2017年6月30日

ソニーがアナログレコードの自社生産再開


レコードプレーヤー (クリックで拡大)
ソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)が6月29日、アナログレコードの自社生産を約30年ぶりに再開すると発表した。SMEはCDの普及でレコード需要が減ったため、1989年にアナログレコードの自社生産を終了。その後は国内外のメーカーに生産を委託してレコードを販売してきた。しかし、最近再びレコードが注目されて需要が増え、委託先の生産が追いつかなくなり、自社生産を再開することになったそうである。拙ブログでもすでに2014年末に「アナログレコード奇跡の復活」という記事を掲載した。ウォール・ストリート・ジャーナル紙がその当時に報じた記事によると、アメリカではアナログレコードが奇跡の復活、前年比49%アップして約800万枚が購入されたという。ただプレス工場では一時間で約125枚しかプレスできず、生産が追いつかない状況にあるようだ。アナログレコードの魅力については今回は敢えて割愛するが、現在の世界のプレス工場の地図を紹介する。Total Sonic Media のデータを元に作成されたものだが、やはり米国が圧倒的に多く、日本では横浜にある東洋化成株式会社末広工場のみである。これにソニーが新たなプレス工場を作ることは、音楽ファンにとって掛け替えのない朗報である。

WWW  List of the Vinyl Record Pressing Plants in the Worls (Last Updated: April 5, 2017)

2017年6月27日

ザラ紙に印刷された写真の迫力

土門拳写真集『筑豊のこどもたち』(パトリア書店1960年)

書棚を整理していたら土門拳写真集『筑豊のこどもたち』が出てきた。1960年、パトリア書店が発行したもので、定価が僅か100円だった。当時の週刊朝日の定価が30円、その3冊分という安さだった。この価格を可能にしたのは、ザラ紙に凸版印刷だったからである。私はまだ高校生だったが、写真愛好家ばかりではなく、広く一般に売れ、大ベストセラーになったことを憶えている。無論当時でも上質紙にグラビア印刷は可能だったが、敢えて価格を低くするためだったようだ。土門もあとがきで「この体裁の本になったのは、まず百円という定価に押さえた〔ママ〕ぼくの責任である」と書いている。こんな本が出てきたとネットで紹介したところ「1977年版なら持っている」というコメントがいくつかあった。調べ直したところ1977年、築地書館から再版されたようだ。ダブルトーン印刷、ハードカバーで、2700円だそうである。いまさらザラ紙に凸版印刷という復刻は無理なのだろうけど、ちょっと考えさせられるものがある。2008年、京都国立近代美術館で開催されたユージン・スミスの写真展を観に行ったが、会場に展示されていた古い LIFE 誌に釘付けとなってしまった。彼の暗室作業をほんの少し手伝った経験があるのでよく知っているが、芸術家肌で、ファインプリントを志向する写真家だった。従って綺麗な作品が並んでいたのだが、何故かザラ紙に印刷された写真のほうに迫力を感じたのである。報道写真は多くの人の目に晒されてこそ意味がある。だから大衆的な媒体が相応しいし、タブロー化は避けたほうが良いのではないだろうか。フトそういう思いが脳裡を走るのである。

2017年6月26日

モノクロ写真のカラー化で歴史が生き生きと蘇る


How Obsessive Artists Colorize Old Photos (7:05)

歴史的な写真は普通、モノクロの世界である。カラー写真は1861年という早い時期に試みられたにも関わらず、20世紀の後半まで主流にならなかった。しかし現在では鮮やかな色彩に溢れているため、モノクロ写真は私たちと歴史の間に感情的な隙間を作っている。従って過去は異質なもので、現在との関連が難しい、あるいは完全に理解し難いものになっている。それでは過去をカラーで見たらどうだろうか? 写真のカラー化によって、時間の境界が突然なくなり、今ある世界じゃないかと錯覚してしまう。ロンドンに本拠を置く「ダイナミクローム」のジョーダン・ロイドは、カラー化で歴史を蘇えらせる、執拗な完全主義者のひとりである。「色が失われていると、構図全体を見るのですが、色を追加すると、やや異なったやり方で写真を見るようになる。細部に興味を持つようになるのです」とジョーダンは知覚の変化の理由を説明している。新しいデジタル技術は、アーティストが手作業で着色する従来の方法よりも、遥かに正確に画像を再構成することを可能にした。しかしジョーダンは「やることが多い」という。その時代の色やスタイルを忠実に表現するために、日記や回想録、政府記録と広告などの歴史資料を読み、歴史専門家に相談する。元の画像のダメージを修復し、数百の色のレイヤーが写真に追加され、ブレンドされる。 これは時間がかかり、骨が折れるプロセスである。一枚の写真を仕上げるため、最長一ヶ月近くもかかったことがあるそうである。

