2014年10月3日

古写真の背景を考察する面白さ

Young England's Floral Alphabet, Clonbrock Estate, Ahascragh, Co. Galway. Circa 1884

写真はFlickrにアイルランド国立図書館が掲載しているものだが、"Young England's Floral Alphabet"というタイトルが付いている。直訳すれば「若いイングランドの花のアルファベット」となるが、これでは意味が通じない。ふたりは姉妹で、テーブルの上に広げているのは、花文字のアルファベットが書かれたブロック。どうやら知育玩具であることが分かる。とするとブロックに「若いイングランド」と冠するのはちょっと違和感がある。そこでネット百科事典ウィキペディアで調べたところ「ヴィクトリア朝時代の政治グループ」という説明があった。ヴィクトリア女王が英国を統治していたのは1837年から1901年の期間だから、確かにこの写真が撮られた時代と一致する。しかしこの政治グループが知育玩具を作っていたかは不明である。ふと思いついてテーブルの下に転がってる箱を拡大してみたら、なんと"Young England's Floral Alphabet"と書いてあるではないか。つまりアイルランド国立図書館の担当者はこれを見てタイトルを付けたのである。さてこの先はあくまで想像に過ぎないが、"Young England"はメーカーのブランド名じゃないだろうか。さらにネット検索を続けたところ、同名の子ども服店が英国にあることを発見した。販売しているのはクラッシックな服で、まさにヴィクトリア朝時代を彷彿させるデザインである。ただ残念ながらホームページには沿革の記述がなく、19世紀から続いている店かどうか不明である。何らかの繋がりがあるかどうかメールで尋ねてみようと思っている。というわけでこの写真のすべてを解明できたわけではないが、背景をあれこれ考察する作業は面白い。

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