2021年11月1日

ピート・シーガーの12絃ギターはリヴァプール生まれ

Pete Seeger model 12 string guitar by G. Stanley Francis
Pete Seeger with 12-string Guitar 1986

フォーク歌手ピート・シーガーが愛用したふたつの楽器、バンジョーとギターはいずれもユニークなものだった。バンジョーの基音は普通 "G" だが、ピートはネックを長くし、3度低い "E" の曲を演奏をできるようにした。1959年にシーガーは、ランブリン・ジャック・エリオットと英国ツアーをしたが、リヴァプールでギター制作者のスタンレー・フランシスに出会う。フランシスが設計した12絃バリトンギターは、三角形のサウンドホールを持ち、スケール(絃長)が27.75インチ(約70.5センチ)と通常よりも長いもので、シーガーのバンジョーと相通ずる特長を持っていた。

Martin Custom Guitar

スタンレー・フランシスはキース・リチャーズやロニー・ドネガンなどのミュージシャンのためにギターを作り始めたという。その彼が設計した12絃ギターをシーガーは気に入ったようだ。シーガーのファンのコネチカット州の弦楽器製作者ブルース・A・テイラーは、リヴァプールのフランシスが作った12絃ギターが、普通に入手できる市販のギターとどこが違うか知りたいと思った。そこでシーガーのマネージャーに会いたいと手紙を書いたのである。そして1973年、クリアウォーター・フェスティバルでふたりは出会うことになる。シーガーはテイラーをハドソン川に連れてゆき、ギターを調べ、弾いてみることを許した。以来、ふたりの友情が育まれ、テイラーはフランシスのギターを改良したギターを、シーガーに届けるようになったのである。際立った特徴は、親指によるピッキングために、ピックガードを2枚にしたことだろう。蛇足ながらシーガーが創設に関わった "Sing Out!" 誌創刊60周年を記念して、2010年にマーチン社が三角形のサウンドホールを持った、6絃及び12絃ギターを発売している。

PDF  Celebrating Sing Out!'s 60th Anniversary Pete Seeger 6-String 12-String Guitar(2.34 MB)

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