2021年2月7日

陰謀論 QAnon の深い闇

QAnon

米国連邦議会下院(定数435)は陰謀論 QAnon の信奉者であるマージョリ・テイラー・グリーン議員(共和党)について、教育労働委員会と予算委員会の委員職から除外する決議案を、230対199の賛成多数で可決した。過半数を占める民主党に加え、共和党議員11人が賛成した。昨年11月にジョージア州から初当選したグリーンは議員就任前 Facebook で民主党のペロシ下院議長への殺害脅迫に「いいね」をつけたり、オカシオコルテス下院議員ら民主党議員の横に自身が銃を持った写真を投稿したりしてきた。また「クリントン元国務長官らが子どもの人身売買に関わっている」「同時多発テロで国防総省に飛行機は墜落しなかった」など QAnon などに関連する陰謀論を支持した。これに対しグリーン議員は「言論の自由は本当に重要です。民主党と私の共和党の同僚11人が私を所属委員会から除名することを決めました。彼らは私の選挙区の声を奪い去ったのです」と反論している。QAnon コミュニティは2017年、発信者である「Q」と呼ばれる匿名の個人(または複数の個人)が、政府の高度なセキュリティクリアランスを持っていると主張した。

Georgia Rep Marjorie Taylor Greene ©2021 The Guardian

そして投稿を 4chan のようなサイトで開始した。フォロワーは「Q」の不可解なオンライン投稿を解読して分析し、現実の世界に波及し米国連邦議会議事堂での致命的な暴力行為 に走ったのである。運動を支える信念体系と陰謀説は、トランプや前大統領や「Q」あるいは特定の指導者からのものではなく、一種のクラウドソーシングで自己生成されたものだろう。かなりの数の米国人が、選挙後も QAnon の陰謀説を信じているようだ。しかも QAnon の誤った主張を信じる人々を単に「愚か」または「教育を受けていない」というのは実は誤りである。米国連邦議会議事堂に乱入した数人が QAnon の記章を着用していたため Twitter や Facebook などの主流のソーシャルメディアプラットフォームは QAnon 理論を信奉支持するアカウントやページに対する取り締まりを強化し始め、フォロワーはインターネットの暗黒場所に逃げ込んでいったのである。人間はコミュニティを持っている必要があり、将来に向けてある程度の楽観的な感覚を持っている必要がある。それが叶わない場合誰でも QAnon に陥る危険が潜んでいると言えるだろう。

PDF  QAnon: Destroying Families, Dividing Communities, Undermining Democracy (PDF 3.32MB)

0 件のコメント: