2024年12月2日

限りなく黒に近いグレーの斎藤元彦兵庫県知事

大作戦を提案中
折田楓のオフィスで「大作戦」を提案中? ©2024 merchu

兵庫県知事選で再選を果たした斎藤元彦知事を支援したPR会社「merchu(メルチュ)」の経営者、折田楓がメディアプラットフォーム "note" に投稿した「兵庫県知事選挙における戦略的広報」が炎上したままだ。すでに内容の一部がが改竄されているが、オリジナルの記事、所謂「魚拓」を読んでみた。目次は次の通りである。

はじめに
きっかけ
1. プロフィール撮影
2. コピー・メインビジュアルの一新
3. SNSアカウント立ち上げ
    セキュリティについて
    公式アカウントとしての信頼感の担保
    ハッシュタグについて
4. ポスター・チラシ・選挙公報・政策スライド
5. SNS運用

当初の記事では「斎藤陣営で広報全般を任せていただいていた立場として、まとめを残しておきたいと思います」とある。まさしくメルチュが斎藤元彦の選挙運動に関わった証拠であるが、現在の "note]" は「今回広報全般を任せていただいていた立場として、まとめを残しておきたいと思います」と言い換えられている。斎藤陣営の代理人弁護士はメルチュに報酬71万5,000円を支払っていると説明している。その内訳は(1)スライド制作30万円(2)チラシデザイン制作15万円(3)メインビジュアル企画・制作10万円(4)ポスターデザイン制作5万円(5)選挙公報デザイン制作5万円(合計65万円)と消費税(10%)6万5,000円だという。ちなみに選挙運動用ポスター(個人演説会告知用ポスターを含む)およびチラシの製作費は公費負担で済むが、あくまでデザイン料ということらしい。またSNS運用はすべて斎藤陣営で行っていたと主張しているが、これは折田楓の記事と大きく乖離している。SNS運用はメルチュが請け負ったと思われるが如何だろう。

プロフィール撮影風景 ©2024 merchu

斎藤元彦の写真撮影に関しては「プロフィール写真の撮り直しからスタート。3年前の兵庫県知事選挙の時のイメージは、今の斎藤さんのイメージと異なるため、撮り直しのご提案をしました。大阪にプライベートスタジオをお持ちの信頼できるカメラマンさんと、友人に紹介してもらったヘアメイクさんに急遽ご依頼をしました」とあるが、撮影費用はどうしたのだろうか。プロの写真家にとってメルチュはクライアントであり、タダとは考え難いが、この辺りの説明は見当たらない。メルチュの「広報全般」が有償なら公選法に抵触する可能性があり、無償でも贈収賄の可能性があるという。本人は会社や自信の実績としてPRしたつもりだろうが、クライアントつまり斎藤陣営の情報を自ら公開するなど、広報のプロとしてはあるまじき行為だろう。斎藤知事側は契約書もかわしていなかったという。斎藤元彦の代理人である奥見司弁護士が11月27日に会見を開いたが、メルチュの提案とされる「#さいとう元彦知事がんばれ」とのキャッチコピーについて「10月入ってからスタッフで相談して決めた」と説明した。記者が「もしかして改竄後の "note" を見ています?」と畳みかけると、目を見開きながら表情を曇らせ、プリントアウトした手元資料をめくりながら「私の持っているのと違う」と発言したという。コミュニケーション不足なのか、リスク管理の甘さなのか、斎藤元彦を巡って起きる事案はどれも類似、限りなく黒に近いグレーである。12月2日付けABCニュース電子版によると、元検事の郷原信郎弁護士と神戸学院大学法学部の上脇博之教授が、斎藤元彦知事とPR会社メルチュ代表の折田楓を兵庫県警と神戸地検に刑事告発した。万が一公選法違反となれば、公民権停止となり再立候補はできなくなる。

note  折田 楓(メルチュ)「兵庫県知事選挙における戦略的広報」魚拓(改竄前のオリジナル記事の写し)

