2020年9月12日

妖怪たちの自民党総裁選

妖怪たち(作者不詳)

議席数が一番多い自民党の総裁が、首班指名選挙で選ばれ首相になる。だから同党の総裁選は看過できない。ご存知、立候補したのは3人で、14日に投開票が行われ、次の首相が決まる。安倍晋三は病気を理由に退陣を表明する前から、次の首相の座を岸田文雄に「禅譲」すると報道されたきた。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済対策として、政府は減収世帯への30万円給付を撤回し、全国民への一律10万円給付を決めた。これは二階俊博が公明党を焚きつけての結果だった。これにより主動した岸田文雄の面目は丸つぶれ、結果的に安倍に梯子を外されてしまった。二階・菅組がタッグマッチで安倍・麻生組にフォール勝ちしたのである。総裁選は3年の任期満了時は議員票と党員・党友による地方票を同数で競う。ところが通常、緊急時は党員・党友投票を省略した両院議員総会で選出できる。執行部は総裁任期中の辞任や新型コロナウイルスの感染拡大が緊急時にあたるとして両院総会方式を採り、石破茂外しに成功した。

(秋田魁新報電子版)

かくして最近まで支持率3%だった菅義偉が、あっと言う間に支持率トップになってしまった。日本政治は、国民を無視した権力闘争の世界に過ぎない。暗躍したのは、怪僧ラスプーチンならぬ、怪物二階俊博だった。消費税値上げをぶち上げながら撤回するなど、菅義偉の迷走が続いている。読売新聞は「たたき上げの苦労人」と紹介している。ところが日刊現代デジタル版は、父親は南満州鉄道に勤めた地元エリートで、イチゴ栽培に取り組んだ。それが見事に成功し、菅家は貧農というより、むしろ豪農。名士となった父親は雄勝町議を4期務め、姉2人も大学に進学して教職に就いたという。菅の学歴についても夜間部卒と一部で報じられているが、実際は昼間の法大法学部政治学科卒。集団就職も作り話だという。苦学して政治の道を志したかのようなイメージは間違いだと指摘している。レガシーなき安倍晋三だが、安全保障政策の新たな方針に関し、政府が「敵基地攻撃能力保有」するようにという談話を発表した。さらに谷口智彦内閣官房参与らと会食、フルコースを完食し、ワインを口にし、ゴルフの約束までしたという。辞任表明以降一度も病院に行ってないし、本当に病気が悪化したのかと疑ってしまう。ところで9日付け「論座」デジタル版によると、田中真紀子が「菅さんは暗い。生ゴミを詰め込んだバケツの蓋」「悪臭紛々とした生ゴミを安倍家の台所から出して、バケツに押し込める。その蓋をするのが菅政権の役割ではないかということです」と喝破したという。

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