2017年6月23日

マグナム創立70周年「パリ・マグナム写真展」のご案内

Paris 2003, ©Christopher Anderson

会 期:2017年7月1日(土)~ 9月18日(月・祝)10:00~18:00
会 場:京都文化博物館4階展示室(京都市中京区三条通高倉)
料 金:一般1,000円(800円)高大生600円(400円)小中生300円(300円)()前売・20名以上の団体
詳 細:http://www.bunpaku.or.jp/exhi_special_post/paris_magnum/

1947年、ロバート・キャパ、アンリ・カルティエ=ブレッソン、ジョージ・ロジャー、デビッド・シーモアによって「写真家自身によってその権利と自由を守り、主張すること」を目的として写真家集団・マグナムは結成されました。以後、マグナムは20世紀写真史に大きな足跡を残す多くの写真家を輩出し、世界最高の写真家集団として今も常に地球規模で新しい写真表現を発信し続けています。本展は、2014年12月から翌年4月までパリ市庁舎で開催され、大きな反響を呼んだ展覧会の海外巡回展として企画。マグナム・フォト設立70周年にあたり、60万点に及ぶ所属写真家の作品の中から、パリをテーマにした作品約130点あまりを選び展観するものです。芸術の都・パリは多くの歴史的事件の舞台でもあり、かつ、写真術発明以来、常に「写真の首都」でもありました。20世紀の激動を最前線で見つめ続け、現代においても現在進行形の歴史をとらえ続けるマグナムの写真家たちが提示する豊穣なイメージは、都市とそこに生きる人々の歴史にとどまらず、写真表現の豊かさをも我々に提示してくれると同時に、世界を発見する驚きに満ちた写真家たちの視線を追体験させてくれます。

2017年6月21日

高層住宅火災の犠牲になった若き女性写真芸術家

カディジャ・セイ「自写像」(第57回ヴェネチア・ビエンナーレ出展作品)

英国の「ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・フォトグラフィー」誌によると、6月14日、ロンドンの24階建て高層公営住宅「グレンフェル・タワー」で起きた火災で、将来を有望視されていた若き女性写真芸術家が亡くなった。カディジャ・セイ(Khadija Saye)、24歳。カディジャはガンビア人の母親と20階に住んでいた。名門ラグビー・スクールの奨学金で16歳まで一般教育を受けた後、彼女はUCA芸術大学の写真コースに進み、そこで彼女自身のアイデンティと、ガンビアの文化遺産をテーマに制作するようになった。卒業後、トッテム地区出身の労働党政治家デイビット・ラミーと結婚した肖像写真家、二コラ・グリーンに師事する。そして彼女は今年の第57回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展ディアスポラ館出展のため、シリーズ「住居:私たちが呼吸するこの空間(Dwelling: in this space we breathe)」を選んだ。これはまさにグレンフェル・タワーの生活における、ガンビアの伝統的精神の具現化だったようだ。火災が起こる前の5月10日、カディジャは「本当の旅だった。ママ、私はヴェネチアで展示されてる芸術家よ」とツイートしたという。

2017年6月18日

ジュリアン・レノン写真展「CYCLE」京都で開催


期 間:2017年6月23日(金)~9月17日(日)11:00~19:00(月曜休館)
会 場:ライカギャラリー京都(京都市東山区祇園町南側)075-532-0320

イングランドのリヴァプールで生まれたジュリアン・レノン(ジョン・レノンと最初の妻シンシアの長男)は若い頃から芸術の道を進み始め、生まれながらの才能を音楽活動で発揮してきました。しかしその才能は音楽にとどまらず、映画やビジュアルアートまで多岐におよび、豊かな人生観をもとに、音楽活動、ドキュメンタリー映画の制作、慈善活動、そして写真にも、自分ならではの表現力を注ぎ込んでいます。2010年9月にマンハッタンで開催された、U2と絵画的な風景を捉えた初の写真展「Timeless」では、撮影者としての力量を余すところなく披露しました。それ以降もジュリアンは米国や欧州で「Alone」コレクションをはじめとした数々の写真展を開き、最近では写真と慈善活動を融合させた「Horizon」(きれいな飲料水を緊急に必要としているアフリカの各地域のために活動している「Charity: Water」と「ホワイト・フェザー基金」と協力)を展開しています。ジュリアンはケニアとエチオピアを巡ってさまざまな写真を撮影し、見る者が写真を通じてその土地固有の文化について学び、現地の窮状も認識できるような機会を提供しています。

