2020年2月27日

新型コロナウイルス感染症 COVID-19 ワクチンの開発


米国のモデルナ社が2月24日、新型コロナウイルス SARS-CoV-2 を対象に、開発中の新規ワクチン(開発番号:mRNA-1273)治験薬の最初のロットを出荷したことを明らかにした。同社は2010年に創業された、マサチューセッツ州ケンブリッジに本拠を置く、メッセンジャーRNA(mRNA)をベースとした治療薬やワクチンを開発している上場ベンチャー企業だ。プレスリリースによると、米国立衛生研究所(NIH)傘下の米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)と協力してワクチンを設計した。mRNA-1273 は、膜融合前の安定化した形態のスパイク蛋白質を発現するように設計されているという。開発中の mRNA-1273 はウイルス表面に発現しており、ヒトの細胞への感染時に足がかりとなる、スパイク(S)蛋白質遺伝子をコードした mRNA(mRNA医薬)である。mRNA-1273 を接種すると、体内で mRNA からスパイク状蛋白質が発現する。被接種者の免疫が、スパイク蛋白質を抗原として認識し、スパイク蛋白質に対する液性免疫や、細胞性免疫が誘導されることで、新型コロナウイルスに感染しにくくなったり、重症化が抑えられたりする効果が期待されるそうだ。中国の研究チームが1月中旬、新型コロナウイルスのゲノム情報を解読・公表してから、ワクチンを設計し、臨床試験向けの治験薬を製造するまでかかった期間は、わずか40日程度だったという。4月末までに約20〜25人の健康なボランティアを対象に、臨床治験の第1フェーズを開始する予定という報道もある。実施されれば、新型コロナウイルスに対するワクチンの臨床治験としては、世界初になるとみられる。

PDF  Moderna Ships mRNA Vaccine Against Novel Coronavirus (mRNA-1273) for Phase 1 Study

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