2012年7月14日

レコードジャケットがFSAプロジェクトの写真を教えてくれた


Fiddlin' Bill Hensley, Asheville, North Carolina
アナログLPプレーヤーが絶不調と書いたが、あやうく廃棄するところだった。うまく動かなかったのはオートプレーで、迂闊なことに手動で針を盤に落とすことを怠っていた。どうやら自動化に飼い慣らされたせいか、基本のことを忘れていた。もともとレコードプレーヤーは手でアームを操作するものだ。やってみたらちゃんと動いた。純正はとっくに製造中止のレコード針も、互換品を通販で新たに入手、再びアナログ環境が戻った。ところでFacebookにページ「アメリカンルーツ音楽」を作っているのだが、昨日連続してNLCR(ニュー・ロスト・シティ・ランブラーズ)のことをポストした。1960年代から今日まで、ずっと聴き続けてきた、というより尊敬し続けてきたグループである。リーダー格のマイク・シーガーは、ピート・シーガーの義弟、父親が米国国会図書館の研究員だったため幼いころから古い商業レコードに囲まれて育った。彼が結成したNLCRは、その古い商業レコードの演奏を再現することだった。私が感服したのは演奏ばかりではなく、ジャケットにしばしば使われたFSA(農業安定局)プロジェクトが世界恐慌勃発後の農村を記録した写真である。上掲アルバムの写真は画家ベン・シャーンが撮影したもので、この他にノースカロライナ州アッシュビルで撮影したフィドル弾きビル・ヘンズリーの写真が有名である。実は私がFSAプロジェクトの写真を知ったはNLCRのレコードからであり、いわばドキュメンタリー写真史の一端を教えてくれた恩師なのである。なおメンバーのひとり、ジョン・コーエンは写真家でもあり、ボブ・ディランなど、1960年代のニューヨークのフォークシーンの貴重な写真を残している。ロバート・フランクとも親交があり、上掲アルバムのライナーノーツに彼が撮ったNLCRの写真が掲載されている。また "Modern Times" (Folkways FTS 31027)のジャケットのカバーには、そのフランクにしては珍しいカラー写真が使われてるのも興味深い。

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