2017年6月17日

東松照明さんと太陽の鉛筆

東松照明『太陽の鉛筆』(毎日新聞社1975年)

浅間山荘事件があった1972年、私は東京に移り中野に居を構えた。翌年、写真家の富山治夫さんがアパートを引き払うことになり、彼が作った暗室があったので、そこに移り住んだ。新宿のど真ん中、屋上に上がると天空を占拠した高層ビルが迫ってきた。近所に東松照明さんが住んでいて、その頃のメモにはこんな下りがある。
東松照明さんは籠から文鳥を出すと手のひらに乗せた。二眼レフというのはねぇ、おじぎカメラと言うんだ。亜熱帯をテーマにした『太陽の鉛筆』をカメラ雑誌に連載してるころだった。ふつうのカメラはファインダーを覗くと直視する形になるだろ。二眼だと下を見るから相手は安心する。おじぎ、そうなんだよね。おじぎをして撮らせてもらうのさ。ふーん。私は関心する。それにしても太陽の鉛筆ってうまい表現だなと私は思った。スタッフっていろいろたいへんらしいね、と東松さんは言う。この間、毎日新聞のカメラマンもぼやいていたよ。そうですか? そんなことありません、楽ですよ。(『私的写真論への覚え書き』より)
その『太陽の鉛筆』は1975年に毎日新聞社から「カメラ毎日別冊」として出版された。前半は沖縄で撮影された35ミリカメラによるモノクロ写真だが、後半はローライフレックスで撮影された台湾、フィリピン、インドネシア、マレーシア、ベトナム、タイ、シンガポールなどの島々および沖縄のカラー写真である。モノクロも良いが、色鮮やかなカラー写真も素晴らしい。まさにアジアの色である。東松さんはこのシリーズで、沖縄は琉球ネシアであり、日本本土ではなく、むしろ東南アジアと「海上の道で」でつながっていると主張したかったのかもしれない。いずれにせよ、この写真集が東松さんの代表作となった。初版オリジナルを所持しているが、私にとっては強い影響を受けた、手放しがたい一冊である。

2017年6月15日

英国製釣り用バッグの魅力

Brady Ariel Trout Small Bag and Fujifilm Finepix X100

インナークッションボックス
釣りに使うのではない、カメラを持ち歩くためである。英国チャップマン社の Troutbeck 12" の傷みが酷くなったので、新しく買い替えることにした。キャンバス地のカメラバッグと言えば、やはりビリンガムが脳裡を走る。かつて Hadley を持っていたが、クッション材による着脱可能な中仕切りが特長である。ところが最近は様々なサイズのインナークッションボックスが市販されているので、好みのバッグがカメラ用に変身する。真鍮のリングが付いていないのも物足りないので、敢えてビリンガムを対象から外した。そこで頭に浮かんだのがハーディ社の Test Bag だった。大きさを見てみると、幅38cm x 高さ30cm x 奥行き10cmで、A4サイズの書類やノートパソコンなどを持ち歩くにはちょうど良い。ところがバッグというのは「大は小を兼ねない」のである。私がふだん携行しているのは、富士フイルムのコンパクトデジタルカメラと、ホルガのピンホールカメラくらいで、横幅38cmはちょっと大きい。ハーディ社は英王室御用達で、創業1872年、フライフィッシングの名門ブランドである。ところがどうやら身売りしてしまったらしく、日本ないし中国製である。この点が気になり、結局ブレディ社Ariel Trout Small に落ち着いた。大きさも幅35 x 高さ27 x 奥行き9cmとちょうど良く、素朴で田舎っぽいデザインも好ましかったからである。

2017年6月14日

悟ってない自分を痛感する断捨離

捨てがたい書籍が書棚に並んでいる

やや旧聞になるが、5月4日付けマイナビニュースによると、俳優の高橋英樹氏が、33トン分の断捨離実行したところ「ゴミ屋敷に近い量の物があった」という。彼は同じ中学校の同期生だが「70歳を超えたし、うちにある物を全部処分しよう」と思ったからだったという。断捨離とは必要もないもの、使わないものを手放すことで、やましたひでこ氏の登録商標だそうである。私も身の回りを整理して身軽になりたいという願望がある。じゃあ何を捨てるか。自分が撮影した写真が掲載されてる雑誌の切り抜き帳は捨てがたいが、ある程度コンパクトに纏めることができるだろう、問題はレコードと書籍である。古いLPレコードは惜しいけど、売却しても良いと思っている。CDのみにすれば、プレーヤーなども処分できる。さらにCDもNASにストレージ、ディスクそのものを処分するという手があるが、ちょっと躊躇われる。次に書籍だが、これを断捨離するのは厄介である。例えば2年間開かなかった書籍は、おそらく今後とも読む可能性がないだろう。だから売却しても良いような気がする。ところが不思議なもので、読まなくとも、その背が視界にあるだけで安らぐ。これらが消えたらきっと寂しくなるだろう。しかし本当に必要ない大型本は少しずつ処分しようと思う。文庫本の類は電子書籍に切り替えることも可能だが、紙の感触はこれまた捨てがたい。実に悩ましいが、すべてが手元から離れたら、ずいぶんすっきりするだろうと想像する。断捨離に躊躇、悟ってない自分を痛感する。

