2025年5月23日

キャッシュレス決済クレジットカード考

Cashless Order
キャッシュレス決済セルフオーダーパネル(マクドナルド金閣寺店)

ボブ・ディラン&ザ・バンドの公演を観に渡米した1974年、カリフォルニア州ロングビーチの中古楽器店でフィドルを購入した。価格は75ドルだったと記憶している。当時は1ドル300円だったから、22,500円だったとになる。店を出たところで在住の叔母に叱られた。「駄目じゃない、100ドル札を出すなんて」と。誰に見られているか、危険だというのである。決済はクレジットカード、万が一強盗に出くわすことに備え、25ドル紙幣を胸のポケットに入れておくのだという。クレジットカードは不正に引き落とされた経験があったので、使用を控えて帯同していなかった。ところで三井住友カード VISA のウェブサイトによると、フィクションの世界でクレジットカードが初登場したとされているのは、アメリカの小説家・エドワード・ベラミーの『顧みれば』という SF 小説の中、19世紀のことだった。小説の中のクレジットカードは、西暦2000年に未来人が使う、お金を持っていなくても買い物ができる夢のカードとして描かれたという。一方、日本ではというと、残念ながら古典作品にカード状で後払いできるような物品は登場していない。江戸時代の作家・十返舎一九が、弥二さん喜多さんの珍道中で有名な滑稽本『東海道中膝栗毛』の中で「後払い」のシーンを描いており、これが「後払いシステム」を描いた初出のようです。というわけでクレジットカード自体は完全に輸入されたシステムだといえるようだ。信用の概念は、数千年前の古代メソポタミアにまで遡ると言える。当時の粘土板に刻まれた碑文には、メソポタミアと近隣のハラッパー商人との間の取引記録が残っており、何かをその場で購入して後で支払うという合意の最も古い例の一つとして知られている。数千年後、これらの古代の借用書は、やがてストアカードの原型へと取って代わられた。西部開拓時代の商人は、物資を買うお金のない農民や牧場主に商品を貸し出していた。

Numberless ard
最近は番号記載がないナンバーレスカードが人気

商人は借入金の領収書として金属貨幣や小皿を発行した。農民が作物を収穫し、牧場主が家畜を売ると、商人に返済したそうである。時間の経過とともに、全額支払い用のこれらのプレースホルダーは米国で進化し、現在私たちが知っているカードにもっとよく似たバージョンになったのである。1960年代のクレジットカード技術の飛躍的進歩は、決済手段としてのクレジットカード普及のきっかけとなった。IBM のエンジニア、フォレスト・パリーは、カードの裏面に磁気テープを貼り付け、消費者が POS 端末で情報を「スワイプ」できるようにしたと言われている。磁気テープはもともと音声情報の保存に使用されていたが、パリーはクレジットカードにカード所有者情報を記録させる方法を研究していた。伝説によると、アイロンをかけていたパリーの妻が、テープをカードにアイロンで貼り付けることを提案し、これがスワイプストライプの誕生につながったと言われている。クレジットカードの進化は、消費者によるクレジットカードの利用方法と発行会社が提供するサービスの両方の未来を形作り続けている。ユーザーが従来のクレジットカードからモバイルウォレットやウェアラブルデバイスに移行するにつれて、非接触型決済テクノロジーの人気は高まり続けると思われる。人工知能は進化を続け、クレジットカードの申し込みを評価する際に発行会社がリスクを判断する方法において、より大きな役割を果たすようになる。おそらく、信用報告書によって提供される限られたデータポイントから移行し、申請者に関するより総合的な情報を組み込むようになるだろう。下記リンク先は経済雑誌フォーブスの専属記者ロビン・サックス・フランケルの解説記事「クレジットカードの歴史: クレジットカードはいつ発明されたのか?」である。

Forbes  History of Credit Cards: When Were Credit Cards Invented? | Robin Saks Frankel, Forbes

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