2011年6月17日

時空を超え重文指定彫刻と等価に映る野の仏

お地蔵さん 天龍寺三秀院(京都市右京区嵯峨天竜寺芒ノ馬場町) Fujifilm Finepix X100

釈迦・阿弥陀坐像 化野念仏寺(京都市右京区嵯峨鳥居本化野町) NikonD700 Nikkor28-70mmF2.8

太秦広隆寺の木造弥勒菩薩半跏像は国宝1号として知られている。国宝の彫刻は126件しか登録されていないので、文化財として貴重であるばかりでなく、仏教美術として優れたものだと思う。国宝の彫刻は木造や乾漆造がほとんどで、石造は大分県臼杵市深田にある磨崖仏のみである。彫刻としては九州初の国宝指定であるが、いささか例外と言えるのではないか。範囲を国の重要文化財に広げても、その数は限られると想像する。例えば私が住む近所の石像(しゃくぞう)寺、通称釘抜き地蔵に安置されている、石造阿弥陀如来および両脇侍像が重文だが、これは光背裏の銘により願主と制作年が分かっている。それゆえ鎌倉時代の石造彫刻の基準作として貴重であると言われている。しかし同じ鎌倉時代に造られた、化野念仏寺の山門前にある、釈迦、阿弥陀の二尊仏の美しさに強く惹かれる。傑作だと思うが、記録がないので無指定である。つまり石仏は風雨に晒された野の仏、作者不詳であることが普通である。文化財指定は作者と時代が反映して指定されるが、そのことに振り回されないように心がけている。嵐山天龍寺塔頭三秀院門前に地蔵は、明らかに制作年代が新しく、ごく最近のものである。にも関わらず、私には時空を超え、重文指定の石仏と等価に映るのである。

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