2015年1月24日

墓標なしで葬られたサウジアラビアのアブドラ国王

アブドラ前国王が埋葬された場所の周囲に集まった人たち ©AFP/MOHAMMED MASHHUR

昨日の23日、同日未明に死去したサウジアラビアのアブドラ(アブドラ・ビン・アブドルアジズ)前国王の葬儀が、首都リヤドのイマーム・トルキー・ビン・アブドッラー・モスクで執り行われた。AFP通信日本語版によると、葬儀にはトルコのレジェプ・タイップ・エルドアン大統領や、パキスタンのナワズ・シャリフ首相のほか、スーダン、エチオピア、湾岸諸国の首脳が参列し、アブドラ国王の異母弟で、王位を継承したサルマン新国王とともに祈りをささげた。遺体は葬儀の後すぐに近隣の公共墓地に運ばれ、2005年に死去したファハド国王と同様にサウジアラビアの厳格なイスラームの伝統に従い墓標なしで埋葬されたそうだ。過激派組織IS(イスラーム国)による日本人人質事件が起きたせいか、日本の報道機関は葬儀の様子を詳報しなかったようだ。写真は前国王が埋葬された場所を囲んだ会葬者の様子で、様々なサイトに掲載されたようだが、アメリカのNBCニュースは「宮殿に住んでいたサウジのアブドラ国王が無銘の墓に葬られた」という見出しを付けて報じた。クルアーン(コーラン)によれば墓を華美にかざりたてることは禁じられている。しかし廟建築が、その矛盾を含みながら各地で発展したのは興味深い。預言者ムハンマドの教友にエユップという聖者がいたのだが、彼を祀った廟がイスタンブルにあり、訪ねたことがある。タイル貼りの立派な廟だった。インドのタージ・マハル廟はさらに華美、一口にイスラームと言っても地域いによる多様性があるようだ。フランスの風刺新聞シャルリー・エブド紙編集部襲撃、ISの日本人人質事件と続いたが、私たち日本人の多くにイスラームについての知識が欠如していると言えるかもしれない。もしこの葬儀が意外なら、その典型的な例だろう。

YouTube  Saudi Elite gathers for funeral of King Abdullah(アブドラ国王の葬儀)

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