2023年6月11日

脱原発論を封印した河野太郎の変質

脱原発論を展開していた河野太郎
脱原発論を展開していた河野太郎

政治家河野太郎の持論が脱原発であったことは案外知られてないかもしれない。彼のブログ「ごまめの歯ぎしり」は現在でも続いているのだが、私もときどき覗いていた。脱原発論を展開、核のゴミ問題が解決しないままでの原発再稼働を無責任だと主張していたのが印象に残っている。しかし2015年10月7日に入閣が決まると主張を綴ったブログの記事は削除してしまった。記者会見では「安倍首相とベクトルとしては同じ方向を向いている」と釈明し「決まったことについては、それを誠実に実行する」とも述べた。そして安倍晋三首相は行革担当相として初入閣させた河野太郎員について「大勢に迎合することなく、常に改革を強く訴えてきた情熱の持ち主」と高く評価したのである。ところで脱原発を主張したブログの内容だが、削除されているので再現のしようがないと思っていた。しかしインターネットを徘徊したところ、JCASTニュース2015年10月8日付け記事「そこまでして大臣になりたかった?」に辿り着いた。拾い読みしてみよう。

九州電力川内原発1号機の再稼働についても批判的だった。2014年7月のブログでは「再稼働する前に、使用済み核燃料とどう向き合うか、国民を巻き込んでしっかり議論するべき」だとして「核のゴミには目をつぶり、やみくもに再稼働しようというのは無責任です」と主張していた。だが実際には放射性廃棄物に関する議論は深まらないまま、川内原発1号機は15年8月に再稼働。9月には営業運転に移行した。こういった主張が書かれた河野氏のブログは入閣が決まった2010月7日には「メンテナンス中」になり、過去の書き込みは削除されてしまった。もちろん、こういった過去の発言との整合性については記者会見でも問われることになる。河野氏は、安倍首相が2012年自民党総裁選で「長期的には原子力への依存度を下げる」と打ち出していたことを理由に「ベクトルとしては同じ方向を向いていると思っている」と苦しい釈明をした。「今までは外から言っているだけだったが、今度は政府内の議論に参加できるようになった。

脱原発
脱原発で山本太郎と意気投合していた河野太郎(2018年7月の Friday より)

政府内の議論で、しっかり言うべきところは言っていくと思っているが政府の一員である以上、決まったことについては、それを誠実に実行するということだと思う」などと説明した。記者はブログの記事が見られなくなった理由も質問していたが、河野氏は直接答えなかった。河野談話には「個人としての見解を申し上げるのは適当ではない」。 1993年の「河野談話」への反応も変化した。2013年には、「あ、従軍慰安婦問題の嘘を広めた野郎だ!」というツイッターの書き込みに「俺がなにかしたか?」と怒りの返信をしていた。産経新聞の記者が、「お父様の河野洋平さんが官房長官時代に発表された、慰安婦募集の強制性を認めた河野談話について、大臣はどうお考えか」と質問したのに対して、河野氏は、「個人としての見解を申し上げるのは適当ではないと思う。政府として村山談話、河野談話を継承するということを総理が申されているわけだから、その通りで、付け加えることも引くこともない」と安全運転に努めていた。

ところで河野太郎は岸田文雄内閣ではデジタル大臣に就き、マイナンバーカード普及の旗振りをしている。ところが同カードに関してはラブルが相次いでいる。6月9日に新たにわかったのは、他人の年金記録を閲覧できる問題。報道によれば、地方公務員が加入する共済組合で発生しており、年金情報とのひも付けなどで入力ミスをした可能性があるという。年金記録はマイナンバーの個人向けサイト「マイナポータル」を通じて把握できるため、今回のミスによって他人の年金記録を見られる状況になっていた。これまで物議を醸してきたマイナカードのトラブルは、枚挙にいとまがない。マイナンバーカードをめぐる失態については、河野太郎が自らを処分する意向を示したという。責任は大臣たる私にあると言いつつ、責任を取る気配はない。次の総裁選を睨み、大臣を辞めたいと思っている可能性があるが、恐らく岸田文雄は認めないだろう。泥沼状態のマイナーカード問題、ライバルの河野太郎の評判が落ちれば落ちるほど都合が良いからだ。

nuclear  そこまでして大臣になりたかった? 河野太郎氏 ブログ削除で「脱原発」持論「封印」JCAST News

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