2024年12月1日

複数の芸術的才能に恵まれていた華麗なるファッション写真家セシル・ビートン

Bridesmaids for the Wedding
Bridesmaids for the Wedding of Sir Hugh Houston, 1933
Cecil Beaton

セシル・ビートンは1904年1月14日、ロンドンの高級住宅街、ハムステッドに生まれた。戦争、ポートレート、ファッションの写真家。また、衣装や舞台のデザイナー、インテリアデザイナー、画家としても活躍した。ヘルス・マウント・スクール、セント・シプリアン・スクールに学び、そこで自分の芸術的、創造的才能を認識するようになる。幼少期には、乳母が使っていたコダック3Aという古いカメラで写真の練習をした。乳母は彼に写真の基本やフィルムの現像方法について教育した。また母親や姉妹にポーズをとってもらい、練習したものだった。そして、ある程度上手になると、ペンネームで社会誌に写真を送ることが多くなった。セント・ジョンズ・カレッジで建築、美術、歴史を学ぶ。その間もビートンは写真を撮り続け、大学時代の知り合いを通じてマルフィ公爵夫人に似た人物を撮影する機会を得、それがヴォーグ誌に掲載されることになる。その後、学位を取得し、父のもとで働きながら、週末を利用して写真を撮り続けた。ロンドンのクーリング・ギャラリーで、オズバート・シットウェルの後援のもと、ビートンの最初の展覧会が開催された。

Pilot and co-pilot
Pilot and co-pilot in the cockpit, 1941

さらに成功を収めようとニューヨークに渡り、徐々にその名声を高めていった。コンデナスト出版と契約し、写真を撮っていたが、これらの写真はもっぱら彼らのためのもので、何千ポンドもの価値があった。撮影には中判の二眼レフ、ローライフレックスと大判カメラの両方を使用した。ビートンはポール・タンカレー(1905-1991)のスタジオで専門的に写真を学びながら、チャリティーのための衣装や書籍のジャケットをデザインした。その後、退廃的なライフスタイルで知られる英国の社交家、ステファン・テナント(1906–1987)を最初のクライアントとして、個人スタジオを設立する。ビートンが撮影したテナントの写真は、1920年代から30年代の「明るい若者」の姿を最もよく表している。1931年、フランス版『ヴォーグ』の写真家ジョージ・ホイニンゲン=ヒューン(1900–1968)が渡英した際、ビートンはイギリス版『ヴォーグ』の写真を担当した。

Audrey Hepburn
Audrey Hepburn, in costume, My Fair Lady, 1964

このアーティストサークルの交流から、1930年代を代表する新しいスタイルが生まれたのである。『ヴォーグ』『ヴァニティ・フェア』のフォトグラファーとして活躍。さらに、ハリウッドのセレブも撮影した。残念なことに、ビートンはニューヨークのイラストを描いた写真の横に「カイク(ユダヤ人を指すアメリカ生まれの口語)」などの蔑称を使い始めた。この行為でアメリカン版『ヴォーグ』から解雇され、彼のせいでその号は刷り直しになった。このエピソードはセシル・ビートンにとって非常に屈辱的なもので、彼はイギリスに戻り、女王の推薦で情報省での仕事を与えられることになった。このとき、ウィンストン・チャーチル首相(1874–1965)を撮影している。また、第二次世界大戦中のモハンマド・レザー・シャー・パフラヴィー(1919–1980)とファウジア・ファウド・チリーヌ(1921–2013)とその子供も撮影している。この時、ドイツの電撃戦の犠牲となったアイリーン・ダンの姿も撮影している。

