ツイッターのイーロン・マスク CEO(最高経営責任者)は、後任が見つかれば辞任すると表明した。前エントリ―「イーロン・マスクはツイッターを手放すのだろうか」で紹介したように、将来の CEO は「倒産への道を突き進んできた会社を経営するのは、よほど苦痛が好きでなければならない」「ツイッターを存続させるスキルと能力を持つ人なら、おそらくその仕事を望まないだろう」と持論を展開している。マスクは買収当初から暫定的に CEO を務め、後任に引き継ぐ計画だったのかもしれない。ただ「誰もやりたがらない」と悲観的な見解を述べたわけである。言い換えれば、赤字のツイッターを立て直すのは自分にしかできない厄介な仕事であると。マスクは大量解雇を断行したが、これは「暴挙」ではないという見解もあるようだ。つまりツイッターは営業危機に陥ったわけではなく、赤字にいたった費用の多くは人件費であり、さらにコストへかなりの比率を占めたというのである。従って半分の従業員を解雇しても同等の収益を上げられれば、当然ながら利益もキャッシュフローも劇的に改善することになると言うのである。たしか、前 CEO のジャック・ドーシーは「会社の規模を急拡大し過ぎた」と述べていた。この点を踏まえてマスクは買収に乗り出したのではと推測される。
私はこの仕事を引き受けてくれる愚かな人を見つけ次第、CEOを辞任するつもりです。その後、私はソフトウェアとサーバーのチームを運営するだけです。
しかしマスク体制になってから、大手広告主が広告出稿を相次ぎ停止したため、経営の足枷になっていると思われる。仮に新しい CEO が見つかったとしても、筆頭株主はマスクであり、傀儡 CEO に過ぎないのではないだろうか。持ち株を売り払わない限り、ツイッターはマスクの「私物」のままなのである。ところでマスクの変革のポイントになったのが、認証バッジの新しい仕様である。サブスクリプションサービス「Twitter Blue(ツイッターブルー)」の再開にあわせ、日本でも首相官邸などの政府機関の公式アカウントのバッジの色を青から灰色に、任天堂などの企業は金色に変更された。ただ国会議員や著名人の青バッジは今のところ変更がない。米国やイギリスなどでは、月額定額の料金を支払えば誰でも青バッジをつけることができる。このシステムはいずれ日本でも導入されると思われるが、なりすまし防止のために生まれた青バッジだが、誰でもつけられるようになれば、ステータスの意味合いが消滅する。以上のようにツイッターは変革の真っ最中であり、果たしてツイート通り CEO の座を明け渡すだろうか。ニューヨークタイムズ紙は「マスクは後任が見つかれば辞任すると言っているが、実際にボスの座を退くかどうかは定かでない」と報じている。同感、私もそう思う。
オピニオン | イーロン・マスク買収後のツイッターはどう変化したのか | 田中辰雄 計量経済学
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