2021年10月4日

熱帯雨林アマゾン川流域へのセバスチャン・サルガドの視座

Waura Indians
マト・グロッソ高原シング―河上流ピウラガ湖で漁をするワウラ族の人々
Sebastião Salgado (born 1944)

100カ国以上で人々や風景を撮影してきた写真家のセバスチャン・サルガドは、世界最大の熱帯雨林の美しさへの賛歌であると同時にその保護を訴えるために、生まれ故郷のブラジルに戻ってきた。現在77歳のサルガドは、ブラジル国内外の多くの人々にとって未知の領域であるアマゾンの心と魂を捉えようと、6年間にわたってアマゾンを旅し、木、川、山、森、そして人々を彼のトレードマークであるモノクロフィルムで撮影した。サルガドは写真集 "Amazónia" の序文で「私にとって、ここは最後のフロンティアであり、地球上のどこにもない、自然の巨大な力を感じることのできる、独自の神秘的な宇宙である」「ここには無限に広がる森があり、そこには全生物の10分の1の動植物種が存在し、世界最大の単一自然の実験室となっている」と書いている。1944年、ミナス・ジェライス州の南東部に位置するアイモレスに生まれた。経済学の学位を取得した後、1969年にパリに渡る。妻のレリア・ワニックは建築学を学び、サルガドは国際コーヒー協議会に就職し、定期的にアフリカに行くようになった。

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アマゾナス州のアナビルハナス群島近くにあるアマゾン川支流リオ・ネグロの堤

レリアが持っていた古いライカを手にしたサルガドは、写真に情熱を傾けるようになる。当時すでに33歳だったが、心の赴くままに仕事を辞め、フルタイムの写真家になろうと決心したのである。サルガドの最初の著作は、アフリカの半乾燥地帯サヘル、ラテンアメリカ、そして世界の肉体労働者を扱ったものだったが、一躍有名になったのは、アマゾンを舞台にしたプロジェクトだった。悪名高いラペラダ金鉱で、何千人もの泥だらけの男たちが一粒の金を求めて、間に合わせの木の梯子で地底に降りてゆく写真である。

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伝統的な頭飾りを身につけたパラ州トワリ・イピー村のゾエ族の男たち

2013年には、最高傑作といえる写真集 "Genesis" を出版するこの作品は、8年間かけて地球上のあらゆる場所を訪れ、山、砂漠、海、動物、人々を再発見することで、現代社会の爪痕を逃れ、かつての生活を垣間見ることができるようにしたものだ。1998年、彼とレリアは、ミナス・ジェライス州のドーセ川流域にある人口2万5千人ほどの静かな村、アイモレスにある父親の農場に戻った。この地域の多くの人々と同様、彼の父親も牛を飼っていた。この地域の多くの人々と同様に、150年前にはまだ大西洋岸の緑の部分であったものが、長年の過放牧によって大きく侵食されていたのだ。熱帯雨林の先住民に捧げた "Amazônia"(アマゾン川流域)についてサルガドは「50年後にこの本が失われた世界の記録とならないように、心を込めて、エネルギーを込めて、情熱を込めて、私の願いを込めた。Amazônia は生き続けなければならない」と強調する。

riverBK Sebastião Salgado's stunning voyage into Amazônia by Jonathan Jones | The Guardian

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