2024年12月12日

ソーシャルメディアの弊害(1)精神的な弊害を考える

Social Media
青少年の心を蝕むソーシャルメディア(画像作者不詳)

ソーシャルメディアは長年にわたって拡大し、人々を結びつけるデジタルフォーラムから、若い世代のニュースソースへと進化してきた。ソーシャルメディアの登場によって、私たちが互いに交流する方法、物事を学ぶ方法、そして世界を認識する方法が変化したのである。2000年代半ばに Facebook、YouTube、Twitter が登場し、2010年代半ばに Instagram、Snapchat、 TikTok が登場した。ソーシャルメディアは便利なツールである一方、精神衛生上の問題を引き起こし、集中力を低下させ、誤情報の発信源となっている。最近では兵庫県知事選で愚民を扇動、集団ヒステリーが勃発したことが記憶に新しい。政治の領域でさえもその影響に屈していることがわかる。しかしその暗い側面にもかかわらず、ユーザーに何らかの良い影響を与えてきたことは否定できない。「ソーシャルメディアの最大の利点は、人々と連絡を取り合うことができること」であると同時に「そうでなければ出会うことがなかったかもしれない人々と出会うことができる」と言える。ヒントはその名前にあると言えそうだ。ソーシャルメディアは、何よりもまず、家族、友人、見知らぬ人々の間で社会的交流を構築し、維持するためのものだった。新しいプラットフォームが開発されるにつれ、人々がそれを利用する方法も変化した。この変化は「ほとんど目に見えないが、大きな影響があった」のである。「既存のつながりを控えめに利用することを促進する代わりに、つながりを潜在的な放送チャンネルに変えた」ため一気に「何十億もの人々が自分を有名人、評論家、流行の発信者とみなすようになった」のである。

social media

ソーシャルメディアの使用をめぐる議論では、特に子供や青少年のメンタルヘルスへの影響が長らく議論の中心となってきた。多くの研究で、幼少期のソーシャルメディアの多用と自尊心の低さ、身体醜形障害、精神的ストレスの増大との間に関連性があることがわかっているという。オーストラリア連邦議会は現地時間の2024年11月27日、ソーシャルメディアの利用開始年齢を16歳以上とする法案を可決した。対象となったプラットフォームは TikTok、Facebook、Instagram、X、Snapchat などで YouTube は健康や教育関連のサービスであるとして除外されている。米国では精神衛生へのリスクから、公衆衛生局長官のヴィヴェック・H・ムルシーがニューヨーク・タイムズ紙の論説で「ソーシャルメディアのプラットフォームに公衆衛生局長官の警告ラベルを貼るように」と求めた。ムルシーは、Facebook、Instagram、TikTok、X などのプラットフォームは「青少年に重大な精神衛生上の害」をもたらす可能性があると述べ、だからこそ議会はこれらのプラットフォームに警告を発するよう義務付けて、アルゴリズムによるフィードによって増幅される「オンライン上の嫌がらせ、虐待、搾取」から米国の若者を守るべきだと主張した。TikTok の成功に刺激されて短編コンテンツの人気が高まったことにより、子供や若者の集中力の持続時間に関する懸念も生じている。

social media

中毒性があるいわゆる「TikTok 脳」現象は、ドーパミンを急上昇させる短編動画に絶えずさらされることで発生するもので、YouTube の短編動画を含む他のプラットフォームでも徐々に標準となりつつある。フェイクニュース、別名偽情報は何世紀にもわたって何らかの形で存在してきた。しかしソーシャルメディアの台頭により、フェイクニュースは急速に広まった。ソーシャルメディアの「エコーチェンバー」とオンラインの「トロール」の影響は、世界中の社会の極端な二極化や、私たちが生きる時代を特徴づけるようになったポピュリスト政治家の台頭に見ることができる。これに加えて、プライバシーとセキュリティに対する懸念が高まっている。2018年のケンブリッジ・アナリティカのスキャンダルは Facebook などのプラットフォームのデータが第三者によって政治的利益のために操作されていたことを明らかにした。最近では TikTok と中国政府とのつながりを懸念する声が高まり、英国も米国に続き、大臣や公務員の携帯電話への TikTok のインストールを禁止した。西側諸国の安全保障当局は「これにより膨大な量のデータが世界中に漏洩する恐れがある」と警告している。下記リンク先はカリフォルニア州グレンデールにあるアンダーソン・W・クラーク・マグネット高校のオンライン学生新聞に掲載された「スクリーンの暗黒面:社会におけるインフルエンサーの悪影響」(英文)である。

Social Media The dark side of the screen: negative impact of influencers in society | Clark Chronicle

0 件のコメント: