2017年8月5日

古写真動画で体現する時間旅行


ニューヨーク1931年

この "The Old New World" と題された3D動画は、ロシアのアニメ作家 seccovan 氏が制作したもので、歴史写真サイト Shorpy に掲載されている、1931年のニューヨークの街路の写真を素材にしている。6月下旬、当ブログに「モノクロ写真のカラー化で歴史が生き生きと蘇る」という記事を投稿したが、カラー化によって過去の時間との境界が突然なくなり、今ある世界と錯覚してしまう、という主旨だった。ところがこの動画はちょうどこれと逆で、時間が逆戻りしたような錯覚に陥る。過去の世界を舞台にした動画は星の数ほどあるが、そのような錯覚を普通は覚えない。それはあくまで「時代劇」であり、現代から過去を眺めるに過ぎなく、時間の垣根が存在する。それに対し "The Old New World" はタイムマシンによって時計が逆回りし、時間旅行に誘ってくれる。過去は異質なものという概念が、モノクロームの古写真に潜在しているような気がする。それが立体画像になり、しかも動くという仕掛けに私たちはまんまと騙されてしまうのである。

Movie Film  " The Old New World" (Photo-based animation project) from seccovan on Vimeo.

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