新型コロナウィルス感染症パンデミックが世界レベルで来夏まで終息するかは不明だ。東京五輪について、国際オリンピック委員会(IOC)のジョン・コーツ調整委員長が、AFP 通信の取材に対し「新型コロナウイルス感染症の有無に関係なく開催される」との見解を表明した。これに対し小池百合子都知事は「当然のことだ」と述べたという。そもそも2年ないし4年後という延期案を蹴って、来夏開催を早々に決めてしまったのは安倍晋三だった。首相である間にという願望から残した「負のレガシー」そのもので、なんらの根拠もなく「ワクチン開発はできる」と断言したのである。むしろワクチンや治療薬の開発が間に合う可能性はきわめて低いと考えるのが常識ではないだろうか。そもそも「五輪を実施するか中止するかという選択と決定権を、首相や政治家が握っている状況は健全とはいえない」のであるが。大会組織委員会の武藤敏郎事務総長の「ワクチンが準備できれば助かる。しかしワクチンなしで開催できないわけではない。必要条件ではない」という発言には唖然とする。何が何でもやる、いやはや、無茶苦茶である。約200か国の選手、計1万1,000人以上の出場が予定されているそうだ。日本は現在水際対策として、外国からの渡航者に対し入国後14日間の待機を実施している。ところがこれを求めず、行動範囲を限定した活動計画書と誓約書の提出を求める案を政府は示した。
東京都と大会組織委員会は了承し、五輪前に国内で開かれる国際大会から運用を始める方針だという。コロナ禍が経済と国民生活を蝕み続けるなか、なお数千億円の追加費用を投じ五輪を開催する正当性への疑問は膨らむばかりだ。経費削減のため開会式の簡素化案が浮上したが「アメリカのテレビ局が放送時間枠をすでに用意している。オリンピックの最大のスポンサーであるアメリカのテレビ局の意向にIOCは背くことができない」と組織委員会の森喜朗会長が発言し波紋を呼んだが、まさに「占領下のニッポン」である。新型コロナウィルス感染症パンデミック以前に持ち上がった、日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和前会長の贈賄容疑は晴れていないし、真夏開催問題も根本的に解決していない。酷暑には打ち水、灼熱の太陽には菅笠、挙句の果てには朝顔を植えるという、どうしようもない愚案を忘れることができない。招致の際に作られた立候補ファイルには「この時期の天候は晴れる日が多く、且つ温暖であるため、アスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候である」と書いてあった。そして極め付きは、福島原発について「アンダーコントロール」と安倍晋三が演説をしたことだった。先延ばしするほど傷は深くなり、取り返しがつかなくなる可能性がある。嘘で塗り固められた東京五輪強行開催に大義はない。早急な中止決定が望まれる。
第32回オリンピック競技大会開催都市契約の表示とダウンロード(PDFファイル 712KB)
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