2014年10月10日

視界から消えた鞍馬の火祭の炎

鞍馬の火祭にて(京都市左京区鞍馬本町)1966年10月22日

懐かしい写真が出てきたのでスキャンした。1966(昭和41)年、大学を卒業した私は大阪の新聞社に赴任した。関西の生活は、関東育ちの私には何もかも珍しかったけど、京都へは頻繁に通うようになった。その年の秋、鞍馬の火祭を見物に出かけたが、写真はその時のものである。残念なことに誰が撮ってくれたか記憶にない。少なくとも48年前までは、このように沿道の見物客にミニ松明を配ってくれたのである。1989(平成元)年に東京での単身赴任を解かれ、4月に新聞社の京都支局員になった。そして秋、火祭の取材で鞍馬を再訪したが、ラウドスピーカーから流れる婦人警官の「立ち止まらないでください」という声に辟易とした。膨れ上がった人波に対する処置だったのだろうけど、とにかくうるさいし、やかましかった。翌年はアナウンスの音量が下がったようにも記憶しているが、喧騒は去らず、松明の炎がかき消されるかと思われる雰囲気だった。今月22日の昼間、もしかしたら軒下で待機する松明の撮影に出かけるかもしれないが、その場合は日没前に帰宅するつもりだ。勇壮かつ幽玄な炎は、もう二度と私の視界に戻ってくることはないだろう。

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