イーロン・マスクが、著名メディアの記者達のツイッター・アカウントを凍結したという。TMZ によると、今年巨額でツイッターを買収した米電気自動車大手テスラの最高責任者であるマスクは、新たに手に入れた力を行使し、CNN のドニー・オサリヴァン、ワシントン・ポスト紙のドリュー・ハーウェル、マッシャブルのマット・バインダー、ニューヨーク・タイムズ紙のライアン・マック、ザ・インターセプトのミカ・リーなどを沈黙させようとしているという。これについてツイッターの信頼・安全部門責任者、エラ・アーウィンはロイター宛ての電子メールで「ジャーナリストのアカウントに焦点が当てられているが、ツイッターはジャーナリストとジャーナリストでない人々のアカウントに対し平等にポリシーを適用している」と述べたという。もっともらしい言い訳だが、これは言論の自由を騙った言論弾圧で、ジャーナリズムの否定である。国連のドゥジャリク事務総長報道官も16日、定例記者会見で、言論の自由に対する「危険な先例になる」と述べた。欧州連合(EU)も制裁の可能性に言及するなど、同社の対応に懸念が高まっている。時計の針を戻すと、マスク個人が株式の100%を買い取る形で10月27日にツイッター社の買収を完了したことを受けて、翌日から取り引きが停止されていた。
買収によってツイッター社は11月8日、ニューヨーク証券取引所への株式の上場が廃止となった。非上場の会社には、株主の意向に左右されない形で経営判断を迅速化できるメリットがある一方 CEO に就任したマスク氏への権力の一極集中がさらに進むことになったのである。想像するに、ツイッターは彼の頭の中では個人の持ち物、すなわち「私物」「玩具」となり、批判に対してはアカウントを凍結するという暴挙に出たのだろう。マスクは、ツイッター買収の理由に「言論の自由の絶対主義」を掲げ、投稿削除などの規制を緩和する方針を示してきた。その典型がロナルド・トランプ前大統領の凍結解除だった。大統領選の投票結果を認定する上下両院合同会議が開かれている連邦議会に侵入した自分の支持者たちに向けて「皆さんが大好きだ」などと投稿し、アカウントが凍結されていたが、これを翻したのである。トランプに対し「言論の自由」を認め、ジャーナリスに対しては認めないのである。ツイッターは言論の場としての役割を果してきたが、その公共性が失われ、ソーシャルメディアからパーソナルメディアに転落してしまった。政治情報のツイートがいよいよ危険になってきた。
Elon Musk bans several prominent journalists from Twitter | Oliver Darcy, CNN Business
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