧眼(born 1942)
25/05/23生まれ故郷ブラジルの熱帯雨林アマゾン川流域へのセバスチャン・サルガドの視座(1944-2025)
25/06/22風景への畏敬の念と激動の気象現象への驚異が伝わるミッチ・ドブラウナーの写真(born 1956)
25/07/26ティンタイプ写真でアパラチアの伝承音楽家に焦点を当てたリサ・エルマーレ(born 1984)
25/08/03色彩の卓越した表現を通して写真というジャンルを超越したデビッド・ラシャペル(born 1963)
25/08/20ヨーロッパ解放やコンゴ紛争などでの勇敢な取材で知られるドミトリ・ケッセル(1902–1995)
25/08/25長大吊り橋を撮影したピーター・スタックポールはライフ誌創刊の写真家になった(1913-1997)
25/09/08アパラチアや南東部の農村地帯の人々の肖像写真で知られているドリス・ウルマン(1882-1934)
25/08/25長大吊り橋を撮影したピーター・スタックポールはライフ誌創刊の写真家になった(1913-1997)
25/09/15指導者であり預言者であり歴史家であり学者だった写真家ジョン・ローエンガード(1934-2020)
25/09/17女性を客体ではなく主体として描写した写真家エレン・フォン・アンワースの視線(born 1954)
25/09/22精巧に演出された赤ちゃんたちの愛らしい写真で世界的に評価されるアン・ゲデス(born 1956)
25/09/26エロティックで都会的なスタイルの頂点を極めた写真家ヘルムート・ニュートン(1920-2004)
25/10/06モデルからファッション写真家に転じたスリランカ系英国人ナイジェル・バーカー(born 1972)
25/10/15ヴィクトリア朝イギリスで最も有名な写真家ジュリア・マーガレット・キャメロン(1815-1879)
25/10/17革新的手法を用いたドイツ系ユダヤ人写真家エーリッヒ・ザロモンの悲劇的な運命(1886-1944)
25/10/20地球の環境破壊と気候変動の壊滅的な影響を明瞭に伝える写真家ニック・ブラント(born 1964)
25/10/23政治家や作家など世界の重要人物の精緻な肖像写真を撮影したユーサフ・カーシュ(1908-2002)
25/10/26直面する不正義と対峙するパレスチナ系オランダ人写真家サキル・カデルの眼差し(born 1990)
25/11/12目に見えない鳥の飛行経路を可視化した作品で知られる写真家シャビ・ボウの秘技(born 1979)
25/11/18自身の文化的環境を探求したメキシコを代表する写真家グラシエラ・イトゥルビデ(born 1942)
25/11/25フォトルポルタージュの新たな時代を築いたスペインの写真家ラモン・マサッツ(1931-2024)
25/12/10畏敬の対象となる自然風景および聖なる場所を崇拝した風景写真家リンダ・コナー(born 1944)
25/12/23インド初の女性報道写真家で独立国家への変遷を記録したホマイ・ヴィヤラワラ(1913-2012)
26/01/04モデルから転身した写真家サラ・ムーンの雰囲気により際立った印象派的な作品(born 1941)
26/01/07音楽に合わせた写真「ドリーム・ピクチャーズ」で知られるブランソン・デク―(1892-1941)
26/01/22技術者の客観性と技術的志向を写真撮影に反映させたエミール・ハイルボルン(1900-2003)
26/01/26芸術的側面と社会的な側面の二つの特質を最適に供えた女性写真家アタ・カンドー(1913-2017)
26/03/05戦争や貧困など社会の底辺を記録して世界的な評価を得た写真家ドン・マッカラン(born 1935)
26/03/22カメラで芸術的インスピレーションを追求した写真家リオ・ディジローラモの軌跡(1934–2019)
26/05/05写真界では神童のような存在と見なされた巨匠ハロルド・ファインスタイン (1931-2015)
26/05/22形式と感情の巨匠:ドイツ人写真家トニ・シュナイダース不朽の遺産(1920-2006)
26/06/07スコットランド出身の華麗なるプリントのレジェンド写真家アルバート・ワトソン(born 1942)
26/06/11目撃者であることだけで十分かと自らを問いつめた夭折の報道写真家ジル・カロン(1939-1970)
26/06/23困難な状況下での撮影のための新しいツールを開発した写真家 J・R・アイヤーマン(1906-1985)
26/06/25イメージを通じて抽象的な科学的概念を幅広い層に伝えた写真家フリッツ・ゴロ(1901-1986)

子供の頃「明治は遠くなりにけり」という言葉を耳にした記憶がありますが、今まさに「20世紀は遠くなりにけり」の感があります。掲載した作品の大半がモノクロ写真で、カラー写真がわずかのなのは偶然ではないような気がします。20世紀のアートの世界ではモノクロ写真が主流だったからです。しかしデジタルカメラが主流になった21世紀、カラー写真の台頭に目覚ましいものがあります。ジョエル・マイヤーウィッツとサンディ・スコグランド、ジャン・ボードリヤール、 F・ディレク・ウヤル、マーティン・パー、コンスタンティン・マノス、久保田博二、ポール・フスコ、エルンスト・ハース、エヴリン・ホーファー、アレック・ソス、アンディ・ゴールドワージー、ウィリアム・エグルストン、ソール・ライタ、フリッツ・ゴロなどのカラー作品を取り上げました。

photographer  Famous Photographers: Great photographs can elicit thoughts, feelings, and emotions.

