2019年5月31日

新聞はなぜ縦書きのままなのか

朝日新聞大阪本社発行5月31日付け夕刊

ワシントンポスト紙のレイアウト(クリックで拡大)
これは松山市の道後温泉にある「ローソン道後ハイカラ店」の看板のLの字が、夕方になっても消えたままという記事である。ツバメがLの字の下に巣を作ったので、この字だけを点灯させないようにしたという、心温まる記事だ。見出しの「Lの愛」も秀逸だが、横書きであることが興味深い。ときどき同紙はこのようなレイアウトをするが、なぜ全面的に横書きにしないかという疑問が沸く。日本語は縦書き、横書き、どちらでも書くことのできる便利な言語だが、新聞は縦書きを踏襲したままである。日本語の記述は漢文に倣ったもので、縦書きを前提にしているからだろう。寺院の扁額や紙幣は、あるいは横断幕はいわばフォーマットが扁平であり、必然的に横書きになっている。これはいわば例外で、書籍などはやはり縦書きが主流である。新聞の場合英数字が読みやすい横書きのほうが良いと思っているが、異端の意見として反発を受けそうだ。しかし昨今、コンピュータの普及により、多くの人が横書きに慣れ親しんでいると思う。公共機関、その他に提出する文書も横書きになっている。従って横書きの新聞に違和感を覚えないと想像するが、如何だろうか。ネット記事のアルファベットが全角なのは、本来縦書き用だからである。数字データも半角横書きのほうがベターだ。それに英字紙を見ればわかるが、何よりも、横書きのほうがレイアウトの自由度が高く美しいからだ。

2019年5月29日

サウンド編集ソフト DigiOnSound X Express を導入

デジオン DigiOnSound X Express のコントロールパネル(画像クリックで拡大)

前エントリーの末尾に書いたように、マルチトラックサウンド編集ソフト DigiOnSound X Express をダウンロード購入した。クリエイティブメディアの USB Sound Blaster Digital Music Premium HD r2 にバンドルされている Media Toolbox 6 でも録音ができるが、レベル調節などの細かい設定ができないからだ。
  1. CDからリッピングした音源をハイレゾ化して聴く
  2. 過去にmp3化した音源をハイレゾ化して聴く
  3. 録音品質の低いレコード音源をハイレゾ化して聴く
  4. アナログレコードのノイズをとる
DigiOnSound X Express の主な機能は以上の通りだが、ハイレゾ対応に関しては次のふたつの特長を持っている。すなわち失われた音が蘇る、DHFX エンジンによるハイレゾ支援、そしてハイレゾ音源のファイルフォーマットとして主流である、Apple Lossless、FLAC、DSDの編集に対応していること。前者は DHFX(Digion High Frequency eXtension)で従来のアップスケーリングでは再現できなかった、CD音源や圧縮音源で失われる高音域を予測再現する機能である。現在の私の主な目的がアナログレコードのデジタル化なので、レコードの針飛びノイズを削除するクラックルノイズリダクション機能が購入の動機になっている。レコードから録音した音源の曲間自動検出、アルバム単位での楽曲情報取得する、曲の自動分割機能にも注目した。また極めて細かい点だが、録音を一時停止できるので、これとは逆にレコードの裏表2面が繋がった、ひとつのファイルにすることができる。なお下記リンクボタンをクリックすると、ソフトウェアの概要と主な仕様を解説した PDF ファイルが表示され、ダウンロードも可能になる。

PDF  マルチトラックサウンド編集ソフト DigiOnSound X の概要と主な仕様(PDFファイル 6.59MB)

2019年5月26日

アナログ音源をデジタル化する近くて遠い道

クリエイティブ USB Sound Blaster Digital Music Premium HD r2 の接続例

USB Sound Blaster の製品パッケージ
アナログ LP レコード音源のデジタル化を、3年ほど前まではオンキョーのデジタルオーディオプロセッサー SE-U55SXII で行っていた。DAC(デジタル・アナログ・コンバータ)内蔵のオーディオセレクタで、なかなか優れものだったが、知り合いに譲ってしまった。最近、再びレコード音源のデジタル化をする必要に迫られたが、製造中止になってしまった。そこでクリエイティブの USB Sound Blaster Digital Music Premium HD r2 を購入した。7000円台半ばと手ごろな値段である。パソコンラックの天板には、デノンのレコードプレーヤーと同社のプリメインアンプ PMA-50 が載っている。そしてデンマークのダリ社製小型スピーカー ZENSOR PICO とヤマハのサブウーファー NS-SW210 がぶら下がっている。PMA-50 も USB-DAC を搭載しているので、これだけでも高音質だが、USB オーディオ環境を少しエンハンスしたくなったからだ。

