2020年3月11日

音楽 CD 不況の元凶はスティーブ・ジョブズか?


新型コロナウィルス(COVID-1) 感染が世界中に広まり、今やパンデミック状態の様相を呈している。こんな時こそ音楽を、というわけでライブハウスに出かける気持ちは理解できる。しかし大阪のライブハウスでのクラスター(感染者集団)が発覚した。おそらく他のライブハウスも営業自粛、あるいはオープンしても客が激減しているのではと心配している。さらに大がかりなコンサートも打撃を受けている。椎名林檎の「東京事変」が3月1日に東京公演を強行したところ批判を浴び、大阪公演を含む全国5公演の中止に追い込まれてしまった。音楽市場は CD が売れないため、ライブで成り立っている。その生産額は1990年代末にピークとなったが、以降減少の道を辿り続けている。特にアルバムの売り上げが、深刻な状態になっているという。その原因は音楽ファイルのオンライン販売、Youtube などの動画サイトの進展だとよく言われている。

講談社(2011年11月)
しかしバスや電車の中でイヤフォンを耳に挿し、スマートフォンで音楽を聴いている人が多い。私は CD をリッピングして MP3 ファイルに変換、タブレットにインストールして外出先で聴いているが、若い人たちはそんな面倒なことはしていないらしい。第一、スマートは持っているけど、パソコンは持っていない人が多いという。10年くらい前だったが、ある女子高校生のこんなエピソードを読んだ記憶がある。お気に入りのミュージシャンの曲を Youtube などで聴き、そのうちから曲を選んでダウンロード購入する。アルバムの中には好きになれない曲もあるからだという。上掲の写真はアイルランドのフィドル奏者マイケル・コールマン(1891–1945)の CD だが、歴史的記録ゆえにアルバム形式であることは自明である。また例えば「南北戦争時代の歌」といったアルバムは、アンソロジーゆえにファイルの切り売りはあり得ない。イーグルスのアルバム『ホテル・カリフォルニア』は、複数の楽曲を配置することによって、映画のの物語を構築している。そのアルバムをばらしてランダムに再生するようにしたのが、2001年にアップルが世に送り出した iPod だった。スティーブ・ジョブズ(1955–2011)はプレスレビューで「こんなに小さいのに1000曲も入るし、ポケットに入れて持ち歩くことができるんだ」と自慢した。ジョブズは音楽愛好家として知られ、彼の伝記を読んで私は『ブランデンブルク協奏曲』の CD を購入した。オーディオマニアでもあり、自宅に超高級装置を揃えていたという。MP3 形式の音質に満足したはずはないのだが、趣味とビジネスは違うということなのだろう。iPod はヒット、iTunes ストアは1曲99セントで販売を始めたが、2002年には米国の CD の正規販売は9パーセントに落ち込んでしまった。

YouTube  Steve Jobs is holding the original iPod at its unveiling in Cupertino, Calif., Oct. 23, 2001.

0 件のコメント: