2018年10月7日

海上自衛隊の旭日旗に潜在する軍国主義の影

大日本帝国海軍の軍艦旗をそのまま踏襲した自衛艦旗

2012年8月に投稿した「ナチスの党旗にたとえられた旧陸海軍の旭日旗」 に、現在の海上自衛艦旗は旧大日本帝国海軍の軍艦旗に類似しているという意味のことを書いた。しかし類似はおろか、そのまま受け継いだものである。帝国海軍の軍艦旗は1889年(明治22)に十六条旭日旗を意匠とする旗が定められたが、インターネット百科事典ウィキペディアによると「帝国陸軍の軍旗をそのままコピーするのではなく、旭日の日章位置が中央の軍旗に対して軍艦旗は旗竿側に寄るものとした」という。旭日旗といえばスポーツの国際大会の応援席に持ち込まれて物議を醸したことがあるが、最近では韓国が今月11日に済州(チェジュ)島で開催する国際観艦式への海上自衛隊の護衛艦派遣を見送るという騒ぎが起きた。韓国が自衛艦旗である旭日旗の掲揚自粛を求めていたが、日本側は拒否。双方の要求が折り合わないことから、派遣見送りを決めた。不思議なのは韓国側の要請は日本にだけ向けられたものではない。参加予定の全14カ国に対して「自国と韓国の国旗のみ」を掲揚するよう求めるものだった。その後、招待を辞退した国があるという報道はない。従ってこのままなら、日本を除く最大13カ国が、軍艦旗ではなく国旗を掲げて参加することになる。なにかとギクシャクしている日韓関係だが、過剰な反発をしたのは、安倍極右政権に立ち込め始めたファシズムの暗雲に同期したものだろう。

十六条旭日旗(大日本帝国陸軍の軍旗)
日本軍はあの旗をひるがえして中国大陸や朝鮮半島を侵略、人を殺していったのだから、現在の中国や朝鮮半島の人たちが、自衛艦に掲揚された旭日旗を見て「忌まわしい」と感じるのは当たり前の話だ。派遣見送りは見方を替えれば、韓国は旭日旗を断固拒否するという主張を、日本が認めてしまったと解釈できないこともない。敗戦に伴い帝国陸海軍が解体、旭日旗は一度は消滅する。その復活に関しては海上自衛隊のウェブサイトに詳しい。1954年(昭和29)防衛庁・自衛隊の設置を前に、前年11月から旗章についても全面的に見直されることとなり、意匠を募集したところ「各部隊・機関の意見を集めたその結果、各部隊等の大部分は旧軍艦旗を希望している意見が多いことが判明」したが「多くの部隊が希望している旧軍艦旗を採用することについても、情勢はこれを許す状況にはないのではないかとの議論」があった。そして最終的に吉田茂首相が承認したという。つまり旭日旗に問題性があるという認識が当時の関係者にもあったわけである。旭日旗が軍国主義あるいは帝国主義を示すものであり、帝国海軍の亡霊が生き延びている証左でもある。旭日旗はナチスの党旗、ハーケンクロイツ(逆鉤十字)と相通ずるものがある。帝国海軍時代の軍人あるいは関係者の郷愁で復活した旭日旗を廃し、新たな意匠の自衛艦旗作ることが最善策ではないだろうか。

WWWセネガル戦でまたも「旭日旗」日本代表を応援するのに旭日旗を出すべきではないこれだけの理由

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