2019年5月15日

カメラストラップのニコン巻き異聞

ストラップの先端が隠れる取り付け方

富士フイルム X100F の使用説明書より
新規購入した富士フイルムのデジタルカメラ X100F の使用説明書に、左のようなイラストが載っている。ストラップをカメラに取り付ける方法を解説したものだが、私のやり方と違うことに気づいた。ストラップを間に通すことで回ってしまうのを防ぐためのパーツ、樹脂製サルカンがストラップの長さを調節するためのアジャスターの外側、つまり肩当に近いところにある。これはカメラ側に近い位置に付けるべきではないか。それにストラップの先端が浮き出たままで心もとない。そこで上図のように取り付けてみた。最後にストラップをアジャスターの肩当側の穴に入れ、逆方向に折り返して通すのがコツである。3本通せる厚さのサルカンなら、さらに先端をカメラ側に突っ込むと結びが安定する。
キヤノンの Q&A 検索より

こうすると先端が隠れ、見た目がスッキリするので、私はこの方法で取り付けている。ちょっと気になり、ネットで検索したところ、これは「ニコン巻き」「報道結び」と俗に言われている方法だそうである。確かにニコンの説明書に載っている方法であるが、同社が発明したわけではないと思う。この方法が「報道結び」と呼ばれてることに対して、キヤノンユーザーは心外かもしれない。スペインの写真関連サイト PHOTOLARI がまとめたデータによると、世界報道写真コンテスト2018年度受賞作品で使用されたカメラは、ニコンが他社を圧倒したそうである。しかし2016年のリオデジャネイロ五輪では互角だったと言われている。来年の東京五輪の協賛社はキヤノンだし、報道写真の分野でシェアが低いわけではない。キヤノンのQ&A検索ページを覗いたら、富士フイルムと基本的には同じような方法が掲載されていた。ただしサルカンはボディに近いところに付いている。また「やっぱりニコン巻きをやめた」というキヤノンユーザーが、その理由を「アンチニコン派だからです」とブログに書いているのを読んで、思わず苦笑してしまった。確かに罪なネーミングである。しかしこれは長い間報道写真に関わってきた私も知らなかったし、一部の写真愛好家に流布している呼び方に過ぎない。ニコンの専売特許ではないし、他社のカメラだからと言って使わないのはオカシナ話である。

0 件のコメント: