2020年12月18日

Yahoo! ニュース匿名コメント欄の不可解

Artwork by unknown illustrator
作者不詳

日本最大級のインターネットニュース配信サービス Yahoo! ニュースを時々読む。同じような機能は Microsoft や Google などのポータルサイトも持っている。際立った悪評を浴びているのが Yahoo! ニュースのコメント欄で、常連投稿者を「ヤフコメ民」と呼ぶそうだ。最近、著述家の古谷経衡がニューズウィーク日本版に投稿した「"勝ったのはトランプ"と一部日本人までが言い張る理由」という論考が Yahoo! ニュースに転載された。古谷は選挙権もないのに「バイデンは不正で勝った」「真の勝者はトランプ」と騒ぐ人がいるのは世界でも日本だけと断言しているが、私にはヤフコメ民を意識した一文に思える。米大統領選挙にまったく関係のない、投票権すら持たない日本の保守派が、米大統領選挙の結果を踏まえてなお「バイデンは不正選挙を行ったのだから、トランプは勝っている」という摩訶不思議な主張を絶叫し続けた。2020年8月に安倍晋三が総理が辞意表明、9月に菅義偉に交代した。菅は安倍と違って憲法改正や嫌韓反中では、あまり積極的なイデオロギーを持たない。だから日本の保守派は、日本の総理を通り越して安倍政権の上位互換としてトランプを見つめ、その必勝を祈願することになったというのである。この主張に反発したのがヤフコメ民である。「トランプの言うことをこれだけ信じる人が多いということは、マスコミや言論人の言うことを信じない人が大勢いるということだよね。危機感もった方がいいよ」といった具合である。

また「この論争で良いことは1月20日にきちんと答えが出ること。この日に大統領として演説した方が勝者であり、正義なのである」といった、トランプは負けたわけではないというコメントもある。しかし拙ブログエントリ―「選挙人過半数でバイデンの大統領選勝利が確定」に書いたように、全ての選挙人が一般投票の結果に従っている。米国の選挙制度を否定するトランプ大統領の再選はあり得ない。ところで Yahoo! ニュースのコメント欄はネットでは何かと話題になるようだ。要するに悪意渦巻く投稿欄だという非難である。これに対し Yahoo! は10月14日のプレスリリースで「違反コメント投稿者に対する投稿停止措置を強化」を発表し、過去に投稿停止措置を受けた携帯電話番号の所有者が Yahoo! JAPAN ID を再取得した場合でもコメント投稿を制限するようにしたという。しかし抜け道はいくらでもありそうだ。連続投稿、あるいは組織による投稿で「多くの意見として印象を扇動する行為」を根絶やしにはできないだろう。コメント欄はニュースに関連する意見や考え、感想を投稿することを目的としているため、匿名で誰でも自由に書き込みができる。かつての Yahoo! 掲示板を衰弱させた「荒らし」こそ影を潜めたが、問題が多すぎるネット空間ではある。

PDF  ヤフコメ民を賛同率でランキングしたヤフコメ民ランキング100 | 2020/01/06 | PDF 617KB

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