2011年5月31日

卯の花の雪崩のごとき咲きこぼれ

ウツギ(空木) 平野神社(京都市北区平野宮本町) Fujifilm Finepix X100

多くの花が姿を隠すこの季節の平野神社、桜池にひっそりとウツギ(空木)が佇んでいた。別名ウノハナ(卯の花)だが、私の年代はこの花から、唱歌『夏は来ぬ』(佐々木信綱作詞・小山作之助作曲)を思い出す人が多いに違いない。
卯の花の 匂う垣根に
時鳥(ほととぎす) 早も来鳴きて
忍音(しのびね)もらす 夏は来ぬ

さみだれの そそぐ山田に
早乙女(さおとめ)が 裳裾(もすそ)ぬらして
玉苗(たまなえ)植うる 夏は来ぬ

橘(たちばな)の 薫るのきばの
窓近く 蛍飛びかい
おこたり諌(いさ)むる 夏は来ぬ

楝(おうち)ちる 川べの宿の
門(かど)遠く 水鶏(くいな)声して
夕月すずしき 夏は来ぬ

五月(さつき)やみ 蛍飛びかい
水鶏(くいな)鳴き 卯の花咲きて
早苗(さなえ)植えわたす 夏は来ぬ
このウノハナはユキノシタ科の落葉低木、茎が空洞なのでウツギ(空木)の名がついたという。わずかに青みがかかった白色を「卯の花色」と呼ぶようだ。従って白色五弁の小花が一般的だが、写真のような紅色もある。陰暦四月を「卯月」と呼ぶのはこの花に由来すると言われている。明日からもう六月、どうやら駆け込み投稿になってしまった。

2011年5月29日

食品摂取制限に関する放射線暫定基準値への疑問


(左)飲食物摂取制限に関する指標 (クリックすると拡大表示)

福島第一原発事故によって引き起こされた放射線汚染で気がかりなのは、その被曝であることはいうまでもないが、やはり農産物などの安全性も大いに気になる。厚生労働省が示している放射性物質の「暫定基準値」は原子力安全委員会が作成した原子力防災指針の「飲食物摂取制限に関する指標」を基に設定されている。指標では摂取制限すべき放射性物質として、放射性ヨウ素、放射性セシウム、ウラン、プルトニウムなど4つを選定。そして対象食品を飲料水、牛乳・乳製品、野菜類、穀類、肉・卵・魚・その他の5項目に分けている。

例えば飲料水および牛乳・乳製品の場合、放射性ヨウ素は1キログラム当たり300ベクレル、放射線セシウムは200ベクレル以上。野菜類の場合だと、放射性ヨウ素は1キロ当たり2000ベクレル、放射線セシウムは500ベクレル以上と摂取制限の基準を定めている。数値は国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告などを基に算出したという。しかも放射性ヨウ素は年間約33ミリシーベルト、他の放射性物質は年間5ミリシーベルトまでなら摂取しても安全と判断したというのだ。

この飲食物摂取制限暫定基準値を、海外の基準値と比較したのが上に掲げた「世界もおどろく日本の基準値2000ベクレル」である。放射線に関してはある程度専門知識が必要だが、これは分かりやすいインフォグラフィックである。厚労省の基準は、食品の安全基準を定めた食品衛生法に放射能の基準がないために取られた緊急措置だそうである。それにしても数字が甘すぎないだろうか。早急に再検討すべきだだろう。研究者による専門的な記事として、三重大学勝川俊雄准教授の「食品の放射性物質の暫定基準値はどうやって決まったか」を読まれることを薦めたい。

参考資料:ベクレル(Bq)シーベルト(Sv)換算 - 放射能・放射線の量

2011年5月27日

デジタル針孔写真あるいは動画への道

針孔あるいはゾーンプレート写真に取り組んでる写真愛好家グループに誘われ、京都府立植物園に出かけた。本来、写真撮影は孤独な作業だけど、同好の士と供にするのも楽しい。近畿地方は昨日梅雨入りしたが、幸いなことに雨が上がり、何とか写真を撮れる天気模様になった。

カルミア

北門から園内に入ると鉢植えのカルミアが咲き誇っていた。カルミアはいろいろな種があるようだが、これはアメリカシャクナゲ(亜米利加石楠花)である。ただ同じツツジ科でも、カルミア属はシャクナゲ亜属とは分岐しているので、この花をシャクナゲと呼ぶのことに違和感を感ずる人がいるかもしれない。

シャクヤク

南に少し歩くとシャクヤク(芍薬)が目に飛び込んできた。立てば芍薬座れば牡丹、という諺は余りにも有名だが、シャクヤクはボタン科の多年草である。ボタンが樹木、シャクヤクは草であるが、花はよく似ている。余りにも似ているので、私は見分ける自信がない。ゾーンプレート写真は不鮮明だけど、雨の滴が写っている。

バラ 京都府立植物園(京都市左京区下鴨半木町) Nikon D80 + Zoneplate

シャクヤクやボタンは様々な色、形があって、その種を見分ける力を持ち合わせていないが、バラ(薔薇)に至ってはお手上げである。多種多様、私には白いバラ、赤いバラ、黄色いバラと極めて大雑把な呼び方しかできない。そのバラだが、雨上りにその香りが際立つと聞いたことがる。なるほど、甘い香りが園内に充満していた。

さて標題の件だが、現在私はニコンの一眼レフD80にゾーンプレートをつけている。これはこれでいいのだが、若干の不満がないわけではない。フランジバック(マウント面からセンサーまでの距離)が46.5mmとやや長い。ミラーが入った一眼レフゆえの宿命だが、ミラーレス一眼ならもっと短い。例えばソニーのNEX-5の場合は18mmである。ライカ判に換算すれば概ね28mmレンズ相当の画角を得られるはずだから、針孔写真向きではないかと想像する。さらに動画も撮れればフィルムカメラが及ばない世界が展開するかもしれなのだ。富士フイルムのX100を買ったばかりなのだが、またしても物欲がモヤモヤしてきた感じである。

2011年5月26日

ときは今 あめが下しる さつきかな

サツキ 本能寺(京都市中京区寺町通御池下る) Fujifilm Finepix X100

造花 ストアデポ(京都市中京区寺町通三条上る) Fujifilm Finepix X100

昼下がり、寺町通を歩いた。御池通から南に下ると、本能寺の山門にサツキ(皐月)が咲いていた。ツツジ(躑躅)が4月中旬から5月上旬に開花するのに対し、サツキは5月中旬から6月上旬に咲く。旧暦の五月(皐月)に咲くのでこの名が付いたのだろう。天正10年6月2日、本能寺の変が起きたが、その直前に明智光秀が愛宕山で詠んだ歌が標題に使った「ときは今…」である。有名な「愛宕百韻」の発句であった。サツキにレンズを向けたあと、さらに南に歩き、事務用品店で買い物をした。レジで支払いを済ませて店外に出た所で綺麗な花を見つけた。実は造花であったが、英語では二つの呼び方がある。imitation flower そして artificial flower である。前者は偽物の花と言う意味だが、後者は人造の、あるいは人工的という意味である。なんだ同じじゃないかと一瞬思ったが、英語の art は日本語では技術と供に。芸術という意味をそなえる。そういえば日本でも、染め花などをアートフラワー、すなわち芸術的な花と呼んだりする。芸術とは自然なものに対し人為的な「造りもの」を作る、人間特有の行為と言えそうだ。