オーディオ録音デバイスの選択(クリックで拡大)
レコードプレーヤーとアンプに結線、パソコンに USB 接続したのだが、いきなり躓いてしまった。YouTube やインターネットラジオなどのネットワークや、HDD にストレージしたローカル音源は再生できるのだが、肝心のアナログ LP レコードを聴くことができない。つまり録音しながら再生ができないのである。ネット検索したところ同じ事例が見つかったが、おそらく XP あるいは Vista で Windows のバージョンが古い環境らしく、残念ながら参考にならなかった。試行錯誤の果てに辿り着いたのが、左図のようなサウンドコントロールパネルだった。Sound Blaster には RIAA フォノイコライザーが内蔵されているので Line-in ではなく Phono-in を選択。そしてステレオミキサー(Realtek High Definbition Audio)をクリック、規定のオーディオ録音デバイスにしたら、なんと音楽が流れ出した。予想以上の高音質で驚く。偶然見つけた解決策で、この件に関するパソコンの技術知識を私は持ち合わせているわけではない。丸二日もかかってしまった苦闘だったが、思えば近いようで心理的には遠い道程だった。蛇足ながら録音目的ではなく、単にレコード鑑賞する場合でも、USB バスパワーを電源にしているから、パソコンの電源を ON にする必要がある。取りあえずアナログ LP レコード音源のデジタル化は、同梱の Media Toolbox 6 でテストしたが、デジオンのマルチトラックサウンド編集ソフト DigiOnSound X Express を導入、本格運用を目論んでいる。

2019年5月24日

1億200万画素は102メガピクセル

FUJIFILM GFX100

株式会社富士フイルムが昨日23日、1億200万画素のミラーレスデジタルカメラ「FUJIFILM GFX100」を6月下旬より発売すると発表した。35mm判(ライカ判)フルフレームの約1.7倍となるラージフォーマットセンサーを搭載した、ミラーレスデジタルカメラ「GFXシリーズ」のフラッグシップモデル。センサーの対角線の長さが約55mm(横43.8mm×縦32.9mm)で、35mm判の約43mm(横36mm×縦24mm)の約1.7倍の面積を持っている。ニュースリリースによると主な特長は次の通り。
  1. 新開発の1億200万画素イメージセンサーの搭載などにより世界最高峰の写真画質を実現
  2. 像面位相差による高速・高精度AFを実現
  3. ボディ内5軸・最大5.5段手ブレ補正機構の搭載で手持ち撮影を強力にサポート
  4. 4K/30P動画撮影機能の搭載により高品位な映像制作ニーズに対応
  5. 小型・軽量かつ高剛性ボディなどで優れた実用性を発揮
  6. 多彩な情報表示機能などで快適な操作性を実現
  7. 世界最高クラスの約576万ドット超高精細電子ビューファインダー搭載で正確なフォーカシングが可能
  8. 「16bit RAW」「16bit TIFF」記録対応などプロの撮影現場のニーズに対応
  9. 専用バッテリー2個搭載、USB充電・給電対応などユーザーの利便性をさらに向上
ここでちょっと気になるのが画素の数え方である。例えば Nikon Z7 は4570万画素と表記されるが、大きな大きな量を表わすSI接頭辞である Mega(メガ)を使えば 45.70メガピクセルとなる。同じように GFX100 の画素数1億200万は102メガピクセルである。確かに102メガピクセルのセンサーは凄いと思う。しかし Z7 の約2.2倍に過ぎなく、どうやら「億」という単位に惑わされてしまう感じだ。キロ、メガ、ギガ、テラといった情報単位を何故使わないか不思議である。

2019年5月23日

夏草や君わけ行けば風薫る/正岡子規

平野神社(京都市北区平野宮本町)