Eileen Dunne
Eileen Dunne in The Hospital for Sick Children, 1940

彼女はまだ3歳で、病院の療養ベッドでテディベアを抱きしめていた。これは、彼の最も不朽の名作となる。そしてビートンは英国を代表する戦場カメラマンとなった。その一方、特筆すべきは英王室における宮廷写真家としての地位を確立したことである。ポール・ヒル、トーマス・クーパーのインタビュー集『写真術』(晶文社1988年)によると1945年、バッキンガム宮殿に招かれ、滞在中のギリシャのオルガ王女(1903-1997)に写真を撮るように頼まれたのが最初だったようだ。もしかしたら英王室は彼の存在を知らなかったのかもしれない。そして三日後にエリザベス王女(1926-)とその母エリザベス・ボーズ=ライアン王妃(1900-2002)を撮ることを依頼される。これを皮切りに、英王室全員を撮るようになったのである。写真は1945年に撮影された王女時代のエリザベスII世だが、美しい。華麗の一言に尽きる。

Princess Elizabet
Princess Elizabeth at Buckingham Palace, 1945

1951年、マーガレット王女(1930–2002)の21歳の誕生日にディオールのクリーム色のドレスを着て撮影し、この写真は20世紀を代表する王室のポートレートとなった。1946年に再演されたブロードウェイの『ウィンダミアの扇』ではセット、衣装、照明をデザインし、出演もしている。これがきっかけとなり、ラーナー&ロエベの映画ミュージカル『ジジ』(1958年)と『マイ・フェア・レディ』(1964年)の2作品が生まれ、それぞれビートンはアカデミー賞の衣装デザイン賞を獲得した。また、1970年の映画『晴れた日には永遠に見える』では、時代物の衣装をデザインしている。その後1974年、脳梗塞で倒れ、体の自由が利かなくなり、左手で絵を描いたり、字を書いたり、カメラを持ったりできるようになったものの、挫折を味わうことになる。将来の経済状況を心配した彼は、サザビーズのフィリップ・ガーナー(1949-)と交渉し、彼の作品が年間収入を得られるような方法をとってもらった。1977年、ビートンの作品は5回にわたってオークションにかけられた。1980年1月18日、ウィルトシャー州ブロードチョークの自宅レディッシュハウスで、76歳の誕生日の4日後に亡くなった。

photographer  Cecil Beaton (1904–1980) Photographer's Biography and Art Works | Huxley-Parlour

写真術における偉大なる達人たち

Avenue de l'Observatoire
Brassaï (1899–1984) Avenue de l'Observatoire dans le brouillard, Paris, 1934

2021年の夏以来、思いつくまま世界の写真界20~21世紀の達人たちの紹介記事を拙ブログに綴ってきましたが、2024年12月1日現在のリストです。右端の()内はそれぞれ写真家の生年・没年です。左端の年月日をクリックするとそれぞれの掲載ページが開きます。