2017年6月12日

突然 Facebook にログインできなくなって


昨日の朝、ソーシャルメディア Facebook にアクセスしようとしたところ、ページのコンテンツが削除されたというメッセージが表示され、ログインできない状態になっていた。どうやら原因は、上掲の写真を投稿したためらしかった。これはマルチタレント、マドンナの無名時代、プロモーション用に撮影されたもので、その写真集の紹介のつもりだった。Facebook は利用規約に従っていないコンテンツを投稿すると、アカウントを一時凍結か、最悪の場合は剥奪されてしまうようだ。利用規約には次のような一項がある。
差別的、脅威的、またはわいせつ的なコンテンツや、暴力を誘発するようなコンテンツ、ヌードや不当な暴力の描写が含まれるコンテンツは投稿できません。
これを読むとヌード写真が、猥褻あるいは暴力を誘発するコンテンツと同列に扱われている。マドンナの写真はポルノグラフィーではないし、決して猥褻じゃないと私は思う。この写真集は日本国内でも堂々と市販されているものだし、その判断は不当だと感ずる。しかし「利用規約に反している」と指摘されれば、ユーザーは反論できない。しかし当該写真を削除した旨を伝えてくれるだけで良かったんじゃないかと思う。24時間後にログインできるようになったが、いきなりアクセス拒否する前に助言して欲しかった。

2017年6月5日

逆さにしてもドナルド


まさかさかさま

上のイラストを180°回転し、逆さにすると下のイラストになる。つまりドナルド・ダックの絵を逆さにするとドナルド・トランプの絵になるというわけである。このイラストはインターネットの多数のサイトに拡散されているが、ソース、つまり作者は不明。従ってクレジット表示はできないが、着眼点に感心する。余りにも傑作なので、ここに転載することにした。なお私がつけたキャプションの「まさかさかさま」は、右から読んでも「まさかさかさま」である。縦書きにすると上から読んでも下から読んで同じ回文である。

2017年6月3日

パリ協定離脱宣言した米大統領の愚挙

Climate Change Policies x Trump ©Carlos Amorim

ロイター通信日本語版によると6月1日、トランプ米大統領が選挙公約通り、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」から米国が離脱すると発表したという。米国は温暖化ガス排出量が中国に次いで世界第2位で、世界の排出量の15%以上を占めるため、離脱の影響は大きいとみられる。つまり協定が形骸化する恐れがあるからだ。いわばポピュリズムがなせる業(ごう)なのだろうけど、当然のことながら国内外から強い反発の声が上がっている。ロイター通信は2日、米国の離脱決定は予想されていたが、これで気候変動に関する世界的取り組みの指揮が中国に移ったことが確認された、という見解を報じている。地球温暖化という差し迫った難題が、大国間の政治ゲームになっているのである。安倍晋三という男によって、この日本はどんどんオカシナ国になっているが、ドナルド・トランプという男によって、この地球がオカシクなりつつある。

2017年6月1日

カポエィラ・アンゴーラ@京都芸術センター

ブラジルの伝統芸能「カポエィラ」を体感する

日 時:2017年6月9日(金)10日(土)11日(日)13:00~20:00
会 場:京都芸術センター(京都市中京区室町通蛸薬師下る)
料 金:無料(事前申し込み不要​)
主 催:インジンガ京都 https://www.nzingakyoto.com/

この3日間、日本でカポエィラ・アンゴーラを支え続けてきた講師を招き、年齢、性別、人種を問わず愛され守られてきたこの異文化芸術を幅広く紹介するために、京都芸術センターにてレクチャー&ワークショップを行います。初心者、経験者、多くのカポエィラの同志が集まることによって産み出される「トランス(高揚感・一体感)」を体験してみませんか? この3日間を通して、ブラジルの歴史、身体・精神・音楽性について考え、その神秘を体感してください。