斑入額紫陽花(クリックで拡大)
五月晴れに誘われて近所の平野神社に参詣した。酔客に踏み荒らされた桜苑に夏草が蘇生、ほっとする。桜を傷める花見茶屋は止めて欲しいと思うが、こればかりは神社の都合、口をはさむわけにはゆかない。小手毬や独逸菖蒲も姿を消し、辛うじて蕾をつけているのが斑入額紫陽花だ。文字通り葉に白い斑が入った紫陽花だが、中央の花はまだ蕾のままだ。花の周囲を囲む萼片(がくへん)が現れるのは六月に入ってからだろう。この先どうなるか、観察を続けようと思う。葉が白くなるといえば半夏生(はんげしょう)を思い出す。本来、半夏生は五節句・二十四節気以外の季節の移り変わりの目安となる「雑節」のひとつを意味し、2019年の今年は7月2日だそうだ。植物の半夏生はその頃に葉が半分白くなるが、名前は「半化粧」に由来する。おしろい(白粉)を顔に半分塗った芸妓を想像してみるが、さぞかし艶めかしいに違いない。京都では東山区の建仁寺塔頭両足院の庭園が有名だが、私は毎年、山科区の勧修寺を訪れることにしている。

2019年5月22日

安倍首相は Abe Shinzo と表記して欲しいのだろうか

中国や韓国の政治家は「姓・名」の順で表記されている

報道各社によると、日本人の氏名をローマ字で表記する際、国内外で一般的とされる「名・姓」の順番ではなく、日本語表記と同様に「姓・名」の順にするよう、政府機関や都道府県などに改めて要請する考えを明らかにした。文化庁が近く通知を出すという。2000年に文部相(当時)の諮問機関が答申をまとめたが「20年近く経過し、趣旨が十分に共有されていない」(柴山昌彦文部科学相)として改めて官公庁や都道府県、大学や報道機関などに通知するそうだ。さらに外国でも「姓・名」表記するよう海外報道機関に要請するという。確かに習近平は Xi Jinping、文在寅は Moon Jae-in という具合に、中国や韓国の政治家は確かに英語でも「姓・名」になっている。安倍晋三首相は Abe Shinzo と表記して欲しいのだろうか。この話題を Facebook にポストしたところ、一般市民は「名・姓の順で表記されます」というコメントをいただいた。調べてみたとろ、例えばAI研究で有名な中国の学者、李開復は Kai-Fu Lee と「名・姓」の順に表記されている。しかし『史記』を著した司馬遷は Sima Qian と逆だし、どちらを先にするのか、その線引きがよく分からない。今回の文化庁の呼びかけは強制力はないので、おそらく普及しないのではと私は睨んでいる。手間がかかるし、官公庁や報道機関の足並みが揃わなければ、混乱を招くだけで、これといったメリットが見当たらないからだ。いずれにせよ20年前に浸透しなかった投信を、何故今ごろになって唐突に蒸し返すのか不可解である。

2019年5月19日

店内撮影禁止は遠くなりにけり

ポケモンセンター京都(京都市下京区四条通室町東入る)

SNS投稿もOK!(クリックすると拡大)
かなり昔の話になるが、京都四条通のショーウィンドウにカメラを向けたら、中から店員が飛び出してきた。有名ブランドの店だったのだが、撮影禁止だという。公道に面した展示なので、撮っても構わないと思ったのだが駄目だと言う。ちょっと押し問答をしたが、結局、撮影許可は下りなかった。ショーウィンドウはともかく、店舗の内部の撮影禁止はごく当たり前のことだった。展示方法を真似されないためという説明が一般的だったと記憶している。価格が競争店やメーカーにバレないようにするため、というのが本音の理由だったのだろう。時代を経た今日、その当たり前に変化が生じている。習慣を破ったのがヨドバシカメラだった。2015年9月から全店舗に無料 Wi-Fi サービスを導入したほか、店内で来店者がカメラ撮影できるようにした。ディスプレイや商品、イベントなどを撮影でき、撮影した画像を SNS やブログに投稿してもいいようにしたのである。ライバルのビックカメラが追従したのは言うまでもない。未だに店内撮影禁止をしてる商店は多いのだが、売り場が魅力的なら、撮影 OK にして広めてもらったほうが得策だと思われる。今春オープンした京都経済センターの中にある、ポケモンセンター京都を覗いたら、ピカチューの凝ったディスプレイが目に止まった。受付嬢に訊ねたら撮影は「どうぞどうぞ」という返事が返ってきた。このエントリーをきっかけに、ピカチューに会いに行く人がいるかも知れない。さて、如何だろうか。

2019年5月18日

花浮かぶ手水使わず去ぬるかな/漫歩

手洗い器に浮かべた花びら

花びらを浮かべて飾られた手水舎や手水鉢を花手水(はなちょうず)と呼ぶ。手水舎は社寺仏閣を参拝する前に、手や口をすすいで、身を清めるところ。手水鉢も本来は身を清めるための水を確保する器をさす。茶の湯にも取り入れられ、露地の中に置かれるようになり、つくばいと呼ばれるようになった。長岡京市浄土谷堂ノ谷にある、楊谷寺の紫陽花の花手水が「インスタ映え」するということで有名である。京都市左京区鹿ヶ谷にある法然院の境内にある、手水鉢の花手水を何度か私は拝見している。四月初旬の特別拝観の際に飾られる椿が有名で、今年も貫主である梶田真章住職が自ら撮影、ソーシャルメディア Facebook に掲載していた。写真は庭の片隅にある、手水鉢ならぬ手洗い器に浮かべたバラとクレマチスである。いずれも昨夏、東京へ転居した娘が育てた花樹で、朽ち果てる前に家人が飾ったもの。表題は花が浮かんでいたので、手水を使わなかったという意味の句だが、我が家の庭も同じ状態が続きそうだ。

2019年5月16日

丸山穂高「戦争で北方領土奪還」発言に潜む歴史の闇

ジョルジュ・ビゴー「ロシアとの戦争を日本にけしかける英米両国」1904(明治37)年ごろ

北方領土への「ビザなし交流訪問団」に同行していた丸山穂高衆議院議員が、元島民の訪問団長とのやり取りのなかで「戦争でこの島を取り返すことに賛成ですか、反対ですか」と迫ったという。団長が「戦争なんて言葉は使いたくないです。使いたくない」と否定しても、丸山議員は「でも取り返せないですよね」と追及。そしてさらに「戦争しないとどうしようもなくないですか」と続けたそうだ。日本維新の会代表の松一郎大阪市長は当初「言論の自由」と庇ったが、騒ぎが大きくなり、慌てて除名処分にして議員辞職を迫った。しかし丸山議員は辞職をしない考えを表明している。それでは何故あのような発言をしたのだろうか。

千島列島を巡る紛争の歴史クリックで拡大
フランクリン・ルーズベルト米大統領は、1945年2月のヤルタ会談で、ソ連のヨシフ・スターリン首相に対日参戦を求め、千島列島をソ連領とすると提言した。そしてソ連は同年8月18日、千島列島に進攻を開始する。イラストはジョルジュ・ビゴーが描いた、日露戦争をけしかけた英米の風刺漫画だが、米国は「第二次日露戦争」をそそのかしたのである。この史実はどうやら広く一般に浸透していないようだ。日本政府はポツダム宣言を受諾し、連合国に無条件降伏し同年9月2日降伏文書に調印した。これによって千島列島はソ連の占領下になった。そして1951年、サンフランシスコ平和条約を批准、日本は千島列島の放棄を約束してしまった。米国代表は「千島列島には歯舞群島は含まないというのが合衆国の見解」と発言したが、ソ連代表のアンドレイ・グロムイコ第一外務次官は「千島列島に対するソ連の領有権は議論の余地がない」と主張した。吉田茂主席全権は条約受諾演説で「千島列島及び樺太南部は、日本降伏直後の1945年9月20日、一方的にソ連領に収容されたのであります」「日本の本土たる北海道の一部を構成する色丹島及び歯舞諸島も終戦当時たまたま日本兵営が存在したためにソ連軍に占領されたままであります」と述べている。これが日本政府が不法占拠だと主張してきた所以だろう。ところが北方領土の日の今年2月7日、北方領土返還要求全国大会が採択したアピール文から、これまで使ってきた「北方四島が不法に占拠されている」との文言が消えてしまった。交渉に行き詰まった安倍政権が、ロシアを刺激しないようにする狙いがあったのである。丸山議員の発言趣旨をそのまま代弁するわけにはゆかないが、武力で奪われたという史実を強調したかったのだろう。自らの交渉では解決しないと観念した安倍晋三首相に、皮肉にも結果的に助力してしまった可能性がある。この一件でさらに領土返還交渉が遠のけば「丸山のせいだ」と首相は言い逃れできるからだ。

