朝日新聞の12月9日付け朝刊を手にして驚いた。メタがファクトチェックの終了を公表したニュースを一面トップに掲げていたからだ。日本の新聞がソーシャルメディアに関する記事をこれだけ大きく取り上げたのは珍しい。メタの最高経営責任者であるマーク・ザッカーバーグが7日、ソーシャルメディアのフェイスブックとインスタグラムのファクトチェックを停止すると5分間のビデオメッセージを公表したのが騒ぎの始まりだった。「我々は原点に立ち返り、間違いを減らし、ポリシーを簡素化し、プラットフォーム上での表現の自由を取り戻すことに注力します」「具体的には、次のことを行います。まず、米国からファクトチェッカーを廃止し、Xと同様のコミュニティノートに置き換えます」ととザッカーバーグは述べたのである。最高国際業務責任者のジョエル・カプランは次のように説明している。
- 米国を皮切りに、私たちは第三者によるファクトチェック・プログラムを終了し、コミュニティ・ノート・モデルに移行します。
- 私たちは、主流の言説の一部であるトピックの制限を解除し、違法かつ重大性の高い違反に執行を集中させることで、より多くの言論を許容します。
- 政治的コンテンツに対しては、よりパーソナライズされたアプローチをとり、フィードでより多くの政治的コンテンツを見たいと思う人々が見られるようにします。
具体的には「メタのプラットフォームは、人々が自由に自分を表現できる場所として構築されています。それは厄介なこともあります。何十億もの人々が発言できるプラットフォームでは、良いことも悪いことも醜いこともすべて公開されます。しかし、それが自由な表現なのです(以下略)」と主張しているが、物事はそう簡単に済ますことはできない。表現の自由という言葉のみをを盾にするのは危険である。保守派は、Xのコミュニティノートシステムを称賛している。これは、のイーロン・マスクが同社のこれまでの誤情報対策に代わるものとして利用しており、事実確認、荒らし行為、その他のコミュニティ主導の行動の組み合わせを可能にしている。さまざまな分野の CEO やビジネスリーダーが、次期大統領ドナルド・トランプの政権に好意を寄せている。メタは他のテクノロジー企業とともに、トランプの就任基金に100万ドルを寄付し、選挙を前に、ザッカーバーグはブルームバーグテレビのインタビューでトランプ氏を称賛したが、全面的な支持は示さなかったようだ。トランプの就任を前に、メタは共和党のジョエル・カプランを政策チームのリーダーに任命したと報じられており、トランプの長年の支持者である総合格闘技団体 UFC のダナ・ホワイトが取締役に就任すると発表している。
ザッカーバーグの「決断」はフェイクニュースとヘイトスピーチが増加する懸念があるが、ソーシャルメディア上のファクトチェックはなくなるのだろうか。アネンバーグ公共政策センターのプロジェクトの FactCheck.org は「メタは、私たちのような米国のファクトチェック組織との提携を終了しますが、読者の皆様にご安心いただきたいことがあります。FactCheck.org はなくなることはありません。私たちのジャーナリストは、20年以上にわたって行ってきたように、虚偽で誤解を招くような政治的主張について、無党派の報道を続け、読者の皆様が事実と虚構を区別できるようお手伝いします。私たちは、特定の主張のファクトチェックや問題に関する情報提供など、政策問題に関する詳細なレポートを公開しています。私たちの SciCheck チームは、健康と科学に焦点を当てています。私たちは正確性を重視し、情報源、プロセス、資金について透明性を保っています。私たちは民主党と共和党のファクトチェックを行い、双方に同じ基準を適用しています。(途中略)ファクトチェックは公共サービスとしてのジャーナリズムであり、私たちは、ますます忙しくなり混乱する政治メッセージの環境において、ファクトチェックがこれまで以上に必要であると確信しています」と宣言している。下記リンク先は動画共有サイト YouTube にポストされたマーク・ザッカーバーグのビデオメッセージ(字幕付き)である。
MARK ZUCKERBERG: META makes MAJOR CHANGES after over-censorship of AMERICANS
0 件のコメント:
コメントを投稿