山之口貘さんの詩を読みたくなって、講談社から出ている文庫版の詩文集を購入した。私は写真のような古ぼけたハードカバー版を所有しているが、持ち歩くにはやはり文庫版がよい。上掲の詩集は昭和33(1958)年、昭和39(1964)年に原書房から初版が出たものだが、いずれも昨年の暮れに復刻版が出た。貘さん(面識はなかったけ「さん」付けしたくなる)沖縄県立図書館では「山之口貘文庫」が開設されるなど、再評価されて人気が高まってるという。『鮪に鰯』の巻末には娘さんの泉さんが「後記にかえて」という一文を寄せている。「パパ、あなたの詩集です。子供のように眼を輝かせ毎日きょうを見つめていたあなたの新しい詩集です」云々。獏さんの詩集を手にしていたら、今度は高田渡さん(面識があったので「さん」付けしたくなる)の歌を聴きたくなった。渡さんの『生活の柄』『鮪に鰯』は獏さんの詩である。後者は「鮪は原爆を憎み 水爆にはまた脅かされて 腹立ちまぎれに 現代を生きているのだ」という下りで分かるように、ビキニ島の核実験を題材にした作品である。
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