2025年1月13日

ソーシャルメディアの弊害(8)ロサンゼルスの山火事で浮上する陰謀論

Firefighters watch the flames
Firefighters watch the flames from the Palisades Fire burning a home ©2025 Apu Gomes

非営利の報道機関であるニューヨークのインサイド・クライメイト・ニュースによると、ロサンゼルスの住宅街が燃える中、ネット上では誤情報が山火事のように広がったという。ドナルド・トランプ次期大統領は自らのソーシャルメディア・プラットフォーム Truth Social への投稿で「カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事が北からの過剰な雨と雪解け水から、現在事実上終末的な形で燃えている地域を含むカリフォルニア州の多くの地域に毎日何百万ガロンもの水が流れ込むことを許可する協定」に署名しなかったことを非難した。この投稿は前例のない火災の責任を問う誤情報や虚偽がソーシャルメディアに溢れかえっている中の一つに過ぎない。公共放送 NPR 電子版は「右派インフルエンサーがカリフォルニアの山火事を多様性の努力のせいにする理由」というタイトルの記事を掲載した。それによるとロサンゼルスで山火事が発生してから1日以内に、右派のメディアやインフルエンサーたちが、構造的な社会的不平等を減らす取り組み、特に多様性、公平性、包摂性に関する政策が、この被害の規模の大きさの原因であると主張し始めたという。

fire

億万長者のイーロン・マスクは、ロサンゼルス消防署の4年前の「人種平等行動計画」のスクリーンショットの流布に協力したが「彼ら(消防署)は人命や家を守ることよりもDEI(多様性・公正性・包括性)を優先した」と書いた。ロサンジェルスの消防署長クリスティン・クロウリーは22年のベテラン消防士であり、女性としては初めて、また同性愛者であることを公表した人物としても初めての人物である。どうやらこれがマスクのお気に召さないらしい。署長、消防署、市政府はたちまち右派メディアの攻撃対象となったのである。災害非常時には正しい情報が必要で、誤った情報は避けなければならない。だからこそファクトチェックが重要不可欠ではないだろうか。陰謀論の流布は犯罪に値する。ロサンジェルスの山火事でも、ドナルド・トランプとイーロン・マスクの二人組は過ちを犯している。下記リンク先は「ロサンゼルスの山火事では、多くのヤシの木がそのまま残され、車や家が燃えていることから陰謀論が浮上している。人々が言っていることは次の通りです」と題したエコノミック・タイムズ紙の記事(英文)です。

news Conspiracy theories surface on Los Angeles wildfires as many palm trees had been left standing as cars and homes burned beside them

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