llustration by Sacrée Frangine: Célia Amroune and Aline Kpade
ローリングストーン誌など米メディアが競ってカントリー歌手ドリー・パートンの発言を取り上げている。彼女は政治的な発言はほとんどしないのだが、ビルボード誌のインタビューに答えて、ジョージ・フロイド、ブレオナ・テイラー、そして他の非武装の黒人が殺害されたことに対する Black Lives Matter 抗議運動を支持すると表明したからだ。彼女は経営する遊園地「ドリーウッド」のディナーアトラクション「ディクシー・スタンピード」を、2018年に「ドリーパートンのスタンピード」に改名したと語っている。ディクシー(Dixie)は南北戦争の時代に、未承認共和国のアメリカ連合国(南部連合)に加わった南部の11の州を指す。
改名について曰く「無実の無知などのことがあり、私たちの多くはその罪を犯している」「人々がディクシーが不快な言葉だと言ったとき私は『だれの気分を害したくありません。これはビジネスです。私たちはそれを単にスタンピードと呼ぶことにします』と言いました」「問題であることに気付いたらすぐに、それを修正する必要があります。馬鹿にならないでください。そこが私の心なのです。私は意図的に誰かを傷つけることを、夢想したことはありません」云々。今年の6月、女性人気グループ「ディクシー・チックス」が「チックス」に改名したのはご存知の通りである。Black Lives Matter 抗議運動に対するスタンスについて訊かれた74歳のヒットメーカーは「もちろん黒人の命は重要です。私たちちっぽけな白人だけが重要だと思っているの? 違うわ!」と答えている。パートンが住むナッシュヴィルは、南部連合の奴隷商人で、白人至上主義の人種差別秘密結社として悪名高い KKK の結成者といわれているネイサン・ベッドフォード・フォレスト(1821–1877)を生んだテネシー州の州都である。州議会議事堂のフォレストの胸像が州立博物館に移されることが最近決まった。メンフィスでは、馬にまたがったフォレスト像が引き倒されたし、麻酔なしで黒人奴隷の女性たちに残酷な医学実験を行なった婦人科医 J・マリオン・シムズ(1813–1883)の像は、セントラルパークの台座から外された。ボストンにあるクリストファー・コロンブス(1451–1506)の像は頭がはねられ、ノースカロライナ州ローリーでは、南部連合兵士の銅像が信号から吊るされた。米大統領ドナルド・トランプが記念像を破壊しないようにと警告したが、奴隷商人エドワード・コルストン(1636–1721)の彫像も、ボストン港に投げ込まれたのである。大統領選挙キャンペーンが白熱する中での今回のパートンの発言だが、4年前、ヒラリー・クリントンに対抗して出馬していた時、トランプを批判することを避けていた時とは対照的だ。
Issue of Billboard (August 15, 2020) |
Dolly Parton Steers Her Empire Through the Pandemic -- and Keeps It Growing
0 件のコメント:
コメントを投稿