2020年10月6日

ポリティカルであること

菅義偉

先月16日に発足した新内閣の支持率が7割に達したという記事を読んで目を疑った。打ち出した「不妊治療の保険適用拡大」および「携帯料金の4割程度引き下げ」に期待しての数字らしい。しかしながら例えばソーシャルメディア Facebook の私のニューフィードでは、菅義偉への批判こそあるものの、誉め言葉は見受けられない。所謂エコーチェンバー現象なのだろう。

世の中には様々な人がおり、様々な意見を持った人と触れ合うことが出来る。世界に開かれたグローバルでオープンな場で、「公開討論」のような形で意見を交換し合うことができるコミュニティがある。一方で、同じ意見を持った人達だけがそこに居ることを許される閉鎖的なコミュニティもあり、そのような場所で彼らと違う声を発すると、その声はかき消され、彼らと同じ声を発すると、増幅・強化されて返ってきて、「自分の声」がどこまでも響き続ける。それが「エコーチェンバー」である。(ウィキペディア)

近年はノンポリという言葉が耳に入らなくなった。英語の "non-political"(ノンポリティカル)の略で、政治運動に関心が無いこと、あるいは関心が無い人。そのような集団をノンポリ層とも呼ぶ。記憶では1970年前後に盛んに使われた。私は神戸大学や京都大学などで展開された学生運動に内心応援を送っていた。1972年1月、神戸から東京に転居した。同年2月、あさま山荘事件が勃発、週刊誌のカメラマンだった私は現地に飛んだ。凍り付いた稜線に張ったテントが撮影基地で、望遠レンズを山荘に向けた。後に友人たちから「歴史の現場にいたんだね」と言われたが、まさに学生運動、左翼運動が崩壊した事件だった。以来、政治問題に関心はあるが、学生運動を嫌う人が激増した。その禍根は50年が過ぎた今日も断ち切れていない。

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70年安保闘争のレガシー?

だが政治行動、政治論争が消えているわけではない。後者はインターネットのソーシャルメディアに主戦場が移っている。ここ数日 Twitter にはハッシュタグ「#日本学術会議への人事介入に抗議する」を付けた抗議文が殺到、トレンド入りしている。政府も Twitter の動向を無視できない状況で、菅義偉は対応に苦慮していると想像される。下手すると支持率が大幅に下落する可能性があるからだ。ただ「トレンド入りはボットの影響」という主張もあるので、この点は注意深く観察する必要がある。と同時にエコーチェンバー現象にも注意を払う必要がある。街頭での示唆行動に参加できない人でも、自分の意見を発言できるのがソーシャルメディアの最大の利点である。常に Being political(ポリティカルであること)が大事だからだ。

Twitter  ハッシュタグ「#日本学術会議への人事介入に抗議する」をつけたツイートの表示

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