2025年1月21日

ソーシャルメディアの弊害(12)立花孝志「元兵庫県議は逮捕が怖くて命を絶った」とデマ

立花孝志
Image source ©2025 Kyoto Photo Press

兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などを調査する県議会調査特別委員会(百条委)の委員だった竹内英明元県議の急死した。自殺と見られると報じられている。竹内氏は県議会会派「ひょうご県民連合」に所属し、兵庫県の元西播磨県民局長(昨年7月に死亡)が作成した告発文書の内容を調べる百条委の委員を務め、斎藤氏の疑惑を追及していた。竹内氏は兵庫県知事選期間中にソーシャルメディア上で誹謗中傷を受けたとし、昨年11月に議員辞職していた。これに対し政治団体「NHKから国民を守る党」の立花孝志が1月19日に X を更新し、竹内氏の死去について「こんなことなら、逮捕してあげたほうがよかったのに」などと投稿。自身の YouTube チャンネルで「1月20日に(竹内氏を)逮捕すると県警は考えていたそうだが、それを苦に命を絶ったという情報が入っている。もうこれがほぼ間違いないと思います」などと発言した。しかし、産経新聞が兵庫県警に取材し「竹内氏に対して任意の事情聴取もしていないし、逮捕の予定もなかった」と完全否定したと報道した。立花孝志は X や YouTube の投稿を削除し、現在は見られなくなっている。実は竹内元県議の自殺に関する記事の中で、朝日新聞は産経新聞よりも早く、県警が取り調べや逮捕に関して否定する記事を出している。

立花孝志

しかし朝日新聞の記事の見出しは「兵庫県議会の百条委員務めた前県議が死亡、知事選翌日に議員辞職」となっている。記事の最後の段落でSNSで取り調べや逮捕などの情報が拡散していることを指摘し「県警幹部は朝日新聞の取材に対し『そんな事実はない』と否定した」と書いている。産経新聞の記事は見出しが「立花孝志氏『逮捕が怖くて命絶った』と投稿も兵庫県警は完全否定」立花自身の発言を対象に検証し、兵庫県警への取材をもとにその情報が誤りだと断定している。立花孝志は X で「オールドメディアは不要!ネットで充分な時代!」という標題を掲げている。しかし皮肉なことに、新聞という伝統的なメディアに誤りを暴かれてしまった。取材源を持たない大部分のネットユーザーは、ファクトチェックする能力がない。出所不明の伝聞に過ぎない情報を鵜呑みにして集団ヒステリーを起こしている。立花孝志の X フォロワー数は40万人、YouTube チャンネル登録者数75.4万人、ソーシャルメディアは愚民製造機の感がある。なぜ立花孝志が兵庫県知事選その他でやらかした悪行が、かくも野放しにされ続けているのか疑問を禁じ得ない。蛇足ながらタレントの東国原英夫も立花孝志のデマ情報を鵜呑みにして X で拡散、誤りを指摘され慌てて削除したそうである。テレビの情報番組のコメンテーターをしているが、ネット情報が頼りで、取材せずに発言していることがバレてしまった。これからはこの人の発言を誰も信じなくなる可能性がある。なお、英語圏ではオールドメディアをトラディショナル(伝統的)メディアあるいはレガシーメディアと記述する。すなわち「オールド」はモールス信号機のようなかつてあったが今はない、そして「伝統的」は新聞のような古くから今も引き続きあるメディアという意味である。

X_Twitter  立花孝志:オールドメディアは不要!ネットで充分な時代!当選を目指すのは6月の参議院全国比例

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