2019年5月18日

花浮かぶ手水使わず去ぬるかな/漫歩

手洗い器に浮かべた花びら

花びらを浮かべて飾られた手水舎や手水鉢を花手水(はなちょうず)と呼ぶ。手水舎は社寺仏閣を参拝する前に、手や口をすすいで、身を清めるところ。手水鉢も本来は身を清めるための水を確保する器をさす。茶の湯にも取り入れられ、露地の中に置かれるようになり、つくばいと呼ばれるようになった。長岡京市浄土谷堂ノ谷にある、楊谷寺の紫陽花の花手水が「インスタ映え」するということで有名である。京都市左京区鹿ヶ谷にある法然院の境内にある、手水鉢の花手水を何度か私は拝見している。四月初旬の特別拝観の際に飾られる椿が有名で、今年も貫主である梶田真章住職が自ら撮影、ソーシャルメディア Facebook に掲載していた。写真は庭の片隅にある、手水鉢ならぬ手洗い器に浮かべたバラとクレマチスである。いずれも昨夏、東京へ転居した娘が育てた花樹で、朽ち果てる前に家人が飾ったもの。表題は花が浮かんでいたので、手水を使わなかったという意味の句だが、我が家の庭も同じ状態が続きそうだ。

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