2024年12月24日

ソーシャルメディアの弊害(4)ファクトチェックの重要性

兵庫県知事選で稲村陣営が誹謗中傷を10倍したは誤り

日本ファクトチェックセンター (JFC)が12月23日「兵庫県知事選で稲村陣営が誹謗中傷を10倍した」という情報は間違いだったと公表した。検証対象は2024年12月21日、X(旧ツイッター)で拡散された「これが選挙妨害の実態です 稲村陣営の方が10倍誹謗中傷していることがデータで判明しています だけど斎藤さんは訴えたりしません」という情報である。この投稿には『Yahoo!リアルタイム検索』より作成と表記のあるグラフが付いている。「既得権益」「#さいとう元知事がんばれ」「斎藤 パワハラ」「#いなむら和美を兵庫県知事に」「公益通報」「稲村 外国人参政権」というネットで拡散した6つの言葉の拡散数の変遷を現している。グラフの横軸の日付は県知事選告示日の10月31日から投票前日の11月16日までだ。このグラフを画像検索すると11月29日に神戸新聞 NEXT で配信された記事が見つかる。記事は「既得権益」「さいとう元知事がんばれ」兵庫知事選終盤、Xで大量に投稿 真偽不明の情報も拡散」という見出しで、兵庫県知事選の期間中ネット上で拡散した言葉がどの時点で急増したのか、その背景を探る分析記事だ。しかし、稲村陣営やその支持者が選挙妨害したり、斎藤氏側を誹謗中傷したりしたかなどは説明していないし、グラフからもそうした事実を読み取れない。というわけで同センターは兵庫県知事選をめぐって、落選した稲村和美氏の陣営が選挙妨害や誹謗中傷を「10倍していたことがデータで明らかになった」という情報がグラフと共に拡散したが、誤りと判定したという。

>X(旧ツイッター)で拡散されたグラフ
X(旧ツイッター)で拡散されたグラフ

蛇足ながら12月20日付け読売新聞オンライン版が、兵庫県知事選(11月17日投開票)でPR会社代表が斎藤元彦知事側から「広報全般を任された」と投稿サイトに書き込んだ問題で、告示前の10月上旬、斎藤陣営の広報担当者から「SNS監修はPR会社にお願いする形になりました」とのメッセージが支援者の一人に送られていたことが関係者への取材でわかった、と報じている。2025年早々に兵庫県知事選の再選挙となる可能性が出てきたようだ。ところで世界中のファクトチェッカーは、誤情報を特定し、それを修正し、その調査結果を広めるという共通の課題に直面している。しかし北米や西ヨーロッパの国々以外では、ファクトチェッカーへの資金提供と研究が最も集中している国々では、いくつかの課題は大きく異なります。そして、こうした問題は、発展途上国、武力紛争、権威主義の影響を受けている状況では特に困難である。偽情報を特定し、オンラインでの拡散を阻止することは、世界中のファクトチェッカーの中心的な仕事であり、資金力のある組織は、Facebook などのソーシャルメディアプラットフォームで公開されている情報の流れを監視するための高度なツールを開発してきた。しかし、これらは必ずしもすべての状況で最も重要なコミュニケーションチャネルではない。米国でさえ、偽情報は WhatsApp、Telegram、Signal チャットグループなどのプライベートチャネル内でますます広まっているようだ。下記リンク先の記事はロンドンを拠点とする英国のファクトチェックサイト Full Fact の記事「オンラインファクトチェックの課題:テクノロジーがどのように役立つか(そして役に立たないか)」である。

FullFact  The challenges of online fact checking: how technology can (and can't) help | Full Fact

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