2019年5月15日

カメラストラップのニコン巻き異聞

ストラップの先端が隠れる取り付け方

富士フイルム X100F の使用説明書より
新規購入した富士フイルムのデジタルカメラ X100F の使用説明書に、左のようなイラストが載っている。ストラップをカメラに取り付ける方法を解説したものだが、私のやり方と違うことに気づいた。ストラップを間に通すことで回ってしまうのを防ぐためのパーツ、樹脂製サルカンがストラップの長さを調節するためのアジャスターの外側、つまり肩当に近いところにある。これはカメラ側に近い位置に付けるべきではないか。それにストラップの先端が浮き出たままで心もとない。そこで上図のように取り付けてみた。最後にストラップをアジャスターの肩当側の穴に入れ、逆方向に折り返して通すのがコツである。3本通せる厚さのサルカンなら、さらに先端をカメラ側に突っ込むと結びが安定する。
キヤノンの Q&A 検索より

こうすると先端が隠れ、見た目がスッキリするので、私はこの方法で取り付けている。ちょっと気になり、ネットで検索したところ、これは「ニコン巻き」「報道結び」と俗に言われている方法だそうである。確かにニコンの説明書に載っている方法であるが、同社が発明したわけではないと思う。この方法が「報道結び」と呼ばれてることに対して、キヤノンユーザーは心外かもしれない。スペインの写真関連サイト PHOTOLARI がまとめたデータによると、世界報道写真コンテスト2018年度受賞作品で使用されたカメラは、ニコンが他社を圧倒したそうである。しかし2016年のリオデジャネイロ五輪では互角だったと言われている。来年の東京五輪の協賛社はキヤノンだし、報道写真の分野でシェアが低いわけではない。キヤノンのQ&A検索ページを覗いたら、富士フイルムと基本的には同じような方法が掲載されていた。ただしサルカンはボディに近いところに付いている。また「やっぱりニコン巻きをやめた」というキヤノンユーザーが、その理由を「アンチニコン派だからです」とブログに書いているのを読んで、思わず苦笑してしまった。確かに罪なネーミングである。しかしこれは長い間報道写真に関わってきた私も知らなかったし、一部の写真愛好家に流布している呼び方に過ぎない。ニコンの専売特許ではないし、他社のカメラだからと言って使わないのはオカシナ話である。

2019年5月13日

企業は何故ロゴを変更するのか

復活したコダックの「K」マークロゴ(2016年)

「K」マークを外したロゴ(2006年)
最近、写真関連企業のリンク用ボタンを作成して、当ブログのサイドバーに貼り付けた。各企業のロゴを援用したのだが、作業中、コダックのそれが変更になっていることに気づいた。同社は1880年4月創業、1880年に商標登録をした。当初は文字主体のシンプルなロゴだったが、1971年にカメラのシャッターをモチーフとする赤と黄色の「K」マークを採用した。フィルムメーカーを表現するために「K」の字の2本の線を光線のように描いたという。米国版 WIRED によると、デザインしたのはグラフィック・アーティストの C・ペーター・オストリッヒだった。ところが2006年、簡素な赤文字のロゴと差し替えた。このロゴを今まで使っていると勘違いしたのは、コダックのサイトを訪れることがなくなったからだった。調べてみたら、2016年10月下旬に「K」マークを復活させたのである。ボールド体のフォント大文字にし、縦に配置したものだった。せっかく浸透したデザインを何故わざわざ変更するのか。3年前の変更なので今や旧聞となってしまったが、やはり興味深い。同社は2012年に破産申請、再起を祈願して古いロゴを復活させたようだ。コダックのブランドディレクターであるダニー・アトキンスは、この古くて新しいロゴは「現代のノスタルジア」と説明しているという。ところで日本のキヤノンも変更を繰り返している。
これはキヤノンのロゴ変遷史インフォグラフィックである。1933年に高級小型写真機の研究を目的とする精機光学研究所を開設、翌年、国産初の35mmフォーカルプレーンシャッターカメラ「KWANON(観音)」試作した。 観音菩薩の慈悲にあやかりたいという気持ちからのネーミングだったという。そして1935年に商標 CANON を出願している。私はカノン砲を連想したことがあるが、キリスト教の聖書正典、すなわちカノンを意味するようだ。創業時のロゴには、千手観音が描かれ、火焔をイメージした KWANON の文字がデザインされている。1935年のロゴは細い文字だが、時代を経るごとに次第に太くなり、現在に至っている。ロゴの変更は写真業界ばかりではない。かのグーグルも2015年9月に変更している。GIZMODO によると、ウロコがあるセリフ体はモバイルの小さな画面では潰れて読みにくくなることが問題だった。そこで小さな飾りがないサンセリフ体のフォントにして回避させたようだ。コダックの新しいロゴもサンセリフ体である。

google Why Google changed its logo: the thinking behind the design (catchnews)

2019年5月9日

ショルダーバッグにこだわる浦島太郎

Brady Small Ariel Trout Bag and Fujifilm X100F

今月初めに投稿した「写真機と畳は新しい方が良い」と題したエントリーで、新しく購入した富士フイルムのデジタルカメラ X100F の写真を掲載した。ノースフェイス社のリュック型デイパック Single Shot を背景に撮ったものだった。しばらくこの組み合わせで外出していたのだが、長続きせず、以前使っていた、英国ブレディ社の釣り用バッグ Small Ariel Trout に戻した。タウンユース用デイパックの普及は目覚ましいものがあり、今やスーツ姿のビジネスマンも背負う時代と変貌した。容量が大きいし、両肩を使うので重量負担が小さい。そして両手が空くといったメリットがある。しかしながら、何と言っても、荷物を取り出すために、いちいち降ろすという面倒を避けられない。定期入れや携帯電話など、頻繁に使う小物の収納に向いていないというデメリットもある。そういう訳で後戻りしてしまった。コンパクトカメラ、そしてせいぜい野鳥観察用の双眼鏡や、文庫本などしか入れていないので、軽量である。余談ながらカメラ量販店のバッグ売り場を覗いたら、リュック型が主流になっていた。釣り用バッグを改造した、英国ビリンガム社のカメラバッグの特設ケースが消えていることに軽いショックを受けた。クッション地のインナーバッグを併用し、釣り用をカメラ用に転用するという、私自身のアイデアの元になった製品である。どうやら浦島太郎になりつつあるようだ。

2019年5月7日

第一次世界大戦下の風刺漫画

Japan Russia Diplomacy by Frank M. Williamson 1918

第一次世界大戦中、ヨーロッパでは政治的プロパガンダを目的に漫画が使用された。ほとんどすべての有名な新聞や雑誌が、国内および最前線での戦争を支援するために、政治的な風刺画を作成して掲載した。日本では余り知られていないだろうと思われる、Period Paper のコレクションの一部をここに紹介したい。イギリス、イタリア、ドイツ、オランダで掲載された漫画である。風刺画は庶民の目線を神髄とするわけだが、戦時下ゆえに心理戦もしくは宣伝戦の色彩が濃く、いささかユーモアに欠けるきらいがある。しかし時代の記録として貴重であると思う。画像をクリックすると拡大表示されるので、タイトルや作者名を読むことができる。

WWI Rare Political Editorial Cartoons from 1917-1918 — From Premier Cartoonists of the Era
画像をクリックすると拡大表示されます

2019年5月5日

マイクロソフト Office 2019 導入記


昨年11月「マイクロソフト Office 2003 の蘇生」と題した記事を投稿した。Office 365 を導入したら、突然パソコンから古いバージョンの Office が消えてしまった。ところが Office 2003 のディスクがあったので、再びインストールした。ただ Office 2003 のサポートは、2014年4月9日に終了しているので、当然ながら動作保証はしていない。というわけで新たに Office 2019 を導入することにした。極めて使用頻度が少ないのに関わらず、やはり必要なツールだからだ。購入は当初、マイクロソフトの公式ストアからと思っていたが、アマゾンのほうがかなり廉価であることが分かった。基本的な3つのアプリケーション WORD EXCEL OUTLOOK を搭載した "Office Personal 2019" が 29,252円で、2,900円ほど安い。次の手順で導入した。
  1. オンラインコード版の購入
  2. プロダクトキーの入手
  3. アプリケーションのダウンロードとインストール
  4. ショートカットアイコンの設定
WORD /  EXCEL / OUTLOOK
購入手続きを済ますとメールが届き「ダウンロードライブラリへ」という案内に従うと、プロダクトキーが表示された。「office.com へ」というボタンをクリックしたら、ダウンロード用サイトに飛んだ。ここで注意すべきは、ライセンス認証のためにアカウント取得が必須となっていることだ。従って Office 2019 をインストールする場合はアカウント登録をしなければならない。アカウント設定の確認が済むとセットアップ用ファイルのダウンロードが始まった。後はこのファイルを実行すればインストールできる仕組みになったいる。ちょっと戸惑ったはインストールが完了しても、ショートカットアイコンを自動的に作成してくれなかったことだ。いささか迷ったが、エクスプローラーを起動してなんとか「C:\Program Files\Microsoft Office\root\Office16」というフォルダを探し当て、デスクトップにアイコンを置くことができた。アプリケーションを起動すると、画面右上にマイクロソフトのアカウント名とプロフィール画像が表示される。パソコンは2台まで、あくまでも「個人用」であることを明示しているのだろう。同じパソコンを使う家族などのアカウントを追加すると、切り替えることができる。

microsoft  マイクロソフト Office 2019 のインストール方法―必要な準備とトラブル対処法

2019年5月3日

動物の権利と動物園のあり方

ンゴロンゴロ自然保護区(タンザニア)1981年

初めて上野動物園に行ったのは、小学生のときで、写真が残っている。しかし一体何を見たか記憶にない。イメージとして「お猿の電車」が浮かぶが、あとで刷りこまれたものだろう。大人になってからは動物園とは縁遠くなったが、子どもが生まれてからは何度か足を運んだ。その成長と共に再び縁遠くなったが、パンダなど稀に雑誌の取材撮影で再訪することもあった。好天に誘われて京都市動物園を訪ねてみた。10連休の真っ只中、家族連れで満員状態だった。この動物園は京都の「町衆」の手によって1903(明治36)年4月に開園した全国で2番目の歴史ある施設だという。京都大学と野生動物の保全と共生に向けた「野生動物保全に関する教育及び研究の連携に関する協定書」を締結している。ゴリラなど希少動物の繁殖や動物を通した教育に取り組んで来たという。その主旨はよく理解できる。ゴリラ舎は以前より改善され、草木がたくさん植えられている。しかし建物自体はあくまで人工のものであり、アフリカの密林ではない。象の展示スペースに至っては、改装前より広くなったが、コンクリート固めで、これまたアジアの森林とは程遠い。努力は評価したいが、どこか釈然としないものが残るのは、私だけだろうか。動物の権利(アニマルライツ)を主張する書籍に触れてみた。

技術と人間(1986年)
種が違うからといって、違った扱いをすべきではないと主張する、オーストラリア出身の哲学者、倫理学者でプリンストン大学のピーター・シンガー教授が編纂した本書は、新しい動物解放運動の魁といえるだろう。15人の寄稿者のうちのひとり、コロラド大学のデール・ジャミーソン教授は「動物園反対論」を唱えている。動物園とは何か? 筆者はリクリエーションあるいは教育を目的とした動物を展示する公園に過ぎないと定義している。ところが多くの動物園長は、娯楽の提供であることを否定するという。いわば囚われの動物たちは、必要悪であるという発想である。では教育に関してはどうか。だったらフィルムやスライドで十分であり、檻の中の動物を見せることではない。さらに動物園で行われている研究だが、不自然な環境で飼われてる動物を研究することによって、学べるものは何もないという主張を展開している。また絶滅の危機に瀕した種の保護に関しては、例えばマウンテンゴリラの2、3頭を閉じ込めていくことが本当に良いことかと疑義を呈している。絶滅の危機に瀕している種の保護によって現行の動物園システムの存在理由を正当化できないというのだ。動物園は自然界における人類の位置について、間違ったことを教えていると結論している。

