2018年12月24日

国際捕鯨委員会 IWC 脱退に対するシーシェパードの反応

南極海で操業する第二勇新丸(撮影:シーシェパード

政府は約30年ぶりの商業捕鯨の再開に向け、クジラ資源の管理を担う国際捕鯨委員会(以下IWC)からの脱退を早ければ25日にも決定し、その後表明する見通しだという。日本の国際機関脱退は戦後ほとんど例がなく極めて異例で、国際社会から協調軽視との批判を浴びることは必至である。9月の IWC 総会で、日本は商業捕鯨のモラトリアムを限定的に解除する提案をしたが、否決された。このままではらちが明かない、というのが脱退の理由とされている。IWC を脱退すれば国際法上、これまでの枠組みでの調査捕鯨はできなくなる。沿岸、近海捕鯨推進派には有力議員が多い。捕鯨船の拠点がある山口県下関市は安倍晋三首相、沿岸捕鯨が盛んな和歌山県太地町は二階氏の地盤だ。この辺りが今回の決定に胡散臭さを感じる所以である。捕鯨船に体当たりするなど、激しい反捕鯨運動を展開してきたシーシェパードはどのような反応をしただろうか。昨23日、ポール・ワトソン船長は、日本の IWC 脱退を歓迎するという主旨の声明を公表した。

日本は公然と商業捕鯨を再開することになるが、オーストラリアは南極沿岸では捕鯨が禁止されており、違法であると主張している。新たに IWC は南大西洋鯨保護区を創設することが可能になる。従ってこの海域での捕鯨はできなくなる。捕鯨のない南極海は20年前からの目標であり、日本が IWC からの撤退すれば、この目的は実現されるだろうという主旨である。批判が強い南極海などでの調査捕鯨からの撤退自体は評価できるが、決断できるのであれば、IWC の場でこそ表明すべきだ。南極海での捕鯨は「調査」と偽装した実質商業である。税金の無駄遣いであり、沿岸および近海捕鯨を復興すべきだと思っていた。しかし皮肉にも国際世論を無視した暴挙で、これが実現するかもしれない。シーシェパードは日本を褒めているようだが、その宣言は皮肉にあふれている。日本は「自らを海賊捕鯨国と宣言した」と書き加えることを忘れていない。

www シーシェパード:日本の IWC 脱退に関するポール・ワトソン船長の声明文(英文)

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