2020年8月11日

日本の CD 市場を支えるアイドルグループ

過去20年間の音楽ソフト生産および音楽配信売上金額

日本レコード協会(一般社団法人)の統計データによると、2019年度の生産実績(単位:百万円)は、アナログレコード(2,146)CD(149,548)カセット(318)その他(761)ビデオ(76,357)だった。CD の生産実績はピークの1999年(551,294)の28%に落ち込んだことになる。所謂「CD不況」だが、この10年間に限ると、音楽ソフトの生産実績および音楽配信売上はほぼ横ばいである。音楽配信の売上は海外のように CDを上回っていない。2019年度 CD シングル売上トップ10は次の通りだった。
AKB48「サスナブル」(キングレコード)
  1. 「サステナブル」AKB48
  2. 「ジワるDAYS」AKB48
  3. 「NO WAY MAN」AKB48
  4. 「Sing Out!」乃木坂46
  5. 「夜明けまで強がらなくてもいい」乃木坂46
  6. 「Lights/Boy With Luv」BTS
  7. 「黒い羊」欅坂46
  8. 「BRAVE」嵐
  9. 「キュン」日向坂46
  10. 「FRUSTRATION」SKE48
トップ3を AKB48 が独占しているが、6位に食い込んだ韓国の BTS(防弾少年団)や8位の「嵐」を含め、トップ10のすべてがアイドルグループと呼んでいいだろう。シングルという呼び方は、表裏2曲の45回転アナログ EP 盤に由来している。しかし昨今のアイドルグループの CD シングルは、2曲以上収録されていたり、ヴォーカルなしの off vocal ver. すなわちカラオケがカップリングされていたりする。そして Type A~D、初回限定版、通常版といったタイプを組み合わせた複数のパッケージがあることだ。ジャケット写真や収録曲の編成が異なったり、DVD の付録がついていたりする。48グループには抽選で購入「劇場盤CD」があり、これは「握手会」の参加券が同封されているという。もっとも今年は新型コロナウィルス感染症パンデミックにより中止に追い込まれてるようだ。アイドルグループの楽曲の一番安価な入手方法はダウンロードで、1曲250円程だ。しかしあの手この手の CD 販売戦略の裏に隠れているような気がする。世界的には2014年にデジタルストリーミングの売り上げがCDを上回ったにも関わらず、日本だけが未だにCDが売れてるのは、やはりアイドルという日本独自の文化に因るものなのだろう。しかし CD を買えばメンバーと握手できるという特典が、握手するために CD を買うという行為に転倒している。このような現象を観察すると、アイドルグループに頼らざるを得ない日本の CD 市場に、ある種の脆さを感じてしまうのは私だけだろうか。

PDF  日本レコード協会「日本のレコード産業 2020」の表示とダウンロード(PDFファイル 2.43MB)

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