2012年7月27日

レコードジャケットがアートだったころ


Robert Johnson first records in a markeshift studio in a San Antonio hotel room - Nov. 1936

King of the Delta Blues Singers Vol.II: Colombia 300034
このパノラマ風の細長いイラストはレコードジャケットの裏表を合成してトリミングしたものである。Facebookに作成したページ「アメリカンルーツ音楽」用に作ったもので、掲載したところ少なからぬ反応があった。オリジナルは左のアナログLPレコード「King of the Delta Blues Singers Vol.II」である。表のイラストには小柄の男がホテルの部屋の片隅で、マイクに向かってギターを手に歌っている。ロバート・ジョンソンである。マイクのケーブルが床を這い、ドアの下を這い出ている。裏面を見る、このケーブルは録音機に繋がっていることが分かる仕組みだ。技師は白人である。商業レコード黎明期の様子が彷彿として蘇ってくる見事なイラストである。数多くのジャケットを見てきたが、これは傑作のひとつである。LPジャケットは約32x32センチあり見応えがある。その見応えゆえに、このジャケットがアートになっているのである。レコードがCDになった利点はあるが、ジャケットの見栄えに関しては不満が残る。LP時代はジャケットのデザインだけで判断して買ったことが何度もあるが、最近はそのようなことはしない。ましてやジャケットどころかライナーノーツもない、音源だけの曲をダウンロードして購入したことは一度もない。高域周波数カットによって「倍音」がなくなり、艶のない音になってしまったが、視覚的アートも失われてしまったのである。

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