2026年6月24日

困難な状況下での撮影のための新しいツールを開発した写真家 J・R・アイヤーマン

The opening-night screening of "Bwana Devil" in Hollywood, 1952
J. R. Eyerman

J・R・アイヤーマンは1906年11月9日、両親が経営するモンタナ州ビュートの写真スタジオで生まれた。ライフ誌が表紙によく掲載していた写真家やライターの伝記的小話の中で、彼は詩で自分の姓の前に付いている謎の文字は実際の名前の頭文字ではないと説明した。曰く「母さんは私にウォルターやモーのような名前はつけないと言った。それで母さんは私にたくさんのイニシャルをつけて、息子よ、自分で名前を見つけなさい」云々。少年時代にイエローストーン国立公園やグレイシャー国立公園で父親と何千枚もの写真を撮っていた。その後、15歳でワシントン学に入学し、土木工学を学んだ。やがて写真の世界に戻り、1942年にライフ誌に入社し、地中海から太平洋まで戦闘の様子を撮影した。ある時、アイアーマンは偶然にも日本侵攻作戦の暗号名(「オリンピック」)を知ってしまったが、口を閉ざし、レンズを開いたままにした。原爆投下後、広島に最初に到着した一人となった。戦争が終わると、アイアーマンは自身の技術的背景を活かし、写真における数々の画期的な発明を成し遂げた。その中には、原子爆弾の爆発を撮影するために9台のカメラのシャッターを切る電気眼機構、海面下3,600フィートでも機能するカメラ、初期のアメリカの研究用ロケットで107マイル上空から撮影するロボットカメラなどがある。

Spruce Goose
Howard Hughes inside his H-4 Hercules troop transport plane, 1947

そしてオーロラの詳細な写真を撮影できるようにと、カラーフィルムを高速化して使用した。アイヤーマンは1942年から1961年までライフ誌のスタッフだった。彼はライフ誌のためにヨーロッパ戦線と太平洋戦線で第二次世界大戦を取材した。彼はかつて「ライフ誌のボタンを押すと、世界が止まったかのようだった」と語っている。彼の最も有名な写真の中には、 1952年11月26日にハリウッドのパラマウント劇場で行われた映画『ブワナ・デビル』のプレミア上映を、3Dメガネをかけて鑑賞する観客全員を捉えた、よく複製されるロングショットがある。こうした視覚的な反復は、アイヤーマンのお気に入りの手法だった。 別の例としては、ライフ誌に掲載された、レイクビュー郊外の地平線まで続く通りに複数の引越しトラックが新築の家に家具を同時に運び込んでいる様子を捉えた広大な空撮写真がある。

Underwate
Underwater view of a torpedo being launched from a submarine, 1951

アイヤーマンはニューヨーク近代美術館で1951年11月20日から12月12日まで開催された「記憶に残る人生の写真」展、および1951年2月13日から4月22日まで開催された「朝鮮戦争 - 写真で見る戦争の影響」展に作品を提供しており、後者では彼の GI ポートレート5点が展示された。その後、彼の作品は、同じくニューヨーク近代美術館で開催された1958年11月26日から1959年1月18日まで開催された「美術館コレクションからの写真」展にも掲載された。そして広大なオフィススペースで製図台に向かうエンジニアの群衆が遠ざかっていく様子を捉えた彼の写真は、1955年、キュレーターのエドワード・スタイケンによって900万人が訪れた同館の世界巡回展「人間家族」に選ばれている。彼は1961年にライフ誌を辞め、タイム誌、ナショナルジオグラフィック誌、そしていくつかの医学雑誌で働いた。

northern lights
The aurora borealis, a.k.a., the northern lights, northern Canada, 1953

シアトルに自身の構造エンジニアリング会社を設立した後、彼は困難な状況下での撮影のための新しいツールを開発した。ライフ誌の写真家の中には、カメラを単に写真を撮るための手段と考える者もいれば、カメラをメディアの新たな側面として捉え、それを変化させ、拡張し、改良していくことを目指す者もいた。アイヤーマンは間違いなく後者の一人だった。彼は、9台のカメラのシャッターを作動させる電気式アイ機構を完成させ、原子爆弾の爆発を撮影した(1952年、ネバダ州ユッカフラット)。また、オーティス・バートンと共に、海面下3,600フィートの海底を撮影するための特殊カメラを考案した。さらに、カラーフィルムの高速化に成功し、それまで不可能だったオーロラのきらめく変化する形や模様のカラー写真を撮影した。J・R・アイヤーマンは1985年12月7日、カリフォルニア州サンタモニカの自宅で腎不全と心不全により亡くなった。

LIFE  The Potographer Spotlight: J.R. Eyerman (American, 1906–1985) LIFE Picture Collection