三羽烏
順風満帆に見えた安倍政権に陰りが生じたのは、東京五輪が2021年夏に延期されることが決まった3月30日だった。国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長は、延期を決断した理由について「新型コロナウィルスの感染が世界中に広がり、問題は日本がどうかというより、世界中の国が参加できるかどうかに変わってきた」と説明した。本来なら今ごろ、安倍晋三は首相として「五輪」「改憲」というふたつのレガシーを手中に収めているはずだった。しかも続投を夢想、4選に打って出ることも胸中にあったかもしれないが、潰えぬ夢と化したのである。以降、新型コロナウィルス感染症 VOVID-19 パンデミック対策を巡り、信じられぬ愚策が続いた。2月末に唐突に要請した小中高校の一斉休校は学校現場に大きな混乱を招いた。安倍晋三は「一斉休校は政治的判断であり、自分が責任をとる」と強調したが、例のごとく口先だけで、なんら責任をとろうとしない。3月5日に表明された、各家庭に布マスクを2枚ずつ配布する通称「アベノマスク」は、科学的分析と合意形成を欠いた最たる例だった。官邸官僚が「全国民に布マスクを配れば不安はパッと消える」と進言し、安倍晋三がそのアイデアに飛び付いたという。
今井尚哉補佐官などの官邸官僚にシナリオ作成を丸投げし、逆に利用されている裸の王様であることが露呈された。住民基本台帳に記載されている国民を対象にした「10万円給付」も市区町村に大きな作業負担がかかり、給付が遅れに遅れ、労力と税の無駄遣いを招いてしまった。新型コロナウィルス感染状況を調べるPCR検査体制もお粗末に過ぎず、未だに国民の命を危険に晒している。愚策の際たるものが、国内旅行の料金の半分を国が補助する「Go To トラベル」キャンペーンだった。東京都の新規感染者が激増すると、東京発着の旅行をキャンペーンから除外すると国土交通大臣が表明。当初キャンセル料は補償しないとしたが、同じ大臣の口からキャンセル料の補償を実施すると発表するゴタゴタ。今月6日、小池百合子東京都知事が、今年の夏は特別な夏」だとし、旅行や帰省を控えてほしいと訴えた。ところが菅義偉官房長官が「お盆期間中の帰省は基本的には個人の判断」と逃げる始末。自民党内の一部では首相の早期退陣がささやかれ、ライバルたちによる後継争いの動きが活発化しているという。この秋に職務を放り投げたら、菅義偉官あるいは麻生太郎が暫定的に引き継ぐという噂もあるらしい。このふたり、どちらにころんでも悪夢の人選である。
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