2020年12月15日

迷走する GoTo トラベル事業

菅義偉
Artwork ©2020 Kyoto Photo Press

前エントリー「地獄に墜落 GoTo Hell の恐怖」に「科学を無視した政治家たちが国民の命を軽視して GoTo Hell つまり地獄に墜落させようとしている」と書いたばかりだった。医療現場からの悲痛な訴えにも関わらず GoTo トラベル事業について「感染拡大につながっているエビデンスはない」と見直しを菅義偉は拒んできたが風向きが変わったのは12月12日だった。国内の新規感染者数が初めて3,000人を突破し、重症者数も最多を更新、医療逼迫、崩壊の懸念がにわかに現実味を帯びたからだ。毎日新聞が1内閣支持40%、不支持49%と12日の世論調査を報ずると、にわかに方針を変更、菅義偉は14日夜、新型コロナウイルス感染症対策本部を官邸で開き、観光支援GoTo トラベルを今月28日から来年1月11日まで、全国で一時停止すると表明した。いわば「コロナ感染拡大の低下」より「内閣支持率の低下」の方が、菅義偉にとっては重要だったということが全国に知れ渡ってしまったのである。迷走の背景に見え隠れするのは、菅義偉を操る二階俊博である。

covid-19

全国旅行業協会の会長である二階俊博は当然のことながら GoTo 事業推進論者だ。毎日新聞によると、二階派幹部は突然の一時停止表明に「どういう趣旨なのか。勝手なことをしやがって」と不満を漏らしたそうだ。現地時間の12月13日、ドイツのアンゲラ・メルケル首相は16州の知事と会議を開き、先月2日から実施している封鎖措置をさらに強化することで合意、全国に対する全面封鎖に踏み切った。これによって被害を受けるか、閉鎖する会社には毎月固定費用の最大90%、あるいは最大50万ユーロ(約6,320万円)を支援する。支持率が下落の一途を辿っている菅政権が、全国での事業停止も年末年始に限ったのは、苦境にあえぐ観光産業の下支えは不可欠との意見に配慮したとみられる。しかし果たして国民の理解を得られているだろうか。

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