21/08/23ロマン派写真家エドゥアール・ブーバの平和への眼差し(1923–1999)
21/09/18女性初の戦場写真家マーガレット・バーク=ホワイト(1904–1971)
21/09/21自由のために写真を手段にしたエヴァ・ペスニョ(1910–2003)
21/10/04熱帯雨林アマゾン川流域へのセバスチャン・サルガドの視座(born 1944)
21/10/06アフリカ系アメリカ人写真家ゴードン・パークスの足跡(1912–2006)
21/10/08写真家イモージン・カニンガムは化学者だった(1883–1976)
21/10/10現代アメリカの芸術写真を牽引したポール・ストランド(1890–1976)
21/10/11虚ろなアメリカを旅した写真家ロバート・フランク(1924–2019)
21/10/13作為を排した新客観主義に触発されたストリート写真の達人ロベール・ドアノー(1912–1994)
21/10/16大恐慌時代をドキュメントした写真家ラッセル・リー(1903–1986)
21/10/17日記に最後の晩餐という言葉を残して自死した写真家ダイアン・アーバスの黙示録(1923–1971)
21/10/19報道写真を芸術の域に高めたユージン・スミス(1918–1978)
21/10/24プラハの詩人ヨゼフ・スデックの光と影(1896-1976)
21/10/27西欧美術を米国に紹介した写真家アルフレッド・スティーグリッツの功績(1864–1946)
21/11/01ウジェーヌ・アジェを「発見」したベレニス・アボット(1898–1991)
21/11/08近代ストレート写真を先導したエドワード・ウェストン(1886–1958)
21/11/10社会に影響を与えることを目指した写真家アンセル・アダムス(1902–1984)
21/11/13ウォーカー・エヴァンスの被写体はその土地固有の様式だった(1903–1975)
21/11/16写真少年ジャック=アンリ・ラルティーグ異聞(1894–1986)
21/11/20世界で最も偉大な戦争写真家ロバート・キャパの軌跡(1913–1954)
21/11/25児童労働の惨状を訴えた写真家ルイス・ハインの偉業(1874–1940)
21/12/01写真家アンリ・カルティエ=ブレッソンの決定的瞬間(1908–2004)
21/12/06犬を人間のいくつかの性質を持っているとして愛撮したエリオット・アーウィット(1928-2023)
21/12/08リチャード・アヴェドンの洗練されたポートレート写真(1923–2004)
21/12/12バウハウスの写真家ラースロー・モホリ=ナジの世界(1923–1928)
21/12/17前衛芸術の一翼を担ったマン・レイは写真の革新者だった(1890–1976)
21/12/29アラ・ギュレルの失われたイスタンブルの写真素描(1928–2018)
22/01/10ペルーのスタジオをヒントに自然光に拘ったアーヴィング・ペンの鮮明な写真(1917-2009)
22/02/25抽象的な遠近感を生み出した写真家ビル・ブラント(1904–1983)
22/03/09男性ヌードや花を白黒で撮影した異端の写真家ロバート・メイプルソープへの賛歌(1946–1989)
22/03/18写真展「人間家族」を企画開催したエドワード・スタイケン(1879–1973)
22/03/24キュメンタリー写真家ブルース・デヴッドソンの慧眼(born 1933)
22/04/21社会的弱者に寄り添った写真家メアリー・エレン・マーク(1940-2015)
22/05/20写真家リンダ・マッカートニーはビートルズのポールの伴侶だった(1941–1998)
22/06/01大都市に変貌する香港を活写したファン・ホーの視線(1931–2016)
22/06/12肖像写真で社会の断面を浮き彫りにしたアウグスト・ザンダー(1876–1964)
22/08/01スペイン内戦に散った女性場争写真家ゲルダ・タローの生涯(1910–1937)
22/09/16カラー写真を芸術として追及したジョエル・マイヤーウィッツの手腕(born 1938)
22/09/25死と衰退を意味する作品を手がけた女性写真家サリー・マンの感性(born 1951)
22/10/17北海道の風景に恋したイギリス人写真家マイケル・ケンナのモノクロ写真(born 1951)
22/11/06アメリカ先住民を「失われる前に」記録したエドワード・カーティス(1868–1952)
