2020年3月4日

新型ポリティカルウイルスをばら撒く安倍晋三首相

官僚が書いた原稿を読むだけの安倍晋三首相

新型コロナウイルスへの対応に関する安倍晋三首相の記者会見が、2月29日行われた。たまたまテレビを見ていたのだが、プロンプターを使って原稿を読み上げていた。プロンプターとは舞台芸術や講演などで、台詞や講演内容を忘れても混乱しないように手助けする人のことである。転じて原稿表示用機器の名称になった。しかしこの日は、丸ごとプロンプター頼りで、首相自身の言葉ではなかった。所信表明に続いて順番に記者が質問したのだが、これは予め仕組まれたもので、各質問に対する返答も用意されていて、その原稿を読んだに過ぎなかった。これは質疑応答とは言い難く、首相と官邸クラブの記者たちによる猿芝居だったのである。記者会見の時間はわずか35分程度で「まだ質問があります」と江川紹子さんが声を上げたが、長谷川栄一広報官が「以上をもちまして記者会見を終わらせていただきます」と打ち切った。
これに対し今月2日の参院予算委員会で会見を打ち切った理由を問われた首相は「時間の関係で打ち切らせていただいた」と述べたという。単なる言い逃れに過ぎないが、私は根源的な理由に、官邸官僚の存在があると睨んでいる。第2次政権発足当初は、誰もがこれほどの長期内閣を予想していなかった。2年目に入った2014年あたりからだろうか、永田町で「安倍一強」と呼ばれるようになる。その主役は首相自身ではなく、首相の威を借り、政策を操ってきた官邸官僚たちだったのである。その筆頭格は政務秘書官を務めてきた今井尚哉補佐官である。問題は今井らの官邸官僚たちが、首相や当人たちが思っているほどの結果を出せていないことである。例えば外交。対ロシア、対北朝鮮など、いずれも失敗をしている。安倍首相はよく「ウソつき」と揶揄される。しかし彼はそれを「ウソ」とは思っていないようだ。何故なら自分が書いた台本ではなく、他人が書いた台詞を読んでいるだけだからだ。コロナウィルスより怖い、新型ポリティカルウイルスをばら撒いている。

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