2019年2月17日

白衣に袴 緋色に染めて ああ美しい 日本の巫女は

下鴨神社(京都市左京区下鴨泉川町)

社寺に塗られている朱色が好きである。朱色は赤系の色の中でももっとも代表的な色だが、わずかに黄色がかり、鮮烈である。神社の本殿、拝殿に次ぐ重要な場所に塗られるのは、朱合漆という透漆の1種類に水銀朱を練り込んで作る本朱漆が使われるそうだ。塀などを含め、全般に使われるのが弁柄(べんがら)漆で、社寺の塗装には欠かせない基本色になっている。弁柄は紅殻とも表記されるが、これはインドの地名ベンガルに由来するそうだ。京都の町家の代名詞として紅殻格子があるが、最近は黒漆が多い。これは花街の風情の影響があるかもしれない。赤系の色として朱と紅の二種類をあげたが、その色は違う。ウェブ色見本辞典によると、前者の16進数コードは #EB6101 、後者は #D7003A だそうである。赤色からあがた森魚の「赤色エレジー」を連想する人は、かなり古い音楽ファンだと思う。赤色から宮崎駿の「紅の豚」を連想する人も、かなり古いアニメファンだと思う。赤色から日本共産党を連想する人は、かなり政治的志向が強いと想像する。

日の丸は国旗及び国歌に関する法律(1999年8月13日法律第127号)によると、地は白色、日章は紅色となっているだけである。色に関する指定は曖昧だが、旗の縦は横の三分の二、日章の直径は縦の五分の三と定められている。子どもの頃、白地に赤く日の丸染めてああ美しい日本の旗は、と歌わされた記憶がある。戦前から戦中にかけて、この旗は軍国主義の象徴であったことは紛れもない史実である。だからといって、切り刻んで良いとは言わないが、私にとっては忌まわしい戦争のシンボルである。しかし、デザイン自体ははシンプルで、優れてると認めざるを得ないし、確かに白と赤はマッチすると思う。神社の本殿にぶら下がっている鈴を鳴らす帯、鈴緒は紅白である。あれはたぶん、正確には紅色ではなく、緋色かもしれない。京都市中京区の斎藤專商店のウェブサイト「有職.com」の有職巫女袴着装図によると、袴は緋色である。緋色のコードは #D3381C となっているようだ。この世で一番優れた服のデザインは制服、特に軍服だとよくいわれる。誰でも似合うからだ。軍服に喩えたら余りにも可哀そうだが、巫女の衣裳は誰でも似合うのではないだろうか。

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