2019年2月10日

イヌイットを記録したカナダの女性写真家

ビーズ飾りの防寒着を纏ったクー・タック・タック 1905年2月(グレンボウ博物館蔵

ムーディ夫妻(クリックで拡大)
日系米国人の強制収容の記録をしたドロシア・ラング(1895-1965)に続き、女性写真家の先駆者をもうひとり紹介したい。ジェラルディン・ムーディ(1854–1945)はカナダの最初の女性職業写真家のひとりで、北部の先住民族の歴史的写真を撮ったことで知られている。トロントに生まれたが、英国に移住、軍人のジョン・ダグラス・ムーディ(1849-1947)と知り合い、1878年に結婚した。夫妻はカナダに戻り、ダグラスは北西騎馬警察(NWMP)の検査官になる。そして頻繁に夫のダグラスに同行し、ハドソン湾地域のイヌイットを撮影したのである。重い大判カメラやガラス乾板などの機材を携行して、犬ぞりやボートで移動。極寒の氷雪の世界での撮影は、困難を極めていたと想像される。職業真家としてジェラルディンは肖像写真の仕事をしたが、個人的には騎馬警察、牧場、そして野の花の写真なども撮ったようだ。1945年に99歳で他界、晩年を過ごしたアルバータ州カルガリーにある、バーンズランド墓地に埋葬された。写真はメディシン・ハット・ミュージアム&アートギャラリーのディレクター、ドナルド・ホワイトが発見するまで、陽の目を見ることがなかった。夫妻のひ孫が保管していたもので、1998年、ガラス乾板、写真アルバム、日記、手紙などがカルガリーのグレンボウ博物館に寄贈された。蛇足ながらカナダ郵便公社が、クー・タック・タックの肖像写真を使った切手を2013年に発行したが、これによってジェラルディンの業績が、カナダで広く一般に知られるようになった。主なイヌイットの写真と解説が下記リンク先のサイトに掲載されている。

WWW Rare Century-old images of the Inuit people by the country's first female photographer

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