文春文庫(2006年)
アメリカの動物園を巡り歩いた、川端裕人氏の著書を続けて読んでみた。ネット通販アマゾンのカスタマーレビューによると、1999年に単行本が出版された後、動物園水族館関係者の間では「バイブル」とまで言われ、古書店で8000円の高値を付けられたこともあったらしいという。その意味では文庫版復刻は有難い。それはともかく、動物園関係者が、いわば門外漢が著したルポルタージュに何故瞠目したのだろうか。要するに動物園のあり方に対し、旧態然、関係者が何ら顧みなかったという証かもしれない。著者はアメリカの動物園を回り、そのあり方に対し複雑な感情を抱きながら、いわば試行錯誤を重ねながら本書を記述したようだ。驚くことに日本の公立動物園の園長は官僚に過ぎなく、動物に関して深い造詣を持っているわけではないようだ。動物園にいる専門家は獣医だけの所が多いという。アメリカでは、上記デール・ジャミーソン教授も触れているが、絶滅危惧種の保護、そしてそれらを野生に返す作業をしているという。その成功例も報告されているが、その一方では、所詮動物を展示する娯楽施設に過ぎないという見方は拭えないようだ。著者の根本理念は「動物園は正当化できないか」という命題に掛ってるようだ。動物園は「多くの誠実な努力と少々の嘘。未知数の益と未知数の害。多くの動物を苦しめるかのしれないが、多くの動物を救うかもしれない。

京都市動物園(京都市左京区岡崎法勝寺町)
多くの人々を不愉快にさせるかもしれないが、生態系のために戦う戦士を生み出すこともある。人々に何も与えないかもしれないが、多くを学ぶ人もいる。可能性に満ちているが、きわめて両義的な場所」と結論している。京都市動物園の象をしばらく見ていると、コンクリートの壁に囲まれた「檻」の同じコースを堂々巡りしているのに気づく。狭い檻の中のライオンやトラもそうだったが、行ったり来たりの連続は、ひょっとしたらイライラしているのではと思う。私はかつてケニアとタンザニアの動物保護公園を巡る旅をしたという恵まれた経験を持っている。これら東アフリカの公園が、真に「自然」かどうか、その点に迫る知識を持っていない。しかし少なくとも動物園の動物よりのびのびと暮らしているという印象を持っている。長い首のキリンに歓声を上げていた幼かった我が子を思い出すと、動物園って楽しくていいなと思う。でも、きっとアフリカに連れて行ったなら、もっと感動したに違いない。しかし誰もができることではない。

2019年5月1日

写真機と畳は新しい方が良い

FUJIFILM X100F & NORTH FACE SINGLE SHOT

富士フイルムのコンパクトデジタルカメラ「FinePix X100」を購入したのは2011年4月だった。発売後1カ月で入手したわけだが、様々な理由で飛びついた。レンズは23mmの短焦点、センサーはAPS-Cサイズ、従って画角は、焦点距離35㎜レンズを付けたフルサイズカメラに相当する。レンズ交換できな点が潔く、第一ゴミが入らないのが良い。レンジファインダーのフィルムカメラを彷彿させるデザインにも惹かれた。以来、今日まで使い続けてきた。壊れたわけではないが、ついに最新機を導入することにした。いま思い出すと、2013年2月に後継機「X100S」が発売されたときは、軽いショックを受けた。ローパスフィルターレスが採用されたからだ。ローパスフィルターは高周波を取り除き、モアレと偽色を抑えることができる。


そのために細かい模様をぼかすことになる。従ってローパスフィルターを外せば高精細、シャープな描写になる。だだわずか2年での買い替えは憚れた。さらに2014年11月に「X100T」が発売されたけど、これもパスした。そして2017年初頭に「X100F」がデビューした。2年を経過、いささか遅きに失したが、手を出すことにした。使い親しんできた初代「X100」が壊れたわけではない。外観は同じでも、中身の進化に反応せざるを得なくなったからである。細かい仕様に関してはメーカーのサイトに任すことにしよう。物欲は戒めなければならないが、高級ミラーレス一眼カメラより安価、決して贅沢ではないと自分に言い聞かせている。元号が変わっても、気持ちは新たにならないが「写真機と畳は新しい方が良い」と思う。写欲が沸いてきた。

iris 富士フイルム X100F 製品仕様詳細RAW ファイルコンバータ(Win & Mac)のダウンロード