22/11/16大恐慌の写真 9,000 点以上を制作したマリオン・ポスト・ウォルコット(1910–1990)
22/11/18人間の精神の深さを写真に写しとったペドロ・ルイス・ラオタ(1934-1986)
22/12/10アメリカの生活と社会的問題を描写した写真家ゲイリー・ウィノグランド(1928–1984)
22/12/16没後に脚光を浴びたヴィヴィアン・マイヤーのストリート写真(1926–2009)
22/12/23写真家集団マグナムに参画した初めての女性イヴ・アーノルド(1912-2012)
23/03/25フランク・ラインハートのアメリカ先住民の肖像写真(1861-1928)
23/04/13複雑なタブローを構築するシュールレアリスム写真家サンディ・スコグランド(born 1946)
23/04/21キャラクターから自らを切り離したシンディー・シャーマンの自画像(born 1954)
23/05/01震災前のサンフランシスコを記録した写真家アーノルド・ジェンス(1869–1942)
23/05/03メキシコにおけるフォトジャーナリズムの先駆者マヌエル・ラモス(1874-1945)
23/05/05超現実主義絵画に着想を得た台湾を代表する写真家張照堂(1943-2024)
23/05/07家族の緊密なポートレイトで注目を集めた写真家エメット・ゴウィン(born 1941)
23/05/22欲望やジェンダーの境界を無視したクロード・カアンの感性(1894–1954)
23/05/2520世紀初頭のアメリカの都市改革に大きく貢献したジェイコブ・リース(1849-1914)
23/06/05都市の社会風景という視覚的言語を発展させた写真家リー・フリードランダー(born 1934)
23/06/13写真芸術の境界を広げた暗室の錬金術師ジェリー・ユルズマンの神技(1934–2022)
23/06/15強制的に収容所に入れられた日系アメリカ人を撮影したドロシア・ラング(1895–1965)
23/06/18女性として初の戦場写真家マーガレット・バーク=ホワイト(1904–1971)
23/06/20劇的な国際的シンボルとなった「プラハの春」を撮影したヨゼフ・コウデルカ(born 1958)
23/06/24警察無線を傍受できる唯一のニューヨークの写真家だったウィージー(1899–1968)
23/07/03フォトジャーナリズムの父アルフレッド・アイゼンシュタットの視線(1898–1995)
23/07/06ハンガリーの芸術家たちとの交流が反映されたアンドレ・ケルテスの作品(1894-1985)
23/07/08家族が所有する島で野鳥の写真を撮り始めたエリオット・ポーター(1901–1990)
23/07/08戦争と苦しみを衝撃的な力でとらえた報道写真家ドン・マッカラン(born 1935)
23/07/17夜のパリに漂うムードに魅了されていたハンガリー出身の写真家ブラッサイ(1899–1984)
23/07/2020世紀の著名人を撮影した肖像写真家の巨星ユーサフ・カーシュ(1908–2002)
23/07/22メキシコの革命運動に身を捧げた写真家ティナ・モドッティのマルチな才能(1896–1942)
23/07/24ロングアイランド出身のマルクス主義者を自称する写真家ラリー・フィンク(born 1941)
23/08/01アフリカ系アメリカ人の芸術的な肖像写真を制作したコンスエロ・カナガ(1894–1978)
23/08/04ヒトラーの地下壕の写真を世界に初めて公開したウィリアム・ヴァンディバート(1912-1990)
23/08/06タイプライターとカメラを同じように扱った写真家カール・マイダンス(1907–2004)
23/08/08ファッションモデルから戦場フォトャーナリストに転じたリー・ミラーの生涯(1907-1977)
23/08/14ニコンのレンズを世界に知らしめたデイヴィッド・ダグラス・ダンカンの功績(1907-2007)
23/08/18超現実的なインスタレーションアートを創り上げたサンディ・スコグランド(born 1946)
23/08/20シカゴの街角やアメリカ史における重要な瞬間を再現した写真家アート・シェイ(1922–2018)
23/08/22大恐慌時代の FSA プロジェクト 最初の写真家アーサー・ロススタイン(1915-1986)
23/08/25カメラの焦点を自分たちの生活に向けるべきと主張したハリー・キャラハン(1912-1999)
23/09/08イギリスにおけるフォトジャーナリズムの先駆者クルト・ハットン(1893–1960)
