2018年11月11日

オーストラリアのアマ写真家が撮影した20世紀初頭のカラー写真


ウィリアム・A・ガリック
写真はウィリアム・アップルゲイト・ガリック(1858–1922)が撮影したカラー写真で、娘のメアリ、ゾーイ、マジョリー、クロエがモデルになっている。ガリックはオーストラリアのニューサウスウェールズ州の印刷業者で、切手の発行およびインスペクタだった。そしてアマチュア写真家でもあり、ニューサウスウェールズの紋章をデザインしたことで知られている。彼はオートクロームを使ってカラー写真を撮影している。オートクロームはフランスのリュミエール兄弟によって発明され、1903年に特許を取得した最初期のカラー写真技法。1907年に写真乾板の形式で一般に販売が開始され、コダックがコダクロームを販売する1930年代までは、市場においてはほぼ唯一のカラー写真であった。撮影が1909年であるなら、ガリックはいち早く新しい技法を取り入れたことになる。じゃがいもの澱粉を三原色に染めたものを均一に混ぜ、ガラス板に散布したのちに、黒い粉を乗せて、光を遮断。その上をニスと感光性のある乳剤で覆って原板を作り、撮影したあとに反転現像処理すると、カラーのポジ画像が得られる。手順が複雑で普及しなかったが、ガリックのような裕福なマチュア写真家などが主な使い手であった。娘たちに色違いドレス着せている点に工夫の跡が窺われる。

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