2022年3月16日

子どもを連れて避難するウクライナの母親たち

UkrainianRefugee
Ukrainian refugee family at Záhony station in Hungary © 2022 Vincenzo Tessarin

国連の国際移住機関(IOM)のウェブサイトによると、300万人以上がウクライナから避難、その半数近くが未成年者で、毎秒子ども1人が難民になっている計算になるという。写真はウクライナを逃れ、ハンガリー東部のザホニー駅に到着した母親と息子たちである。18歳から60歳までの男性は出国が禁止されているので、父親の姿はない。イタリアの写真家ヴィンチェンツォ・テッサリン氏がソーシャルメディア Facebook にポストした写真で、次のようなテキストが添付されている。以下に拙訳と共に転載した。

Mother and sons. Siamo rientrati in Italia, domenica prossima partiamo per l'Argentina, per un viaggio programmato da tempo, ma nei pensieri continuano ad insinuarsi i ricordi di quei giorni trascorsi ai confini tra Ungheria e Ucraina. Soprattutto lo sguardo perso di questa madre seduta con i figli su una carrozza del treno in arrivo dall'Ucraina alla stazione di Záhony, in attesa delle procedure che permetterà loro di scendere dal treno. In salvo dalla guerra, ma quale destino riserva loro la vita, quali altri drammi dovranno affrontare?Un destino comune ad ogni profugo che fugge da un conflitto del quale non ha responsabilità, che non ha scelto, del quale è solo vittima. Il destino di ogni essere umano che fugge dalla guerra e lascia ogni cosa che gli appartiene, una casa, un lavoro, una vita di relazioni ed affetti che è stata stravolta in pochi momenti.Il destino comune di ogni persona che fugge da bombardamenti e spari, che sia in Ucraina o in Afganistan, Palestina o Siria, Yemen o Iraq.Un triste destino comune che non fa distinzione, le conseguenze sono le stesse, la fuga verso un paese che sperano più sicuro, soprattutto per bambini che forse nemmeno si rendono completamente conto di quello che sta accadendo loro. © Vincenzo Tessarin 2022
Heart of Ukraine
母と息子たち。イタリアに戻り、次の日曜日にはアルゼンチンに出発する。ずっと前に計画した旅行だが、ハンガリーとウクライナの国境で過ごしたあの日々の記憶が、私の思考に忍び込んでくるのだ。特に、ウクライナからザホニー駅に到着した列車の車内で、子供と一緒に座り、列車から降りるための手続きを待っている母親の迷子のような表情が印象的だった。戦火を逃れて無事だった彼らには、どんな運命が待ち受けているのか、どんなドラマが待っているのか...。自分には責任のない、自分が選んだわけでもない、ただの被害者である紛争から逃れてきた難民に共通する宿命。戦争から逃れ、自分のもの、家、仕事、人間関係や愛情に満ちた生活など、すべてを捨ててきたすべての人間の運命が、ほんの一瞬でひっくり返ったのである。ウクライナでもアフガニスタンでも、パレスチナでもシリアでも、イエメンでもイラクでも、爆撃や銃撃から逃れるすべての人に共通する宿命だ。特に、自分に何が起こっているのかさえよく分かっていないかもしれない子どもたちにとっては、より安全だと期待する国へ逃げるという、何の区別もない悲しい共通の運命なのです。© Vincenzo Tessarin 2022

いたたまれない気持ちになっているのだろう、ロシアのウクライナ軍事侵攻に抗議するための反戦デモが世界に広がっている。日本でも各地で抗議運動が行われているが、そうした市民の活動に水を差すような投稿がネットを徘徊している。例えば橋下徹某。一時的にロシアに譲歩してでも市民の犠牲を最小限にすべきだ、という考え方を示した。要するに降伏せよという素人論議である。もしウクライナがプーチンの言う通り「非武装化」で丸腰になったら、ロシアが何をしてきても抵抗できないし、悲惨な状況が増幅されるだろう。男たちは、国境まで妻と子供を送り、涙の別れをしたあと、戦うためにウクライナ国内に引き返している。「命の方が大事なのだから、国のために戦う必要はない」「ロシア軍に勝てるわけがない。無駄な犠牲を払うより、さっさと無条件降伏したほうがいい」という一部の日本人の意見は、ウクライナ人の激しい反発を招いている。

United Nations International Organization for Migration | IOM, United Nation Migration

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