2021年1月30日

医療逼迫しても Go To キャンペーン

Travel
Go To Trouble Travel

NHKニュース電子版によると、政府の旅行需要の喚起策「Go To トラベル」が始まった去年7月、旅行に関連した新型コロナウイルスの感染者が増えていて、キャンペーンが当初の段階で影響した可能性があるとする研究論文を西浦博京都大教授らの研究チームが医学雑誌 "Journal of Clinical Medicine" に発表した。去年5月から8月にかけて24の県から報告された新型コロナウイルスの感染者およそ4,000人を分析し、およそ20%が発症前に旅行していたり旅行者と接触したりするなど旅行関連とみられる感染者だったという。そして期間ごとの発生率を比較する手法で詳しく分析した結果「Go Toトラベル」が始まった去年7月22日からの5日間では旅行に関連した感染者は127人で、発生率は前の週の5日間と比べて1.44倍に高くなっていたことが分かったという。さらに出張ではなく観光目的で感染した人は最大6.8倍、直前期間との比較ではおおむね2~3倍になった。例えば以下の図1(左上)は「Go Toトラベル」開始前30日間(1a)開始後5日間(2)8月8~31日(3)における感染者数。旅行関連が青、そうでない者が赤、面積は発病時刻が既知の確定患者1,707人中の何%を占めるのかという比率を意味する。この論文に対し、明治大学の飯田泰之准教授が配信サイト note で「Go To キャンペーンによって旅行由来の感染が増加したことを示す機能はない」と批判した。

Journal of Clinical Medicine

これに対し医療専門サイト m3.com に西浦教授がコメントを寄稿している。「Go Toトラベル」という政策を通じて旅行関連感染者数が増えた(キャンペーンがなければ増えなかった)に相当する研究の最初のキッカケづくりが、今回の研究ですと述べている。医学者対経済学者という立場の差異ゆえか、どうも「論争」が噛み合っていない感じである。新型コロナウイルス感染症は、人が動けば拡散する。旅行すれば感染すりスクが高まるし、家にじっとしていれば、広がらない。そこでそれじゃ経済が回らないという主張が跋扈する。しかし「Go Toトラベル」は医療が逼迫する中、旅行せよという経済政策であり私は反対である。「3月までに税金使って旅行キャンペーンやるのか」と立憲民主党の小川淳也議員が1月25日の衆院予算委員会でこう述べ、20年度第3次補正予算案から旅行需要の喚起策「Go Toトラベル」(約1兆円)を削除し、医療支援重視の予算に組み替えるよう求めたが、政府は否定した。自民党の二階俊博幹事長は全国旅行業協会(ANTA)だが、巷間噂されてるように、その二階幹事長に菅義偉首相が忖度していると思われる。どうやら税金を自分の金と勘違いしているようだ。おそらく「まもなく再開」と虎視眈々、まさに「Go Toトラブル」だ。下記リンク先で西浦教授らの京大グループが "Journal of Clinical Medicine" 誌に投稿した論文(英文)を読むことができる。

coronavirus "Go To Travel" Campaign and Travel-Associated Coronavirus Disease | MDPI

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