2022年3月14日

ウクライナ難民の少女が手にしていた絵本

Ukrainian refugee girl
Ukrainian refugee girl with a children's book Copyright © 2022 David Turnley

ネットを徘徊していたら、ご覧のようなモノクロ写真が目に止まった。撮影者による次のようなテキストが添付されていたので、拙訳と共に引用したい。

Guess How Much I Love You!
I made these photographs at the Lviv Train Station, one of the central hubs for trains that have moved up to 2 million refugees from this tragic war from towns across the Ukraine, to unknown lives and destinations all over Europe! As this train came in from Odessa, I saw this young girl looking at me through the window and as the train stopped to collect more refugees, I climbed onto her wagon, where I then met Masha, in a sleeping compartment with her mother and a younger sibling. As I introduced myself as David, Masha proudly grabbed her book to show me. And I write this I am overcome with emotion by Marsha’s spirit! And the title of this book is exactly what I want to say to Masha and her family, and all Ukrainians during this unbelievably tragic war! Photographs by David Turnley. Lviv, Ukraine. March 12, 2022

どんなにきみがすきだかあててごらん!
この写真は、ウクライナ全土の町から、この悲惨な戦争からの200万人もの難民を、ヨーロッパ中の未知の生活や目的地へと移動させた列車の中心的な拠点の一つであるリヴィウ駅で撮影したものです。オデッサから列車が入ってきたとき、窓越しにこの少女が私を見ていました。列車がさらに難民を集めるために停車したので、私は彼女のコンパートメント席に乗り込み、そこで、母親と弟妹と一緒に寝泊まりしているマーシャに会いました。私がダヴィッドと名乗ると、マーシャは誇らしげに自分の本を手に取って見せてくれた。そして、マーシャの魂に感動して、これを書いている。そしてこの本のタイトルは、まさに私がマーシャとその家族、そしてこの信じられないほど悲惨な戦争中のすべてのウクライナ人に言いたいことなのです。写真 David Turnley ウクライナのリヴィウ(2022年3月12日)

写真は明らかに職業写真家の手になるものと想像された。調べてみたところ、デヴィッド・ターンリー氏は1955年生まれのフォトジャーナリストである。現在活躍する最高のドキュメンタリー写真家の一人とみなされている。ピューリッツァー賞、世界報道写真賞2回、ロバート・キャパ賞(勇気賞)を受賞し、世界75カ国で人間像を撮影している。1980年から1998年までデトロイト・フリー・プレスのスタッフフォトグラファーとして活躍。1985年から1987年まで南アフリカに駐在し、アパルトヘイト支配下の同国を記録した。マンデラ一家とは30年来の親しい友人であり、この30年間、ネルソン・マンデラと南アフリカの闘争を撮影してきた。1987年から1997年までパリに滞在し、ペルシャ湾戦争、東欧の革命、中国の学生の反乱、ソビエト連邦の崩壊などの出来事を取材した。それゆえにロシアのウクライナ侵略は無視できないに違いない。

どんなにきみがすきだかあててごらん!

ところで写真の少女が手にしている絵本 "Guess How Much I Love You!" は英語版だが、サム・マクブラットニィ (著) アニタ・ジェラーム (イラスト)のイギリスの児童書である。1994年にイギリスのウォーカーブックス社から、1995年には同社の子会社であるキャンドルウィック出版社から発売された。世界中で4300万部以上売れ、57ヶ国語で出版されたという。邦題は「どんなにきみがすきだかあててごらん!」である。二匹のウサギの物語。原作では二匹のウサギが親子であることは明言されていないが、テレビアニメシリーズでは明言されているという。子ウサギ「私があなたをどれだけ愛していると思う?」という質問をし、その答えとしてふたりがどれだけ愛しているかを数値化するために、どんどん大きな物差しを使っていく、というのがこの本の流れだそうである。身内に幼児がいないので、図書館で借りて読んでみようかな。

Amazon  どんなにきみがすきだかあててごらん (児童図書館・絵本の部屋) 大型本 – 評論社(1995/10/1)

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