非営利の報道機関であるニューヨークのインサイド・クライメイト・ニュースによると、ロサンゼルスの住宅街が燃える中、ネット上では誤情報が山火事のように広がったという。ドナルド・トランプ次期大統領は自らのソーシャルメディア・プラットフォーム Truth Social への投稿で「カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事が北からの過剰な雨と雪解け水から、現在事実上終末的な形で燃えている地域を含むカリフォルニア州の多くの地域に毎日何百万ガロンもの水が流れ込むことを許可する協定」に署名しなかったことを非難した。また「州知事がスメルトという小魚の保護に水を使ったために、ロサンジェルスでは消火用の水がないんだ。なんてひどい話だ」と語ったという。これらは前例のない火災の責任を問う誤情報や虚偽がソーシャルメディアに溢れかえっている中のひとつに過ぎない。米公共放送 NPR 電子版は「右派インフルエンサーがカリフォルニアの山火事を多様性の努力のせいにする理由」というタイトルの記事を掲載した。それによるとロサンゼルスで山火事が発生してから1日以内に、右派のメディアやインフルエンサーたちが、構造的な社会的不平等を減らす取り組み、特に多様性、公平性、包摂性に関する政策が、この被害の規模の大きさの原因であると主張し始めたという。
イーロン・マスクは、ロサンゼルス消防署の4年前の「人種平等行動計画」のスクリーンショットの流布に協力したが「彼ら(消防署)は人命や家を守ることよりもDEI(多様性・公正性・包括性)を優先した」と書いた。ロサンジェルスの消防署長クリスティン・クロウリーは22年のベテラン消防士であり、女性としては初めて、また同性愛者であることを公表した人物としても初めての人物である。どうやらこれがマスクのお気に召さないらしい。署長、消防署、市政府はたちまち右派メディアの攻撃対象となったのである。災害非常時には正しい情報が必要で、誤った情報は避けなければならない。だからこそファクトチェックが重要不可欠ではないだろうか。そういう意味でもメタのマーク・ザッカーバーグがドナルド・トランプに忖度してファクトチェックを停止したのは、その影響が大きいだけに腹立たしい。陰謀論の流布は犯罪に値する。ロサンジェルスの山火事でも、ドナルド・トランプとイーロン・マスクの二人組は過ちを犯している。ところで最近はその名がご無沙汰の、もうひとりの陰謀論者、副大統領候補の J・D・ヴァンス上院議員の動静が伝わってこないが、どうしているだろうか。今やマスクのおかげですっかり影が薄くなっている。下記リンク先は「右派インフルエンサーはカリフォルニアの山火事を多様性の努力のせいにする理由」と題した米公共放送 NPR の記事(英文)です。
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