2023年7月21日

カナダ先住民ブラッド族の羽根冠を着けたカナダ総督ジョン・バカン

John Buchan as Chief Eagle Head
John Buchan as Chief Eagle Head, Ottawa. Photo by Yousuf Karsh 1937

ユーサフ・カーシュが1937年に撮影したジョン・バカンのポートレイトである。着けている羽根冠はカナダの平原で先住民ブラッド族の首長が使っていたもので、1936年、カナダの総督で、スコットランドの小説家、歴史家、政治家だったジョン・バカンに贈られた。この時のブラッド族の首長はショット・ボス・サイドで、この羽根冠は彼が所有していた。ポニービーズ、フェルト、赤いウールストラウド、模様の入ったダマスクなどの交易品と、未成熟の鷲の羽、アーミンの皮、革などの動物製品で構成されている。貿易資材のほとんどはヨーロッパからもたらされたもので、例えば、赤いウールストラウドはグロスターのストラウドから、ポニービーズはヴェネツィアからもたらされた。ポニービーズの色とデザインは、ブラッド部族が属するブラックフット族の典型的なものである。ブラッド族は幾何学模様のリーダーで、黄色、青、赤、白のビーズを好んだ。羽根冠は戦士の武勇を象徴する神聖で尊いもの、あるいは部族が得た栄誉を表している。

BTDH

ジョン・バカンは、その一挙手一投足が広く注目された。文学的であり公的な総督というユニークな立場から、先住民に対する20世紀半ばの文学的態度だけでなく、カナダ総督の先住民に対する態度についても一般論を導き出す機会を歴史家に与えている。その書簡や新聞報道によるさまざまな先住民族による彼の認識、そして先住民を登場人物としてを取り上げたブキャンの主な著作 "Sick Heart River"(病めるハート川)と"The Long Traverse"(長い縦走)による解釈などである。これらは彼のカナダにおける先住民に対する考えや感情の一端を明らかにするとともに、カナダと英連邦を多様性を謳歌する空間としてとらえた彼の先例となる見解を明らかにしているのである。バカンの施策ゆえに、先住民への確執といった事案はなく、両者は極めて友好的だったようだ。もしかしたらユーサフ・カーシュの提案だったかもしれないが、贈られた羽根冠を着けて写真を撮ったことが、何よりもその証拠と言えるだろう。

Native American  History of Kainai Nation (Blood Tribe) by Hugh A. Dempsey | The Canadian Encyclopedia

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