2026年2月13日

アイルランド・トラヴェラーの歴史と文化

Irish Traveller Family
Irish Traveller Family, Killorglin, County Kerry, 1954

アイルランド・トラヴェラー(インドを起源とするロマとは異なる)は先住の少数民族である。その名の通りアイルランド先住のトラヴェラーは遊牧民としての歴史を持ち、樽蓋付きの荷馬車やティンカーズ(鋳掛け屋)という名称で知られ、伝統的なブリキ細工の技術と結び付けられている。トラヴェラーは伝統的に工芸品や動物の売買、その他の創造的かつ肉体的な仕事によって場所から場所へと移動しながら生計を立ててきた。トラヴェラーたちは、アイルランドの伝統音楽、特にアイリッシュ・フィドル演奏とイリアン・パイプの発展において中心的な役割を果たしたことで知られている。何世代にもわたり、トラヴェラーたちは歌や物語を町から町へと伝え、独自の歌唱、物語の語り、楽器演奏のスタイルを発展させてきた。現在、アイルランドには全人口の0.7%を占める31,000人のアイルランド系トラヴェラーがおり、15,000人のアイルランド系トラヴェラーが英国に居住し、さらに10,000人のアイルランド系トラヴェラーが米国に居住している。文化は決して固定されたものではなく、古い伝統と新しいアイデアが融合し、時間とともに常に変化し進化する。トラヴェラー文化もまた、絶えず変化し、適応しています。いくつかの変化は、あらゆる文化に時間の経過とともに起こる変化と関連している。他の変化はコミュニティに強制的にもたらされました。例えば、法律の改正により、トラヴェラー遊牧民は事実上犯罪化された。また、市場取引や馬の所有に悪影響を及ぼす法律もあった。これは、長年受け継がれてきたトラヴェラーの伝統が非常に困難になっていることを意味している。これはコミュニティに深刻な影響を及ぼしているのである。それにもかかわらず、トラヴェラーは依然として自分たちをトラヴェラーであるとみなし、トラヴェラーとしてのアイデンティティ、文化、伝統に誇りを示している。今日のトラヴェラー文化の重要な要素には、遊牧民としての歴史と文化理解の共有、言語の共通使用、大家族を中心とした強固な価値観などが含まれます。馬の所有はトラヴェラー文化の強い伝統であり、象徴でもあるのだ。トラヴェラーの活動家と支持者による長期にわたるキャンペーンの結果、トラヴェラーは、ユニークで貴重な伝統、言語、文化、アイデンティティを持つ独特の民族グループとしてアイルランド政府に認められた。民族的承認は主に象徴的なものと考えられるかもしれないが、それはトラヴェラー文化の歴史的な否定に終止符を打ち、他の前向きな発展のきっかけとなった。カントまたはガモンとして知られるトラヴェラー言語は、トラヴェラーの錫細工技術と共に、2019年にユネスコ無形文化遺産に登録された。

Irish Travellers cooking
Irish Travellers cooking in rural Ireland, 1960s

これはアイルランド政府がこれらのトラヴェラー文化の要素を、アイルランドのより広範な文化的慣習と同様に保護、促進、そして称賛することに同意したことを意味する。もう一つのプラス面は、トラヴェラー文化と歴史を初めて公式の学校カリキュラムに取り入れるという国家的な取り組みである。しかしトラヴェラーはコミュニティとしても個人としてもアイルランドで高いレベルの偏見と排除を経験しているのである。多くの家族が、衛生設備、水、電気などの基本的な施設が利用できないトラヴェラー用居住地を含め、過密住宅や極めて劣悪な生活環境での生活を余儀なくされている。これはトラヴェラーのコミュニティに慢性的な健康問題をもたらしている。全アイルランド・トラヴェラー健康調査によると、トラヴェラーの男性は定住者よりも平均寿命が15年短く、女性は定住者よりも平均寿命が11年短いことがわかった。自殺率は全国平均の7倍で、トラヴェラーの死亡者の11%を占めている。差別と排除は、トラヴェラーにとって生涯にわたる経験である。トラヴェラーに対する差別は、アイルランドにおいて許容される最後の人種差別形態と呼ばれている。ミンキアは、アイルランドの伝統的な移動少数民族であり、アイルランド政府や定住民は彼らを「アイリッシュ・トラベラー」と呼ぶ。ミンキアとは、彼ら独自の言語であるキャント語またはギャモン語で「アイルランド移動民族のコミュニティー」を意味する。アイリッシュ・トラベラーは英語を話すが、彼らが時として互いに使用する言語はキャント/ギャモン語である。トラベラーという名前は、彼らの遊牧民としてのアイデンティティから付けられた。5世紀には彼らが錫鍛冶の技術を持つことから「ホワイトスミスと呼ばれていた。長年にわたり彼らは、定住者の一部からティンカー(鋳掛け屋)ナッカーズ(廃馬解体業者)アイティネランツ(移動労働者)、ジプシー、パヴィーなどと呼ばれ、彼らはこれらの呼称を人種差別的として嫌ってきた。人種差別主義者でない定住者であれば、政治的に正しい「アイリッシュ・トラヴェラー」や「トラヴェラー」という言葉を使うだろう。残念ながら、アイリッシュ・トラベラーの多くは、このような不快なレッテルを貼られ続けている。ロマ(ジプシー)、ロマ、アイルランドのトラヴェラーは豊かで多様な文化を持っている。下記リンク先はロンドンの全国的な市民社会組織トラヴェラームーブメントの解説「アイルランドのトラヴェラーとは誰なのか?」です。

romani  Who Are the Irish Travellers | Traditions and Language | Cork Traveller Women's Network

2026年2月11日

ソーシャルメディアの弊害(24)中道改革連合「ノダメ」野田佳彦の大罪

厳しい表情でインタビューの開始を待つ中道改革連合の野田共同代表と斉藤共同代表(2月8日)

そもそも「中道」とは仏教に由来する言葉だ。例えば日蓮宗の公式サイトは中道とは「それぞれに適した選択をする」ことで「常に真ん中というわけではない」と説明する。なぜこの「中道」を党名にいれたのか。野田佳彦は1月16日に記者会見を開き「右にも左にも傾かず、熟議を通して解を見いだしていくという基本的な姿勢」と話した。右でもない左でもないというのが右翼でもない左翼でもないというなら間違いだろう。この言葉はフランス革命期の「(憲法制定)国民議会」(1789年7月9日から1791年9月30日)における9月11日の会議において「国王の法律拒否権」「一院制・二院制」の是非を巡り、議長席から見て議場右側に「国王拒否権あり・二院制(貴族院あり)」を主張する保守・穏健派が、左側に「国王拒否権なし・一院制(貴族院なし)」を主張する共和・革新派が陣取ったことに端を発していて「中翼」はないからだ。道改革連合の野田佳彦共同代表は9日、党本部で記者会見を行い、8日投開票の衆院選で大惨敗を喫したことをめぐり、自身のトップとしての「器」についてどう考えるか問われ「みなさんのご判断です」とした上で「結果を出せないということは、器がダメだ、ということしか言いようがない」と述べ、自ら自分自身に「ダメだし」した 。

ところで第19代東京都知事の舛添要一が X(旧Twitter)で野田佳彦を「戦国の世なら野田はもう2回も首をはねられている」と痛烈批判した。以下に引用。

所謂「ノダメ」という言葉は二ノ宮知子による漫画・ドラマで有名な『のだめカンタービレ』の主人公、架空のキャラキター野田恵(のだめぐみ)に由来するが、野田佳彦にもオーバーラップする。中道改革連合共同代表を務める野田佳彦はさすがに辞意表明したが、民主党政権時代の2012年、首相として踏み切った解散総選挙で、安倍晋三の自民党に大敗し、政権を明け渡したことがある。これである、未だに「ノダメ」と揶揄され所以は。ソーシャルメディアの弊害分析してきたが、烏合の衆である高市早苗首相ネット応援団を侮った野田佳彦の責任は重い。とは言え「耄碌した舛添要一氏が、再度の反自民勢力結集などと夢想垂れ流してるが、日本政治の歴史はルビコンを渡ったんだよ、もう反日/左翼はいらないと国民は明確に意思表示、二大政党制なる左翼温存の擬制は雲散霧消、今後は対中姿勢が政権選択の要、媚中か対中抑止か、そして媚中も10年以内に滅び去る~🤣」といった異論が X に散見される。結局ソーシャルメディアは分断を製造するマシンなのだろう。

asahi  衆院選で惨敗した中道改革連合「人材難」に重鎮が軒並み落選し再建はいばらの道 | 朝日新聞社

2026年2月10日

平和憲法改竄を目論む高市早苗首相の危険

戦争放棄
日本平和委員会「あたらしい憲法のはなし」より

記者会見で高市早苗首相(自民党総裁)は「国の理想の姿物語るのは憲法」「改正に向け挑戦」と語り、憲法改定を問う国民投票早期実施の意思表明した。主権者の反応を窺う発言だろう。鉄のサッチャーの如き「強さ」を仰ぎ、烏合の衆向け「商売右翼」が人気の素、「類い稀なる嘘吐き」で、原子力空母でぴょんぴょん跳ねて「独裁者」トランプに媚びる恥ずかしさ。なんだかんだで、わたしゃイヤだと遠吠える。以下引用。

高市首相は9日、自民が歴史的大勝を収めた衆院選を受けて党本部で記者会見した。公約に掲げた2年間限定での食料品を対象とした消費税ゼロについて早期に超党派の国民会議で議論し、「夏前には中間取りまとめを行いたい」と表明した。憲法改正にも「挑戦」し、是非を問う国民投票の早期実施に向け、環境整備に取り組む考えを示した。(途中略)憲法改正は、衆参各院の3分の2以上の賛成で発議できる。首相は「国の理想の姿を物語るのは憲法だ。国の未来をしっかりと見据え、改正に向けた挑戦も進めていく」と述べた。

ただ憲法改定を強行するには、最後の砦である国民投票のハードルを最終的に超える必要がある。国民投票が行われる場合、メディアを利用した広告宣伝活動が重要な意味を持つことになるが、これに対しては悲観的にならざるを得ない。壊憲勢力は金力とメディア支配力を活用して、国民を洗脳することを目論んでいるからだ。立憲民主、共産両党は国会での憲法論議自体に後ろ向きだったが、立憲民主党が問題解決の確約も取らずに憲法審議を進めることに同意してしまった。高市早苗は党内の圧力に逆利用して、安倍晋三の「悲願」を継承するのではないだろうか。日本国憲法改竄の足音と軍靴の響きが聴こえてきた。リンク先のページで上掲のイラストが掲載されている、1947年8月2日文部省検査済「あたらしい憲法のはなし」青空文庫の全文を読むことができる。

book_bk  日本平和委員会「あたらしい憲法のはなし」 1972年(昭和47年)11月3日初版発行(青空文庫)

2026年2月9日

衆院選:日本国憲法改竄の足音と軍靴の響きが聴こえてきた

日本国憲法

衆院選は昨日8日に投開票され、自民党が圧勝。中道改革連合が壊滅的な惨敗したが、その前に時計の針を少し戻してみよう。朝日新聞2025年11月27日付の記事によれば、自民党と日本維新の会は、連立政権合意で設置を決めた憲法9条改定に関する「条文起草協議会」を開き、維新が考えを示した。維新案は戦力不保持を定めた9条2項の削除や「国防軍」保持の明記などを掲げる。高市早苗が首相就任前に「ベスト」と発言していた、自民の野党時代の9条改正案とも重なる。ただ9条改定に対する世論の賛否は割れており、自民内には維新案に慎重な意見もあるという。看過できないのはあくまで首相は改竄に突っ走る構えを見せていることだ。今回の衆議院選挙で自民党が単独で316議席を確保し、3分の2以上を占めることになった ことがわかった。一つの政党が衆院で3分の2以上の議席を獲得するのは戦後初。法案が衆院で可決後、参院で否決されても、自民単独で衆院での再可決が可能になる。また憲法改定の発議も維新の助力なしでできるようになった。憲法改定の手順については第96条は

この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行われる投票において、その過半数の賛成を必要とする。憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。

と規定している。憲法は簡単に改竄できないようになっているのだが自民党は2013年4月に「日本国憲法改正草案」を発表し、憲法改竄の手始めに96条改定に取り組む方針を明言した。現行憲法が「各議院の総議員の3分の2以上の賛成」を憲法改定発議の要件と定めているのを「衆参各院の総議員の過半数」で発議できるように緩和しようとするものであった。かつて安倍晋三元首相は、国会答弁で「まずは多くの党派が主張している憲法96条の改正に取り組む」と明言した。これは改定要件を緩和して憲法の改悪のハードルを下げ、その後に憲法9条や人権規定、統治機構等を随時改竄しようとの意図に基づくものと思われる。これは立憲主義の下での憲法改定のあり方として極めて不当であり、到底許されない。

開票結果
出典:時事通信

ただ憲法改竄を強行するには、最後の砦である国民投票のハードルを最終的に超える必要がある。国民投票が行われる場合、メディアを利用した広告宣伝活動が重要な意味を持つことになるが、これに対しては悲観的にならざるを得ない。壊憲勢力は金力とメディア支配力を活用して、国民を洗脳することを目論んでいるからだ。かつての立憲民主、共産両党は国会での憲法論議自体に後ろ向きだったが、新党「中道改革連盟」が問題解決の確約も取らずに憲法審議を進めることに同意してしまった。高市早苗は選挙の大勝利用して、安倍晋三の「悲願」を継承するのではないだろうか。日本国憲法改竄の足音、軍靴の響きが聴こえてきた。下記リンク先は市民運動団体「憲法9条京都の会」の公式ウェブサイトです。

politics 平和を願い命を大切に生かそうと考えている皆さんに参加と賛同を呼びかけます | 憲法9条京都の会