23/10/06ロシアにおけるデザインと構成主義創設者だったアレクサンドル・ロトチェンコ(1891–1956)
23/10/18物事の本質に近づくための絶え間ない努力を続けた写真家ウィン・バロック(1902–1975)
23/10/27先見かつ斬新な作品により写真史に大きな影響を与えたウィリアム・クライン(1926–2022)
23/11/09アパートの窓から四季の移り変わりの美しさなどを撮影したルース・オーキン(1921-1985)
23/11/15死や死体の陰翳が纏わりついた写真家ジョエル=ピーター・ウィトキンの作品(born 1939)
23/12/01近代化により消滅する前のパリの建築物や街並みを記録したウジェーヌ・アジェ(1857-1927)
23/12/15同時代で最も有名で最も知られていないストリート写真家のヘレン・レヴィット(1913–2009)
23/12/20哲学者であることも写真家であることも認めなかったジャン・ボードリヤール(1929-2007)
24/01/08音楽や映画など多岐にわたる分野で能力を発揮した写真家ジャック・デラーノ(1914–1997)
24/02/25シチリア出身のイタリア人マグナム写真家フェルディナンド・スキアンナの視座(born 1943)
24/03/21パリで花開いたロシア人ファッション写真家ジョージ・ホイニンゲン=ヒューン(1900–1968)
24/04/04報道写真家として自活することに成功した最初の女性の一人エスター・バブリー(1921-1998)
24/04/20長時間露光により時間の多層性を浮かび上がらせたアレクセイ・ティタレンコ(born 1962)
24/04/2820世紀後半のイタリアで最も重要な写真家ジャンニ・ベレンゴ・ガルディン(born 1930)
24/04/30トルコの古い伝統の記憶を守り続ける女性写真家 F・ディレク・ウヤル(born 1976)
24/05/01ファッション写真に大きな影響を与えたデヴィッド・ザイドナーの短い生涯(1957-1999)
24/05/08社会の鼓動を捉えたいという思いで写真家になったリチャード・サンドラー(born 1946)
24/05/10直接的で妥協がないストリート写真の巨匠レオン・レヴィンシュタイン(1910–1988)
24/05/12自らの作品を視覚的な物語と定義している写真家スティーヴ・マッカリー(born 1950)
24/05/14多様な芸術の影響を受け写真家の視点を形作ったアンドレアス・ファイニンガー(1906-1999)
24/05/16芸術的表現により繊細な目を持つ女性写真家となったマルティーヌ・フランク(1938-2012)
24/05/18ドキュメンタリー写真をモノクロからカラーに舵を切ったマーティン・パー(born 1952)
24/05/21先駆的なグラフ誌『ピクチャー・ポスト』を主導した写真家バート・ハーディ(1913-1995)
24/05/24グラフ誌『ライフ』に30年間投稿し続けたロシア生まれの写真家リナ・リーン(1914-1995)
24/05/27旅する写真家として20世紀後半の歴史に残る象徴的な作品を制作したルネ・ブリ(1933-2014)
24/05/29高速ストロボスコープ写真を開発したハロルド・ユージン・エジャートン(1903-1990)
24/06/03一般市民とそのささやかな瞬間を撮影したオランダの写真家ヘンク・ヨンカー(1912-2002)
24/06/10ラージフォーマット写真のデジタル処理で成功したアンドレアス・グルスキー(born 1955)
24/06/26レンズを通して親密な講釈と被写体の声を伝えてきた韓国出身のユンギ・キム(born 1962)
24/07/05演出されたものではなく現実的なファッション写真を開発したトニ・フリッセル(1907-1988)
24/07/07スウィンギング60年代のイメージ形成に貢献した写真家デイヴィッド・ベイリー(born 1938)
24/07/13著名人からから小さな町の人々まで撮影してきた写真家マイケル・オブライエン(born 1950)
24/07/14人々のドラマが宿る都市のカラー写真を制作したコンスタンティン・マノス(born 1934)
24/08/04写真家集団「マグナム・フォト」所属するただ一人の日本人メンバー久保田博二(born 1939)
24/08/08ロバート・F・ケネディの死を悼む人々を葬儀列車から捉えたポール・フスコ(1930–2020)
