2020年10月14日

エイミー・アーバス「路上1980-1990」を回顧する

The Clash
The Clash ©1981 by Amy Arbus

写真家エイミー・アーバスの作品展「路上1980-1990」がバーモント州ブラトルボロの美術画廊 Mitchell Giddings Fine Arts で開催されている。エイミーはニューヨークを拠点とするアメリカ人写真家で、国際写真センター、アンダーソンランチ、ファインアートワークセンターなどで肖像写真の教鞭を取っている。1954年生まれで現在66歳だが、父親はアラン・アーバス、母親はダイアン・アーバスである。

1980年にヴィレッジ・ヴォイスで働き始めた時は、私は自分をアーティストだとは思っていませんでした。また自分をジャーナリストだとも思っていませんでした。私は「路上」というページのために ポートレート写真を作っていました。「裸の街ニューヨークには800万のファッションがあり エイミー・アーバスが全てを撮影する」というキャッチコピーをつけ、6週間ごとに掲載されたのですが、途方もない仕事のように感じました。10年かけてイメージを作り上げた後、自分が作ったものが、ニューヨークの歴史の中で重要な時間の記録だと気付きました。
On the Street 1980-1990

エイミーは写真編集者のエリザベス・アヴェドンにこのように語っている。写真集「路上1980-1990」はニューヨークのヴィレッジ・ヴォイス紙に掲載されたコラム連載をまとめた一冊で、若き日のマドンナが表紙を飾っている。写真図版70点を収録、2006年に Welcome Books から出版された。上述の通り両親が写真家だったが、初めから写真家を目指したわけではなかった。様々な芸術に挑戦、最終的にはボストンのバークリー音楽大学に入った。神童たちに囲まれたわけだが、2年生の時、フルートやサックスを演奏する才能がないことに気づいたという。音楽家志望から落ちこぼれたわけだが、かえってそれでほっとしたようだ。ヴィレッジ・ヴォイス紙でフリーランスの仕事に就き、スタイルセクションのコラムを担当したわけだが、最初に選んだカメラは Nikon FM2 だった。80年代のニューヨークのダウンタウンは創造的なエネルギーに満ちていた。そのエネルギーをカメラで掬い上げたがエイミーだった。作品を見ると、母親の影響を受けていると感ずるのは私だけだろうか。「誰にでも人生がある。誰にでも感性がある。誰にでも憧れがある。誰もが訴える理由を持っている。そして誰もがカメラを持っている。エイミー・アーバスのような大胆な知性を持った人は、これらの普遍的なありふれたことを、単なる芸術作品ではなく、洞察力のある作品に変えることができる」とリチャード・アヴェドンが讃えている。

aperture Amy Arbus: On the Street | Schoolhouse Gallery, Commercial Street, Provincetown, MA

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