24/08/13クリスティーナ・ガルシア・ロデロが話したいのは時間も終わりもない出来事だ(born 1949)
24/08/30ドキュメンタリーと芸術の境界を歩んだカラー写真の先駆者エルンスト・ハース(1921–1986)
24/09/01国際的写真家集団マグナム・フォトの女性写真家スーザン・メイゼラスの視線(born 1948)
24/09/09アパルトヘイトの悪と日常的な社会への影響を記録したアーネスト・コール(1940–1990)
24/09/14宗教的または民俗的な儀式に写真撮影の情熱を注ぎ込んだラモン・マサッツ(1931-2024)
24/09/23アメリカで最も有名な無名の写真家と呼ばれたエヴリン・ホーファー(1922–2009)
24/09/25自身を「大義を求める反逆者」と表現した写真家マージョリー・コリンズ(1912-1985)
24/09/27北海道の小さな町にあった営業写真館を継がず写真芸術の道を歩んだ深瀬昌久(1934-2012)
24/10/01現代アメリカの風変わりで平凡なイメージに焦点を当てた写真家アレック・ソス(born 1969)
24/10/04微妙なテクスチャーの言語を備えた異次元の写真を追及したアーサー・トレス(born 1940)
24/10/06オーストリア系イギリス人のエディス・チューダー=ハートはソ連のスパイだった(1908-1973)
24/10/08映画の撮影監督でもあったドキュメンタリー写真家ヴォルフガング・スシツキー(1912–2016)
24/10/15芸術のレズビアン・サブカルチャーに深く関わった写真家ルース・ベルンハルト(1905–2006)
24/10/19ランド・アートを通じて作品を地球と共同制作するアンディ・ゴールドワージー (born 1956)
24/10/29公民権運動の活動に感銘し刑務所制度の悲惨を描写した写真家ダニー・ライアン (born 1942)
24/11/01人間の状態と現在の出来事を記録するストリート写真家ピータ―・ターンリー (born 1955)
24/11/04写真を通じて現代の社会的状況を改善することに専念したアーロン・シスキンド(1903-1991)
24/11/07自然と植物の成長にインスピレーションを受けた写真家カール・ブロスフェルト(1865-1932)
24/11/09ストリート写真で知られているリゼット・モデルは教える才能を持っていた(1901-1983)
24/11/11カラー写真が芸術として認知されるようになった功労者ウィリアム・エグルストン(born 1939)
24/11/13革命後のメキシコ復興の重要人物だった写真家ローラ・アルバレス・ブラボー(1903-1993)
24/11/15チリの歴史上最も重要な写真家であると考えられているセルヒオ・ララインの視座(1931-2012)
24/11/19イギリスのアンリ・カルティエ=ブレッソンと評されたジェーン・ボウン(1925-2014)
24/11/25カラー写真の先駆者ソール・ライターは戦後写真界の傑出した人物のひとりだった(1923–2013)
24/11/25サム・フォークがニューヨーク・タイムズに寄せた写真は鮮烈な感覚をもたらした(1901-1991)
24/11/29ゲイ解放運動の活動家だったトランスジェンダーの写真家ピーター・ヒュージャー(1934–1987)
24/12/01複数の芸術的才能に恵まれていた華麗なるファッション写真家セシル・ビートン(1904–1980)

子どものころ「明治は遠くなりにけり」という言葉を耳にした記憶がありますが、今まさに「20世紀は遠くなりにけり」の感があります。掲載した作品の大半がモノクロ写真で、カラー写真がわずかのなのは偶然ではないような気がします。20世紀のアートの世界ではモノクロ写真が主流だったからです。しかしデジタルカメラが主流になった21世紀、カラー写真の台頭に目覚ましいものがあります。ジョエル・マイヤーウィッツとサンディ・スコグランド、ジャン・ボードリヤール、 F・ディレク・ウヤル、マーティン・パー、コンスタンティン・マノス、久保田博二、ポール・フスコ、エルンスト・ハース、エヴリン・ホーファー、アレック・ソス、アンディ・ゴールドワージー、ウィリアム・エグルストン、ソール・ライタ、などのカラー作品を取り上げました。

photographer  Famous Photographers: Great photographs can elicit thoughts, feelings, and emotions.